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2008年6月アーカイブ

June 30, 2008

EURO2008決勝 ドイツvsスペイン(結果バレ)

●あー、やっぱり。Yahoo!のトップページにも結果出ちゃってるし。早起きして観戦してよかった、録画だけど。
欧州選手権2008●で、ついに決勝戦を迎えたEURO2008。ドイツ対スペインは黄金カードといってもいいくらい楽しみな組み合わせ。スペインは今大会得点王となったビジャが負傷欠場、したがってフェルナンド・トーレスのワントップで、中盤にセスク・ファブレガス、イニエスタ、シャビ、ダビド・シルバと巧くてクリエイティブな選手をずらりと4人並べて、後ろに守備的なマルコス・セナを置く布陣。でもみんなスゴく小さいんすよ、背が。セスクの177cmだってドイツ代表の平均身長にも全然満たないが、イニエスタとシャビ、シルバはそろって170cmっすよ。ニッポン代表より小柄。ていうかワタシより小さい。そんな中盤で、185cmから190cmのドイツの大男たちとどう戦うのか。
●と思ってたら期待通りの戦いになって、ダイナミックでパワフルなドイツの攻撃に対して、スペインは体を張ってギリギリのところで守る。で、華麗なパス回しをできるかというと、ドイツのプレッシャーも並大抵じゃなくてなかなか中盤を作らせてもらえない。ゴールシーンは中盤の組み立てからではなく、フェルナンド・トーレスの超人的能力がすべて。シャビからフェルナンド・トーレスのスルーパスに対して、ドイツの左サイドバックのラームが完全にボールと相手の間に体を入れて守った。にもかかわらずその脇からフェルナンド・トーレスが猛烈な加速力と強靭な身体能力で抜け出て、前に出たレーマンの横を抜けるシュートを転がす。ドイツで唯一小柄なラームに対して、フェルナンド・トーレスがフィジカルで圧倒するという意外性のあるゴール・シーンだった。
●後半に入ってからはドイツが前がかりになってくれたおかげで、オープンでお互いに攻撃的な好ゲームに。どちらも惜しいチャンスがあったが(特にスペインだけど)、結果は0-1でスペインの勝利。終盤、ドイツはクラーニー、マリオ・ゴメスといった大型ストライカーを投入して、スペインが嫌がりそうなパワープレイに出ようとしたが、そこからのスペインはスゴかった。フツー、こうなるとゴール前で耐える展開を予想するじゃないっすか。ところがスペインはサイドからボールを決して入れさせない。ゴール前の競り合いで勝てるはずがないので、その前にまともなクロスを入れさせないことに力を尽くす。可能性の低い中央からのボールは入れさせる。ゴール前に張り付くことなく、むしろ追加点のチャンスをいくつも作っていた。ニッポンもオーストラリア相手に戦うときに、こんふうにできたらなあ(とW杯最終予選モード軽く入る)。
●ドイツはどんなに劣勢でも自分たちの勝利を信じているかのようにプレイするので、最後まで怖かった。さすがに終盤は足が止まってたけど。後半、バラックの非常に惜しいシュートがあって、あそこが運命の分岐点だった気がする。バラックはこれまでチャンピオンズ・リーグ準優勝2回、ワールドカップ準優勝1回でシルバーメダル・コレクターなんて揶揄されてたが、ユーロ準優勝とまた一つ銀メダルを増やすことになってしまった。
●試合終了後、スペイン代表の歓喜の輪の中で、セルヒオ・ラモスが胸に顔写真のプリントされたシャツを着ていた。画面ではよく見えなかったが、WOWOWの中継によればアントニオ・プエルタの顔だったとのこと。プエルタは将来を嘱望されながらも、昨年、試合中に突然意識を失って22歳で急死したセビージャの選手。セルヒオ・ラモスとプエルタはともにセビージャの下部組織育ちの親友同士だったので、亡き友とともに戦ったということか。
●新時代を担う若いスター選手の活躍や、ロシア、トルコの躍進もあって、今回のEURO2008はまれに見るおもしろい大会だった。個人的にはW杯1998フランス大会以来だな。

June 29, 2008

圧縮音源時代

●よく音楽CDなんかをMP3とかWMAとかにエンコードするときって、128kbpsのビットレートが使われるじゃないっすか。iTunesのACCもそうだけど。なんとなく128kbps=CD並音質って言われるのは、あれは大雑把でも何でもいいから何か定量的なものがあってそう言われてるのか、経験知としてそうなっているのか、どっちなんすかね。
●と、ふと思ったこともあって、同じ音源を32kbps、64kbps、128kbps、192kbps、256kbpsでエンコードしたらどれくらい違うのかなというのを日経BPさんのサイトで少しだけ試してみた→ネットエイジのクラシックジャンキー 特別編「ネットで手軽に楽しむクラシック」。別にPCさえあれば誰でも手元のPCでできることなんだけど、でもメンドくさくて実験しないじゃないっすか。なので、こういう場を利用させてもらって。
●比較に使った音源は新日本フィルさんご提供のアルミンク指揮マーラー3番の冒頭。諸般の事情で、わずか15秒ほどで恐縮だけど、でもまあ雰囲気くらいはつかめるかなと。PCからUSBオーディオ・インターフェイスで出力して、ヘッドフォンで聴くっていう状態だと、ワタシだったら128kbpsあれば十分満足かな。64kbpsはヘッドフォンじゃなければ、まあ楽しめる。32kbpsはさすがに勘弁してほしい。128kbpsから192kbps、256kbpsあたりになってくると、かなり微妙。
●でもサイト上には載せられなかったけど、無圧縮のWAVファイルと比べるとMP3は(たとえ256kbpsでも)やっぱり圧縮されてるんだなってのは正直感じるんすよ。音質にこだわる方のなかにはそのあたりが満足できなくて、ロスレスな可逆圧縮を求めるんだろう。しかし一方で「物理的な音質なんて中身の音楽と無関係なんだから、32だろうが256だろうがなんだっていいだろう」っていう身も蓋もない見方もありうる(笑)。
●ワタシはウンと圧縮してあっても「ファイルサイズが小さくて取り扱いが容易だ」という点に積極的にメリットを見出せる非オーディオ者なので、「iTunes Plusが256kbpsだ」とか言われても嬉しいかどうか微妙なほう。ただ、もし近い将来ネットワークの転送速度やストレージの容量が桁違いに大きくなったとき、一般の音楽ファンが「ロスレス」を求めはじめるのか、引き続きMP3等の不可逆圧縮された音源で満足し続けるのかは、少し興味がある。「サイズ」が問題にならなくなって「ロスレス」が当たり前になった時代には、不可逆圧縮の「mp3」や「jpg」(画像)といった規格は忘れ去られるんだろか。だとすると、圧縮音源時代ってのは始まってすぐに終わる運命なのかもしれん。
●オマケ。クリスティアン・アルミンクが新日フィル音楽監督契約延長記者発表を行ったときの動画ニュース→ 日経BP社の動画サイトBPTVへ(音が出ます)。

June 28, 2008

EURO2008準決勝 ロシアvsスペイン

欧州選手権2008●いやー、これは決勝が楽しみだな(笑)。ある意味で意外な展開。今大会、新たなスターを輩出したのがロシア。いまどきユーロだのワールドカップだのといったメジャーな大会で「新たなスター」が誕生する可能性は低い。知られるべき才能はそんなレベルに到達するよりずっと早く知られてしまっている。なのに、出てきました。ロシアの10番、アルシャフィン。決定力抜群のストライカー、パブリュチェンコ。攻撃的左サイドバックのジルコフ。スウェーデン戦とオランダ戦のおかげで、彼らにはビッグ・クラブからのオファーが殺到しただろうし、選手としての市場価値も暴騰したはず。
●ところが準決勝になったら、「恐れを知らぬチャレンジャーたち」は、もうチャレンジャーじゃなくなっていた。アルシャフィンは一度たりとも前を向いてドリブルで仕掛けなかった。ミスを怖がるかのように、無難な選択をした。これ以上、無謀なプレーをするのは損ってこと? よくわからない。
●あるいはコンディションの差が出たのか。今大会、グループリーグの3戦目で主力を休ませたチームが、トーナメントで苦戦している。唯一、生き残ったのがスペイン。ここまで来ると、間に休みを入れたのが効いてくるのかも。ロシアの選手たちはもう疲れきっていたのか……、でもな、アルシャフィンは3戦目から出場してるんだよなあ。
●ロシアがスペインに対して受けて立ったら勝ち目がない。スペインのゴールはどれも美しかった。イニエスタからシャビのバルセロナ・ホットラインの1点目。セスク・ファブレガスのオシャレなポストプレーに反応してグイサが2点目。セスク・ファブレガスのクロスに今度はダビド・シルバが合わせて3点目。ロシア 0-3 スペイン。スペイン完勝。
●スペインの中盤は最高に巧い。イニエスタ、シャビ、ダビド・シルバ、セスク・ファブレガスがそろうと永遠にボール回しできそう。しかし決勝は対ドイツ戦。テクニックでは圧勝だけど、フィジカルの強さではまるで勝ち目なし。
●決勝戦、スペインがボールを回し始めたら、ワタシはテレビの前で声をかけるから。オーレ、オーーーレって、観客と一体になって。

June 27, 2008

ブログのバージョンアップ。MTver.2.65からver4.1へ

●今回サーバーの引越しにあたって、このブログも新たに構築しなおした。使用ツールはMovableType ver4.1。一見、何も違っていないように見えるわけだが、ホントは中身はごっそり全部違うんである。内部的な仕組みはともかく、主な外見上のリニューアルポイントを以下に。

1. 右側のナビゲート欄をすっきり整理した。今まではゴチャゴチャしてわかりにくかった。長さも3割ほど短くなった。

2. 過去記事へのアクセスが容易になった。カテゴリーも少し増やした(「脱力」と「BOOKS」)。「月別アーカイブ」でも「カテゴリーアーカイブ」でもお好きな入り口からどうぞ。

3. 文字の大きさを調節した。読みやすさを考慮して、あちこちで微妙に文字の大きさや行間の広さを変更した。Windows Vistaや一部のXPなど、「メイリオ」フォントがインストールされた環境だと、大変美しくなる。

4. 画面の横幅を少し大きくした。世間のサイトがスゴい勢いで横長になっているので、少し広げてみた。といってもまだまだ狭いほうだが。

5. 当画面右上の画像にある作曲家たちのラインナップが変わった(笑)。人選は意味レス。右のほうの人はよくわかんないかも。

●各記事の個別リンク(permalink)のURLはすべて変更されてしまったが、従来のアドレスにアクセスしても現在のものに自動的に飛ぶように対応したつもり(一部不完全)。まだまだ新たなミスを発見したり、落ち着いていない感じなのだが、そのあたりは追々に。

June 26, 2008

EURO2008準決勝 ドイツvsトルコ

欧州選手権2008●サッカーで3試合連続逆転勝利が起きる可能性ってどれくらい低いんだろうか。ここまで奇跡の逆転劇を演じてきたトルコ、こうなったらもう何が起きるかわからない。と思いつつも、そんなおとぎ話みたいな物語がドイツ相手に成立するはずがないと諦め気分も半分あり。準決勝第1戦はドイツvsトルコ。トルコはケガ人と出場停止選手だらけでベンチがガラガラ。
●22分にトルコが先制したものの、そのわずか4分後にシュヴァインシュタイガーに同点ゴールが生まれてしまう。一進一退の膠着したゲームになって、漠然と延長戦を思い描いたところで、79分にGKリシュトゥの手痛いミスがあって、クローゼに逆転ゴールを奪われてしまった。クロスボールに中途半端にキーパーが前に出て、ボールにまるで触れなかったときの悲しさ。
●でもトルコはやっぱりトルコだった。86分、低いクロスボールにセミフが飛び込んで、キーパーの鼻先でコースを変えて、狭いニアサイドにゴール! トルコが決勝に進んでくれれば、相手がロシアだろうとスペインだろうとワクワクしながら観戦できる。ところが90分になって、それまで自分のサイドを何度も割られていたラームがトルコ・ディフェンスを崩して見事なゴール。ミラクル・トルコを期待してたらミラクル・ドイツだった、ていうかこれはミラクルなのかなんなのか、もうよくわからない。3-2でドイツが勝つという恐れていた展開に。決勝がドイツvsヒディンク率いるロシアになったら、どちらに肩入れして試合を見ればいいのか(ロシアの選手は好きなんだけど)。
●今晩のスペインの勝利を願うしか。しかしワタシの予想や期待ははずれっぱなしなのだ、ことごとく。

June 26, 2008

サーバー引越し完了

CLASSICA●想像以上に難儀しつつも、とにかく当サイトのサーバーを引っ越した(アドレスは変わりません、念のため)。古いサーバーから新しいサーバーへ丸ごとデータを引っ越すだけの話なのであるが、これを機会に当ブログで利用しているMovableTypeを太古のver.2.65からver4.1に大きくアップデイトしたので、膨大な作業量が発生してしまった(というか、一から作り直した)。
●今現在は同じclassicajapan.comへアクセスしても、新旧どちらのサーバーにたどり着くかは皆様の環境次第。この記事は新しいサーバーにしか載せていないので、これを読めている人は新サーバーにアクセスしている。今、旧サーバーにアクセスしている方々も数日以内には新サーバーに自然と誘導されることになる(というのがインターネットの仕組み)。ここ数日、この引越し作業にどれだけ振り回されたことか。ふー。
●新旧のサーバーで何が違うかといえば、「広さ」。これまではかなり古い時代の仕様で契約していたので、容量がわずか50メガバイトしかなかった(これでも昔は巨大だと思ったものだが‥‥)。ブログをスタートさせるとあっという間に50メガでは足りなくなり、容量が増えるたびに10メガずつオプションで契約を追加していたらどんどん料金が高くなっていき、ついに音を上げた次第。現在の契約では従来と同価格で10ギガバイト利用できるので、事実上無限みたいなものだ。たとえるなら、昨日までは四畳半一間でバス・トイレは共同のアパートに住んでいたのが、いきなりノイシュヴァンシュタイン城に引っ越してきて、散らかし放題OKになったようなものである。
●と書いてから気づいたが、今でも共用サーバーであることには変わりないので、城にたとえるのはNGだな。256LDKくらいのだだっ広さなんだけど、バス・トイレはあくまで共同みたいな感じ(なにそれ)。

June 25, 2008

深夜の停電、突然に

夜に●昨日の深夜、停電があった。ギクリとしつつも、すぐに戻るだろうと思ったらこれが戻らない。こういう停電は何年ぶりだろか。部屋の中は真っ暗で、何もできない。懐中電灯を探し出し(そもそも懐中電灯は暗闇でも手にできる場所に置いておかなければいけないのに、そんなことを忘れていた)、どの程度の規模の停電なのか心配になり、「電気料金のお知らせ」を探し出して、さっさと電力会社に電話する......が、電話がかからない。ウチの電話は電気が来てないと使えないのか!? 昔の黒電話はつながったじゃん!
●でもまあケータイがあるか。電力会社に電話すると、テープで「今停電で原因究明と復旧作業に努めてます」の案内が。緊急の方は人につなげてくれるそうだが、緊急じゃないのでそれは遠慮する。
●それにしても、今や停電で困る具合は一昔前の比ではないという待機電力依存生活、あれこれと電子機器がことごとく心配になる。電源切ってても大抵の電子機器は実は動いてるじゃないっすか。ネットワーク関係機器とか、HDDレコーダーとか、スリープ状態のノートPCとか、ガス湯沸かし器とか(ガスなのに電気がないと付かない)、あれやこれや。デスクトップPCの電源を入れてなかったのは幸い(な気がする)。電池式のラジオも持ってないから、こういうときは情報が遮断されてしまう。ケータイは頼りになるけど、すぐに電池切れちゃうのが弱点。ノートPCは電池で動いてくれるが、ネットワーク関係がダウンしてると使い道がない。
●20分か30分ほどして、突如明かりが戻り、あちこちでLEDが点灯し、電子機器の「ヒュィーン」という起動音が聞こえてきた。復旧してくれて安堵。HDDレコーダーは RECOVERY とかいう不吉な表示をチカチカと点滅させながら自己回復。予約設定などまで全部残ってて偉い。無線LANがつながらなかったが、ルーターの電源を一度切って再起動したら無事つながった。

June 24, 2008

EURO2008準々決勝 スペインvsイタリア

欧州選手権2008●EURO2008、準々決勝のおしまいはスペインvsイタリア。「見る甲斐のあるチーム」という点では屈指の好カード。今の欧州にスペイン以上にテクニックのあるチームはないし、イタリアはいつだってスターの宝庫。両者ともこの大切な試合で実力を出し切った。ミスがなかった。だから120分戦って0-0。ワタシの分類ではこれは「レベルの高い凡戦」に入る。ていうか、サッカーはミスするスポーツなのであって、ミスだらけ、だからおもしろい、そしてミスがなければつまらなくなる。そういう逆説性を最初から内在しているのがサッカーなんだな、と。PKでスペインが準決勝進出。
●ウィーンが急に暑くなってきたそうなんだけど、やっぱり気温が上がるとスペクタクルは減る。これからまた涼しくなってくれますように。
●ベスト4はドイツvsトルコ、ロシアvsスペイン。好カードがそろった。あと3試合しかないと思うと、少し寂しくなる。優勝はどこかという話題になると、みな口をそろえる、「ドイツが優勝するだろうね」と。苦々しい表情を浮かべながら。

June 23, 2008

EURO2008とニッポン代表で朦朧ウィークエンド

●もうこの大会のおもしろさはヤバすぎでは? 決勝トーナメントに入って今のところ3戦目、ワタシの予想はパーフェクトに外れている(苦笑)。ある意味、見事だ。日程的に有利なはずのグループ1位のチームが、なぜか連戦につぐ連戦で疲労しているはずの相手に膝を屈するという謎展開。
●究極はクロアチアvsトルコか。90分で決着付かず、延長に入っても膠着したままで、「もうPKか」と思ったら119分にクロアチアのクラスニッチがゴール。クロアチアが喜びを爆発させた後、ロスタイムの最後の最後の122分でセミヒがロングボールのこぼれ球に対して非常に難度の高いシュートを決めて1-1とまさかの同点劇。クロアチアのショックは並大抵じゃない。PK戦で4人中3人が外してしまうほど。トルコが準決勝進出。今大会のトルコはいったい何回奇跡を起こしているのか。
●オランダとロシア。これも長く記憶に残る名勝負だったかと(ヒディンク・アレルギーがなけりゃなあ)。ロシアは未知のタレントの宝庫。若い10番とセンターフォワードと左サイドバックの3人はとてつもないスターになるかもしれない(←一人くらい名前覚えたら?)
ニッポン!●そして、こんなにEURO2008でお腹いっぱいなのに、わざわざ雨の中、埼スタまで行って完全なる消化試合となったW杯三次予選ニッポンvsバーレーンを観戦。まあ、チケット発売時点では「運命の決戦」となる可能性もあったわけで……。これ、三次予選は1位でも2位でも最終予選の扱いに関係しないって知ってました? 両者きわめて温いムードで対戦。バーレーンにがんばる理由は何一つない。俊輔がPK外したり、相手キーパーのミスで1点取れたりと、勝つには勝ったが今ひとつしまりがない。
●収穫は、そうだなあ、試合開始前にシャルパンティエのテ・デウム(アレンジ・バージョン)が場内に流れたことかな。コンピCD「ワールド・サッカー・クラシックス」に収録しておいた甲斐があったな、と。あと君が代はあの方だったんすよ。えーと、名前が出ないな、「千の川」じゃなくて「万の山」じゃなくて、うーん思い出せない。最近の「君が代」人選はなかなかワタシの好きな歌手が登場してくれない。聴いてみたい、パヴァロッティの「君が代」。(←あらゆる意味でムリ)

June 20, 2008

EURO2008 C組&D組第4戦 若武者とニンジンと欲望と

欧州選手権2008●激しいグループリーグを終え、ベスト8が出そろった。今回のEURO2008のテーマは、ずばり、世代交代。若武者たちと黄昏のスーパースターたちのコントラストは鮮やかだ。
●C組のフランスvsイタリアなんかは両者とも熟しすぎていた気がする。フランスの前線がアンリって、そんなわけない。バルセロナで何試合出たのだ、彼は。マケレレ、テュラム、アネルカ、サニョル……、果ては中盤のヴィエラの故障を嘆くとは。彼らはすでにあまりにも多くを手に入れすぎている。ベンゼマとリベリーが中心になればまたちがってたんだろうけど。ジダン前夜を思い出す。でも対戦したイタリアだって相当熟していたわけで、この試合が期待したほど盛り上がらなかったと思ったのはワタシだけじゃないはず。同組のオランダはスナイデル、ロッベン、ファン・デル・ファールトとか、今これから一時代を築きつつあるタレントが活躍してて、猛烈に眩しい。
●で、D組っすよ、問題の。スウェーデンvsロシア、スウェーデンは勝つか引き分けでOK、ロシアは勝たなきゃいけない。スウェーデンにはラーション、イブラヒモヴィッチ、リュングベリといったスターたちがいて、ロシアは知らない若い選手ばかり。スウェーデン有利。ところが試合が始まったら、すさまじい勢いでロシアの選手たちが攻め出した。もう目の色がぜんぜん違う。よく走り、ピッチ上をワイドに使って、シンプルだけど力強い攻撃を繰り出し、スウェーデンは防戦一方。ロシアは1点取ってもまだ攻めて、2点取ってもまだ攻めて、3点目4点目5点目が取れるくらいチャンスを作ったがなぜか途中からゴールが決まらなくなり、2-0で完勝した。またしてもヒディンク・マジックなのか。
●でもWOWOWの中継によると、ロシアはこの1試合だけで選手一人あたり五千万円くらいの勝利ボーナスが出て、監督にも八千万以上が入るっていうんすよ。サッカー協会がリッチなわけはなくて、度を超したお金持ちがいる国だから、それくらいスポンサーが付くと。もちろんボーナスだけじゃなくて、決勝トーナメントに進めるっていう名誉やキャリアも選手にとっては大切なわけだけど、とにかくロシアの若武者たちの鼻先には彼らにとって魅力あるニンジンが何本もぶら下がっていた。同じニンジンをラーションやアンリやピルロの目の前に差し出しても、彼らの目の色が変わることはない、たぶん。と、ヒディンク・アレルギーのワタシは勝手に物語を組み立てる。
●準々決勝以降の勝利者を予想しちゃう。ポルトガルvsドイツ、クロアチアvsトルコ、オランダvsロシア、スペインvsイタリア。すべてそれぞれ先に記したチームが勝つほうに賭ける。すなわちポルトガル、クロアチア、オランダ、スペイン。準決勝はクロアチアがポルトガルに勝ち、オランダがスペインを破る。決勝はクロアチアvsオランダで、クロアチアが初優勝する。ってのに、256エラシコ。

June 19, 2008

ブログ再構築中

CLASSICA●とまあ、ウィーンでの決勝へ向けて欧州祭が続いている一方で、当サーバーの裏側では当ブログ開設以来の大規模工事中だったりする。現在使っているこのサーバーの容量とかスペックだとかが時代に合わなくなってきているので、重い腰を上げてようやく引っ越すことにした(アドレスは変わりません、念為)。遅くとも今月中には作業を完了しなければ。で、そのためにはブログも(内部的には)引っ越すのだが、そのついでに作成ツールであるMovableTypeも最新バージョンにすることにした。
●が、これが調べれば調べるほど一筋縄ではいかない。現行バージョンがあまりに古すぎるからなんだけど(笑)、現サーバーと新サーバーで共通して使えるデータベースがないということで、結局新しいサーバーに一からこのブログを作り直すことにした。MovableType 4.1をインストールして、まっさらのところからテンプレートやらCSSやら作らなきゃならんわけで、ああでもないこうでもないと悪戦苦闘しながら、日々少しずつ新環境を構築している。
●で、おかげでいろんなことに詳しくなった。今までMovableTypeやデータベースやらCSSやらサーバーやらについてわかっていなかったことにも、いくらか理解と知識を深めた(素人レベルの話だが)。MovableTypeの新バージョンも「なんか違いすぎてて全然わからんなー」と当初は感じたが、しばらくすると「なるほどー、これはスマートだ!」と納得。まだまだ難所はいくつかあるだろうが、「これはムリだろう」と感じていた懸案事項にも解決策が見えてきたりもする。
●手作りでブログやらウェブサイトやら作ってると、こういう新しいことをまとめて憶える機会ってのが時々やってくる。でも、ホントはこの種の技術的な問題に付き合うのは全然好きじゃない。だれか詳しい人がいて、その人に任せられるのが理想。なのに、そうも行かないから、自分でやっちゃう。MovableTypeのテンプレートを思うように編集できたときはなんだか嬉しい。どんどんテンプレートモジュール作るぞ~。好きじゃないけど。

June 18, 2008

EURO2008 B組第3戦 オーストリアvsドイツ

おっと、まちがえた!●おっと、まちがえた。WOWOWの解説者が何回「オーストラリア」って言ってしまうかとドキドキ。オーストリアvsドイツ
●音楽においては世界の中心、でもサッカーとなると辺境の地扱いされがちなオーストリア、しかし今回ばかりはユーロ開催国なのだから、主役である。応援するしか。決勝トーナメントに進むためには、オーストリアはドイツに勝たなければならない。ここで番狂わせが起きてドイツが敗退したら、ある意味これも伝説。
●しかし当人たちはどう思っているか知らないが、傍から見るとまさにオーストリアとドイツは兄弟、やっているサッカーのスタイルはそっくり。屈強な大男がズラリそろって、大変ダイナミックで質実剛健、しかし(一、二人の例外を除いて)シャレっ気みたいなものはまるでなし。これはヴァスティッチはサポのアイドルになるよなー。
●でもスタイルは似てても、フィロソフィーはぜんぜん違う。「サッカーとは何か」について、イングランドの往年の名選手リネカーはこう定義した。「サッカーとは11人と11人で1つのボールを追いかけ回して、そして最後にドイツが勝っているというスポーツだ」。それくらいドイツはいつでも勝つ。もうヤになるほど勝つ。現実的なスタイルで勝利への最短距離を歩む。もういいよ、ドイツの勝ちで、と音を上げたくなる。
●バラックはフリーキックを豪快にオーストリアのゴールに叩き込んだ、たぶん壁が足りてない。オーストリアは魂のフットボールで反撃するんだけど、どうしても最後のところで技術が追いつかない。でも決して下を向かないファイティング・スピリッツは立派。途中、両チーム監督退席処分という珍事があった。オーストリアは交代枠を3枚使い切ったが、ヴァスティッチの出番はナシ。それって大会から退くにあたってマズくないか? ドイツが1-0で勝利して、結局難なく決勝トーナメントに進んでしまった。次の相手は真逆のスタイルを持つポルトガル。
●先に2勝して1位が決まっていたクロアチアは、先発を控え組と総入れ替え。日程を見たらどう考えてもそのほうがいい。しかもクロアチアはBチームでポーランドに勝った。ますますクロアチア優勝説が現実味を帯びてきたかも!?

June 17, 2008

EURO2008 A組第3戦 トルコvsチェコ

欧州選手権2008●同じA組のポルトガルはすでに1位通過を決めている。フェリペ監督は第3戦をどうするのかな?と思ったら、やはりほとんどのメンバーを入れ替えて主力温存。A組は日程的にもっとも有利な組である上に、この第3戦をコンディション調整に使えたのは大きい。優勝するかも。
●とスタメンだけ確認したらもうポルトガル戦に用はない、同時刻スタートのトルコvsチェコ戦に集中。この試合、引き分ければ例の複雑怪奇(?)なレギュレーションによりPK戦が行われる。めったにない機会なので見たい気もする……が、やはりトルコを応援する。
●前半からチェコがゲームを支配して、34分にコラー、62分にプラシルがゴールを決めて2-0。チェコはブリュックナー監督のもと一時代を築き上げた好チームだが、エースのロシツキーがいないこともあって、やや鮮度に欠ける気もする。でもやっぱり強い……。
●が、すべては終盤の15分ほどに起きた。75分、アルダの見事なゴールでトルコが1点を返す。もう時間がないと思われた87分に、これは見たくはなかったが名手チェフがミスをしてニハトが劇的な同点ゴール。
●「おお、まさかPKにもつれ込むとは!」と驚くのはまだ早かった。89分にふたたびニハトがゴールして、まさかの大逆転。これはドライブ回転をかけてキーパーを巻いてゴール右上隅に収まる技巧的なシュートだった。この直後、トルコのキーパーがコラーを突き倒して、なんと退場。すでに交代枠を使い切っていたのでフィールドプレーヤーがゴールマウスに立つ緊急事態へ。これでロスタイムにチェコがゴールを決めれば、トルコはフィールドプレーヤーでPK戦に臨まなければならなくなったわけだが、きっちり時間を使ってタイムアップ。3-2の奇跡の逆転勝利。ホントにサッカーは何が起きるかわからない。
●ユーロでもワールドカップでもグループリーグの第3戦がいちばんおもしろい。今回、同勝点時の順位決定方法がやや複雑化したが、今のところは良い方に機能している感じ。

June 16, 2008

EURO2008とニッポンW杯予選と横河武蔵野FCとサカ廃人な自分

欧州選手権2008●もうダメ、おもしろすぎる、EURO2008。ワールドカップ2006よりおもしろい。EURO2004よりおもしろい。ワールドカップ2002は半分地元開催だから別格とすると、このおもしろさはワールドカップ1998フランス大会以来だっ!
●グループリーグ第2戦後半のマイEURO2008事件簿。オランダ 4-1 フランス。オランダのゴールはどれもこれもやたらダイナミックで美しい。イタリア、そしてフランスと、前回W杯優勝国と準優勝国から大量点を奪う異次元の攻撃力。いつもは内紛で空中分解するが、今回は「みんなでメシ食いに行く」くらいチームは仲良し。これは事件だ。
●ルーマニアvsイタリアは1-1のドロー。ルーマニアにもチャンスあり。主審が信じられないようなPKをルーマニアにプレゼントした。ムトゥはこれを正面に蹴り込むが、イタリアの守護神ブフォンが「残った足」で弾いてファインセーブ。ワタシの説では、これはムトゥはワザと真ん中に蹴った、ブフォンにセーブするチャンスを与えるために。あの主審の判定で、決勝点がルーマニアに与えられていいものか。あれがPKなら欧州サッカーは1試合に10回くらいPKになる。ムトゥは困惑した。ここでワザと枠を外すほど利他的な行為は許されない。しかし、普通にこれを蹴ることは何か正しいサッカーのあり方に反する。「フェアネス」について考え、中央に強く蹴りこむことで、絶妙のバランスが取れるとムトゥは考えた。
●ブフォンも同じことを考えれば中央で不動の姿勢でボールを止めた。でもブフォンは左に飛んだ。イタリア代表にとっては、相手のミスをつくのがサッカー、ムトゥの考えてることなど思いもよらない。結果的に止められたのはブフォンの超絶技巧ゆえ。……とワタシは解したが、「そんなわけないだろう」という声、多数。真実は果たしてどちらか、激論が戦わされることとなり、この論争は「ブフォン論争」と名づけられた(ウソ)。
●スペイン 2-1 スウェーデン。お互い引分ければ十分だったと思うが、試合開始早々からオープンに攻め合う好ゲーム。しかし後半の後半くらいから、「このまま1-1でムリしなくていいよね」という空気が流れ出した(気がする)。その淀んだ空気を終了直前、スペインのビジャが吹き飛ばした。スウェーデンは第3戦にロシアと決勝トーナメント進出をかけて直接対決。
ニッポン!●そしてわれらがニッポン代表はアウェイでタイ戦@ワールドカップ三次予選。ケガの中村俊輔が出場という時点でかなり不安になる。中村ケンゴーじゃダメなのか。でもトゥーリオ、中澤のヘッドが炸裂して快勝。オマーンとバーレーンが引分けたので、ニッポンの最終予選進出が決定。タイや中東のアウェイ戦での代表のたくましさはスゴいと思う。しかし最終予選は茨の道を覚悟。
●世界がEUROに熱狂する、しかしニッポンではJ2もJFLも開催中。JFLの横河武蔵野FC対ニューウェーブ北九州をご近所観戦。観衆884名。少し遅刻して駆けつけたらすでに武蔵野は1失点。リプレイもテレビ中継もないから、このゴールを見る方法はない。前半、PKを岡が決めて同点に追いついたが、終盤失点してまたしても敗北。開幕から11試合負けなしの快進撃を見せていたが、一転して最近5試合は1分4敗と勝ちなし。少し安易なミスが多すぎたのは、自信を失っているせいなのか。
●楽園のようなEURO2008、代表の灼熱アウェイ戦、ご近所のJFL、その内容は著しく違うんだけど、どれ見ても熱くなれる。今日の武蔵野FCの攻撃で、浮かしたループパスをフォワードの岡がオーバーヘッドシュートを試みた瞬間があって、あれがもし決まっていたら、ワタシのなかではクリスチャーノ・ロナウドを超える伝説になっていた。「伝説」って最高の響きだよなー。

June 14, 2008

EURO2008 A組B組 第2戦。そしてグループリーグ順位規定

欧州選手権2008●ヤバいな、こりゃ、EURO2008があまりに盛り上がっててサッカー廃人になりそ。
●A組の第2戦はポルトガルはチェコに快勝して決勝トーナメント進出決定。スイスはトルコに破れ、開催国ながら早々に敗退決定、勝点ゼロ。第3戦で2位の座をかけてトルコとチェコが戦うわけだ。この両者、現在1勝1敗で勝点はともに3。では最終戦、もし引き分けたら、どっちが2位になるか、知ってますか?
●どうもグループリーグ順位規定がはっきりしないなと思って、あちこちのスポーツ系サイトを見たが見つからず、結局EURO公式サイトの大会規定PDFを読んで確かめたのだが、そこにはかなり意外なことが書いてあった。ワタシのおぼつかない英語力で読んだものなので、ちがってたらスマソだが、まず、勝点が並んだ場合は、グループリーグ全体の得失点ではなく、当該チーム間の成績が優先される。
●最初に 1.当該チーム(2チームとは限らない。3の場合もある)間の勝点。それが同じなら、2.当該チーム間の得失点。それも同じなら、3.当該チーム間のゴール数。ここまででも決着がつかない場合、4.グループリーグ全体の得失点、次に5.グループリーグ全体のゴール数で決着をつける。では、それでもまだ決着がつかなければ? 6.ワールドカップ2006予選とEURO2008予選での総勝点を試合数で割った数値、7.フェアプレー・ポイント(何じゃそりゃ)、8.最後の手段「抽選」。
●さて、話を戻してトルコとチェコだ。次の試合に引き分けたとしよう。引き分けなのだから1.から3.の当該チーム間での勝点、得失点、ゴール数は当然同じだ。では4.と5.はどうかというと、実はここまで両者とも2得点3失点なので、やはり同じになってしまう。とすると、6.とか7.みたいな意味不明の規定が活用されてしまうのか??
●いや、そうはならない、たぶん。というのは5.までで決着がつかず、なおかつグループリーグ最終戦が当該チーム同士の対戦だったときにおいてのみ、両者でPK戦を行うというスペシャルな規定がある。したがってトルコとチェコが引き分けた場合は、延長なしでPK戦になるとワタシは解している。録画設定はPK戦まで考慮に入れておこう。
●一方、B組の第2戦、クロアチアがドイツに勝った。クロアチア優勝説が現実味を増してきた(笑)。個々の選手のテクニックが高いという以上に、チームが一つにまとまっているのがいい。もう一つの開催国オーストリアはポーランドと1-1でドロー。ほぼポーランドが勝利を収めていた試合だが、ロスタイムにイングランド人の主審がかなり親開催国的なPKをオーストリアに与えてくれた。元名古屋のヴァスティッチがこれが決めて劇的同点ゴール、最終戦でドイツに勝てば2位になる可能性はある。
●B組の1位はクロアチアで決定。なぜならたとえ彼らが次にポーランドに敗れたとしても勝点6。ドイツがオーストリアに勝てば勝点6で並ぶが、「当該チーム同士の成績」でクロアチアが上回ることになる。得失点差は関係なく、クロアチアの1位が決定している。これで第3戦はベテラン選手や線の細そうなモドリッチなどを休ませることができる。ホントに優勝するかも。

June 13, 2008

ヴェルディ 「椿姫」

新国●と、この調子でサカネタが延々と続くのか、EURO開催期間中は。いや、そういえば先週、見たのだった、「椿姫」@新国立劇場。上岡敏之指揮東フィル、ルカ・ロンコーニ演出、ヴィオレッタにエレーナ・モシュク、アルフレードにロベルト・サッカ。ジェルモンにラード・アタネッリ。満喫。特に雄弁なオケ。
椿姫●「椿姫」ってどうして「椿」なのか、ずっとワタシはわかんなかった。主人公の名前がヴィオレッタでスミレっぽいのになんでツバキなのかなー、とか。その後、デュマ・フィスの原作では主人公の名はヴィオレッタじゃなくてマルグリット・ゴーティエであり、彼女はいつも椿を携えていたことなどを知ってスッキリ。
●このオペラって第1幕はひたすら華やかで楽しいじゃないっすか、耳なじみのいい曲が続いて。舞台も(予算を意識させる舞台美術を幻視の力で補正するとして)ありえないほど豪奢にして極めて趣味の良い高級娼婦のお屋敷だし。で、第2幕からが「椿姫」がなぜ「トラヴィアータ」=「道を踏み外した女」となるのかという本編本筋本領に入るわけなんだけど、久々に見て思い出した、ワタシはあろうことに「椿姫」の第1幕だけが好きなのだった。もうずっと「乾杯の歌」で浮かれていたい。「花から花へ」と享楽的に過ごしたい。高ダメ度の世界のヴィオレッタは、アルフレードに「この花がしおれるころに再会しましょう」といって造花を渡し、遊蕩に耽ったまま、道を踏み外さない。
●第2幕以降、事件の主犯はジェルモンであり、これは実はジェルモンの物語だと気づく。ヴィオレッタとアルフレードの関係を勝手に引き裂いておきながら(しかもそれ相応のやむにやまれぬ事情があるところがヤになる)、死の床のヴィオレッタのもとに駆けつけて赦しを与えるという、このジェルモンの居心地の悪さ感。ワタシはどうしてもジェルモンに共感してこのオペラに接してしまうのであり、終幕まで仮想的な針のムシロに座り続ける。アルフレードよ、スマソ、ワタシが悪かった。ヴィオレッタよ、スマソ、ワタシが悪かった。
●しかもこの前の「ラ・ボエーム」に続いて、またも「病死オチ」だ。いや、でもこれは作者の実話に基づいてるんだからオチとか言っちゃいかんか。世界の中心で愛を叫びながら号泣すべき場面だ。でもジェルモンと化した自分にカタルシスは訪れない。
●ヒロインのモデルとなった実在のドゥミモンデーヌ、マリー・デュプレシーの言葉。「嘘をつくと、歯がきれいになるの」。今度ワタシも使ってみようかなあ。「ウソをつくと歯がきれいになるんすよ」(ウソ)。あ、今、虫歯治療で歯科医に通ってるんだけど。先生、ウソついたら虫歯治ったりしませんかね。

June 12, 2008

EURO2008 D組 スペインvsロシア / ギリシャvsスウェーデン

欧州選手権2008●4日目にしてD組が登場。決勝までの道のりを考えれば、D組がいちばん短期間に数多くの試合をこなさなければいけない。だから損な組なんだけど、だからといってそれで結果が左右されるとは限らない。
スペインvsロシア。ビジャのハットトリックもあって結果は4-1とスペインが圧勝したわけなんだけど、前半はそんな一方的な差は感じられず。むしろ引き締まった好ゲームで、ロシアの高さとパワーに頼らない志の高いサッカーには好感を持てた。ただ苦労して中盤を組み立てても、スペイン選手の個人的なテクニックで全部ご破算にされてしまうという悲しさ。2点目だったかな、イニエスタがオフサイドにならないギリギリのタイミングで、裏に飛び出たビジャにパスを出して、ビジャは股抜きシュート。唖然とするほど見事。イニエスタ天才。スペインでもっとも好きな選手だなあ。
●半ば(いや全部か)負け惜しみなんだけど、ワタシはヒディンク采配なんてぜんぜんスゴくないと思っているので、ロシアが負けて少し溜飲を下げてたりする。でも安心できない、まったく。ヒディンクだってスペイン相手に星を落とすことなんて十分計算に入れてる。3試合目とかで4トップとか5トップみたいなアレな采配をして勝ち抜くことだってありうる。気をつけねば(何を?)。
ギリシャvsスウェーデン。前チャンピオンであるギリシャは5バックで引いて守ってカウンター。当たりも激しそう。でもハリステアスは見ごたえ大あり。
●スウェーデンは先発2トップがイブラヒモヴィッチと、なんと大会直前に復帰したベテランのヘンリク・ラーション。えー、まだラーションの時代なのか。えっと、ワールドカップ・アメリカ大会って何年だっけ。1994年か。ヘンリク・ラーションをはじめて見たのはこの大会だ。まさか2008年になっても健在とは。しかもすごく効いてるし。
●スウェーデンはコーナーキックのときに、いつも二人立つんすよ、キッカーの位置に。なんかこれって、「キャプつば」的ななにかとんでもない必殺技を予感させてくれてワクワクする。いや、もちろん二人で蹴ることはできないので、ショートコーナーするのかな、しないのかなと思わせて、結局一人がフツーに蹴ったりするんだけど。でもまだ油断してはいけない。決勝あたりまで行くと「スカイラブツインコーナーキック!」とか見せてくれるのかもしれない。
●だとしたら、EURO2008は伝説として永遠に語り継がれるな(←なわけない)。

June 11, 2008

EURO2008 C組 オランダvsイタリア

欧州選手権2008●なんと、EURO2008の結果が新聞とかasahi.comとかにもデカデカと載っているではないっすか。こんな深夜の試合、生放送を見れる人なんてめったにいないから、一日結果バレせずに過ごすのがなかなか大変。ここまで海外サッカーが浸透するとはな~。
●で、C組はいわゆる「死の組」デス! っと大終結強豪国たち、イタリア、オランダ、フランス、ルーマニア。ルーマニアまで含めてすべての組み合わせが決勝戦でもおかしくない。オーストリアとスイスの共同開催だから、開催国だけでシード枠2つ埋まるからこうなる。ワタシがイタリアの監督なら組み分け見た瞬間に悲嘆にくれるね。あー、なんて酷い抽選だ、歌います、♪ドナドナドーナドーナ~(←監督がドナドニであるってことにほとんどかかっていない)。
●で、オランダvsイタリアだ。スタメンにファン・ブロンクホルストがいて少し驚き。バルセロナを辞めて祖国に帰ったということでなんとなく第一線を退いたかのような印象があったんだけど、実はフェイエノールトでがんばっていたっぽい。しかもこの日はオランダの3得点すべてに絡むという大活躍ぶり。1点目はファン・ブロンクホルストの強烈なミドルシュートをブフォンがはじいたところにファン・ニステルローイが詰めてゴール。でもワタシはこれがどうしてオフサイドではないのかわからなかった。ゴールラインの向こうにイタリアのパヌッチがうずくまっていたのをカウントすれオフサイドではないが、明らかにプレイに係わりようのない選手をカウントするだろうか? 抗議するイタリアの選手たちの気持ちもわかる。
●でも2ゴール目は文句の付けようもないほど美しいカウンターアタック。左サイドバックのファン・ブロンクホルストが大きく右サイドに振って、これをカイトが頭で中央に折り返し、この日24歳の誕生日を迎えたスナイデルが華麗にボレー、ブフォンのニアをぶち抜いた。オランダよりむしろイタリアが好きそうなゴールで、ドナドニが地団駄踏んで悔しがる姿を勝手に思い浮かべた。
●3点目はクロスボールにファン・ブロンクホルストが頭で決めて、まさかの大勝、3-0。イタリアは世界王者らしからぬ戦いぶり。メンバーは強力なんだけどなあ、パヌッチ、ザンブロッタ、ガットゥーゾ、アンブロジーニ、ピルロ、カモラネージ、ルカ・トニ、途中からデル・ピエロも出てきたし……はっ、熟成しすぎ? そういえばマルコ・マテラッツィも出てる。対フランス戦は因縁の対決になるのか。もし試合中にマテラッツィが金縛りにあったら、それはジダンの呪い。いや違うか。正確にはジダンじゃなくてジダン・ファンの呪いだな。たとえば、ワタシとか。さ~、手近な人形にマルコって名づけようかな♪

June 10, 2008

EURO2008 B組 オーストリアvsクロアチア

オーストリア●EURO2008は開催国オーストリアが登場。オーストリアvsクロアチア。開催国であるにもかかわらず、誰一人優勝候補に挙げないどころか、最弱国とまで貶されてしまうオーストリアだが、そんなはずがないんである。たしかに昨秋のオシム・ジャパンとの対戦を思い起こすと、オーストリアはホームであるにもかかわらずニッポン相手にほとんどチャンスを作れなかったが、いざ本大会となれば、彼らは真の力を発揮するはずだ、さあ見よ、このオーストリア・サポで埋め尽くされた圧倒的なスタジアムを……あれれ? むしろクロアチア・サポに押されてないか?
●試合前に「オーストリアの全選手のテクニックを合わせてやっとオレ一人分に相当する」とクロアチアの某選手が豪語したという。試合が始まってみると、クロアチアはガンガンと飛ばしてくる。クライフの再来と噂される14番のモドリッチ、前回W杯の対ニッポン戦でもおなじみ中盤のクラニチャール、さらにコヴァチ兄弟、前線のオリッチなど、タレントは豊富。序盤にオリッチがドリブル突破からPKを獲得、モドリッチが豪胆にもど真ん中に蹴ってクロアチア先制。オーストリアはタジタジ。
●でも後半からずいぶん様子が変わった。クロアチアは後半途中から全員で示し合わせたように、みんなで守って、3人だけでカウンターで攻めるというスタイルに転換。「さすが試合巧者だな~、この相手の攻撃なら受けて立っても失点しないという自信なのか」と思ってたら、オーストリアが魂のフットボールで攻勢を強め、飛ばしすぎたクロアチアは受けて立つどころか、足が止まって必死の守備に。試合開始前の余裕とはうらはらに、最後のほうは顔面蒼白になって守っていた気がする。タイムアップの笛が鳴って、ピッチ上に倒れるクロアチア選手数名。1-0でクロアチアが勝つには勝ったが、「こんなはずではなかった」と思っているはず。いくら技術に差があっても、開催国相手に楽に勝てるはずがない。オーストリアにはパワーと高さがあった。
●ところで今回のB組なんだけど、オーストリア、クロアチア、ドイツ、ポーランドという組み合わせで、やたらとご近所圏で固まっている。クロアチアにはオーストリアの国籍を持っていたり住んでいた選手がいる一方(クラニチャールはラビッド・ウィーンの育成機関出身)、オーストリアも途中出場のヴァスティッチは生まれも育ちもクロアチア。ドイツは前線のクローゼとポドルスキーがポーランド出身で、この微妙なドイツvsポーランド戦は前回ワールドカップの再現でもある。知らずに名前だけを聞いていると、ヴァスティッチやポドルスキーはどちらの選手かわからない。ていうか、もう欧州の代表チームはどこも他民族化が進んでいるから、名前で所属が判別できる時代は終わってる。ポドルスキー、クローゼに加えて「マリオ・ゴメス」っすよ、ドイツの攻撃陣は。
●ちなみにヴァスティッチは、以前名古屋グランパスエイトに所属してゴールを量産した、あの男前のヴァスティッチだ。今年39歳になる大ベテラン。名古屋では前線のストライカーとして活躍していたが、オーストリア代表では中盤のプレイメイカーのような役割を果たしていた。もとはストライカーだったらしいが、グラーツ在籍時に当時の監督であったオシムに見出されて、中盤の選手として成長したそうである。Jリーグとの地続き感が少し嬉しい。

June 9, 2008

EURO2008開幕! A組 ポルトガルvsトルコ

欧州選手権2008●EURO2008こと欧州選手権開幕。灼熱のW杯アジア予選から一転して、スイスとオーストリアで開かれるきわめて快適そうでハイレベルな大会へ。なんていうかな、前から薄々感じていたんだけど、ヨーロッパの人たちってワールドカップよりも欧州選手権のときのほうがはしゃいでない? よそ者から見ると、彼らがとても心地良さそうなんすよ。アウトサイダーっていうか異文化すぎる人々がいない分、安心して盛り上がれる、みたいな。これ、ワタシの妄想かなあ。
●しかも今回、そのEUROならではの開放感、安心感がいっそう増している気がする。これはさらに輪をかけて妄想なんだけど、イングランドが予選敗退して参加してないじゃないっすか。でも予選敗退したのはイングランドだけじゃなくて、たとえばスコットランド、アイルランド、ウェールズ、北アイルランドすべて予選敗退している。そう、つまり今回のEUROは大陸勢だけでやってるという超EURO(笑)。
●なんだけど、そんな中で異彩を放っているのは2002年日韓W杯以来久々に国際大会本大会に出場したトルコ。この身内感の高いEUROにおいて唯一「ひょっとしてアジア」感が漂う参加国であり、地理的宗教的にはアジアの予選を戦ってもおかしくない国だろうと考えて、勝手にトルコを応援することに決めた、擬似アジア代表として。トルコがんばれ、優勝してくれ。ていうか、ニッポンもUEFAに入れてくれ、もうヤだアジアの戦い……はっ、いかんいかん、それは違うだろ!
●4年前のEUROはギリシャが優勝してしまった。マンツーマンで激しく守備して。開催国ポルトガルを決勝で破ってしまった、あの空気読めない感。味わい深かった。楽しいサッカーをするポルトガルが、何一つ楽しいことのないギリシャに負けてしまった腹いせに、ワタシは祝、ポルトガル優勝!というエントリーを作った。
●そしてEURO2008、初日にポルトガルvsトルコが。今回は圧倒的にトルコ応援モードで観戦するが、ポルトガルが憎たらしいくらいに巧い。中盤は完全にポルトガルに制圧されていた。トルコにもチャンスはあったので、前半までは決して悪いペースではなかったのだが、後半にペペがディフェンスラインから持ち上がり、ヌーノ・ゴメスと鮮やかなワンツーを決めてゴール。終了間際にも失点して2-0でポルトガルが完勝。同じA組のチェコがスイスに勝ったこともあって、この組は早々に2強2弱の雰囲気が漂ってしまった。いきなりトルコは苦境に。
●これから試合が始まる前に優勝予想を。本命はドイツだろうが、ダークホースはクロアチア。C組にオランダ、イタリア、フランス、ルーマニアと異様に強豪が集中しているので、グループリーグでかなり疲弊するはずで、ここを勝ち抜いたチームは不利。一方A組とB組はスイスとオーストリアという開催国がシードされている分、強豪国が少ない。特にB組はオーストリア、ドイツ、クロアチア、ポーランドという組み合わせなので、みんなドイツが楽をできるだろうと見て、ただでさえ優勝候補のドイツがますます有利に見えてくる。しかも、決勝戦は開催国を含むA組、B組から勝ちあがれば中3日で戦えるのに対して、C組、D組から勝ちあがると中2日という厳しさ。A組、B組は優遇されている。本来開催国に与えられた日程的優位をドイツがおいしくいただくというのは、とてもありうる線に思える。
●でも、同じB組のクロアチアがその有利さを活かすっていう可能性も十分あるんじゃないかと。イングランドを予選で蹴落としたのがクロアチアだ。あっ、も、もちろん、開催国オーストリアが快進撃をしたっておかしくはないですけど。なにしろ前回チャンピオンはギリシャだ。以前、ノーマークのデンマークが優勝したこともあった。オーストリアがウィーンでの決勝のピッチに立っていないとは誰も言い切れない。

June 8, 2008

オマーンvsニッポン@ワールドカップ2010三次予選

オマーン●やっぱり。先日のホームゲームでは相手にチャンスをほとんど与えず3-0で完勝したわけだが、アウェイで戦えばもう別人別チーム別次元のオマーン。実際監督もメンバーも変わってるから本当に別チーム。ニッポンは苦戦した。先制してれば違ったんだろうが、前半につまらないフリーキックを与え、そこから相手のミドルシュートがニッポンのゴールに突き刺さって早々に失点。トゥーリオはなぜか落ち着きを失っていたように見えた。
●後半8分に玉田の突破からPKを獲得。蹴るのは遠藤。いつもの「コロコロPK」をやるのか、ドキドキした。相手はイングランド・プレミアリーグでレギュラーを張るアリ・アルハブシ。遠藤のキックのモーションに対して、さすがこのキーパーは一歩も動かない。でもそれならそれでゴール右隅に「コロコロ」を入れてしまうんだから、遠藤はスゴい。1-1。
●その直後、主審がバランスをとるかのようにオマーンにPKを与えてしまう。一瞬にして暗澹たる気分に。でもオマーンのキッカーが、遠藤の「コロコロ」から悪いインスピレーションを得てしまったようで、中途半端な「擬似コロコロ」を蹴ったら楢崎がセーブ。この瞬間、神、楢崎。
●主審に悪口は言えない。大久保がキーパーと交錯したときに、まったくなんの意味もなく相手に蹴りを入れる。ありえない。当然のごとく退場。まさかあれがズル賢いプレイだとでも? ただ主審が同時にオマーンの4番も退場にしてくれたので助かった。4番が松井を突いたということらしいが、退場させるほどのものではなかった。
●中東で試合をすると、すぐに「40度の灼熱地獄」みたいな話になるんだけど、実はほとんどの場合、先にバテるのはその中東のチームなんすよ。ニッポンはアジアの戦いでいっつも中東アウェイで戦ってるわけで、こういうときに真夏でも試合をしているJリーグの強みが出るのか、どんな暑くても中東でニッポンが走り負けたところなんて見た記憶がない。そもそも中東のチームは、40度でも走れるんじゃなくて、40度だから走らないサッカーに適応してるだけで、後半の後半くらいはバタバタと足が攣る選手が続出。おかげでニッポンは次々とチャンスを作り、これは勝てる試合だと思えたのだが……結果は1-1のまま。
●しかしオマーンに勝点3を与えなくて良かった。もうバーレーンの後塵を拝するのは良しとして、2位を狙うと考えればこの引分けは大きい。三次予選でこんなに苦労するとは。でもサッカーだしな。そういうものという気もする。
●この試合の後、すぐにオーストリア&スイスでEURO2008開幕。4年に一度の欧州選手権。6月29日、ウィーンで決勝が行われる。これは楽しみ。開催国オーストリアの健闘を祈る。

June 6, 2008

新・萌えるヘッドホン読本

新・萌えるヘッドホン読本●これは何の本なのかなあ? 「新・萌えるヘッドホン読本」、表紙だけ見るとアレなんだが、収録ヘッドホンにAKGだのSENNHEISERだのSTAX、audio-technica、SONYといった名前が並んでいて、ある意味ピンポイントで突いてきているのだが。「ヘッドホンアンプ×6機種Review」とか、やたらマニアックな気配は漂ってる。
●前に「もえたん」っていう英単語の本があったっけ。「萌える不滅の名盤100」とかどうか。って遅いな。

June 5, 2008

クリスティアン・アルミンク、新日本フィルとの契約を延長

アルミンク
●クリスティアン・アルミンクが新日本フィル音楽監督の契約を10/11シーズンまで延長するということで記者発表。03年9月に音楽監督に就任して以来、すでに5年目となるわけだが、両者の良好な関係がさらにしばらく続くことに。「今回、新日本フィルとの契約を延長することができ、とても喜んでいます。新日本フィルとのこれまでを振り返ってみると、とても楽しい5年間でした。オネゲルの『火刑台上のジャンヌ・ダルク』やワーグナーの『ローエングリン』、ブラームスなどの演奏が特に記憶に残っています。すでにこのオーケストラには質の高いメンバーがそろっていますが、これからもさらに音楽への理解を深め、--これは非常に重要なことなのですが--オーケストラの自発性を高めながら、レベルアップしていきたい」とアルミンク。
●すでに発表されている来シーズン(テーマは「秘密」)についても案内があり、「新日本フィルにはとても相性が良い客演指揮者が二人いる」として、ブリュッヘンとダニエル・ハーディングを招いたことを強調していた。ブリュッヘンは来年2月にハイドンの「天地創造」で登場。ちなみにブリュッヘンについては、新日本フィルとの「ハイドン・プロジェクト」というプランが用意されているそうで、詳細については7月中旬に記者発表予定の予定。これは楽しみ。

June 4, 2008

地下鉄のガム男

ガム噛みクワッチュ!●クワッチュ、クワッチュ、クワッチュ! 混雑度75%くらいの地下鉄東西線で、その男はガムを噛んでいた、リズミカルにしかし力強く、インテンポで、口蓋内で反復される咀嚼と圧搾のシンフォニーを車内に轟かせていた。クワッチュ、クワッチュ、クワッチュ! これほどまでに雄渾なガムの噛み方をワタシは見たことがない、いまにもシトラス系の香りが漂ってきそうだ、ガムベースから滲み出るジューシーな果汁ゼロパーセントの糖液が仮想的にワタシの口に中にも再現される。クワッチュ、クワッチュ、クワッチュ! ガム男の耳には青いイヤフォンが刺さっていた、耳の中に差し込むインナー型、そうか、その溌剌と運動する咬筋はまさに彼の外耳道で繰り広げられる音のドラマと同期しているのであろう、ではそれはいったいどのような音楽なのか、楽曲に内在する不屈の精神が勇ましく顎関節を運動させるのか、あるいは優美なロマンスが口腔で甘く冷涼なキシリトールとなって再現されているのか、そう思ったら。クワッチュ、クワッチュ、クワッチュ! 男はカバンからCD-Rをはみ出させていた、盤面に青い手書き文字が見えた。クワッチュ! ガムミュージック、それはおそらく己の音楽。クワッチュ!音楽を作り、噛む、クワッチュ! 車内のだれもがガム男の音楽に聴き入っていた。

June 3, 2008

ニッポンvsオマーン@ワールドカップ2010三次予選

ニッポン!●アウェイでのバーレーン戦に敗北して以来のワールドカップ2010三次予選。4チーム中2位までが最終予選に進めるという微妙に中途半端な三次予選なのだが、一つ負けたことでまさかの三次予選敗退の可能性が出てきた。というか、これくらいの試合数だと一試合の重み(特に相手に勝点3をプレゼントしてしまう影響)が大きいということか。
●で、迎えたホームでのオマーン戦だが、拍子抜けするほどの圧勝。結果は3-0だが、90分を通して相手が優位に立った時間帯というのがほぼ皆無。三次予選でこんな試合があるとは予想もしなかったというくらい、完璧な試合だった。バーレーン戦とは選手もずいぶん変わっている。先発だけ書いておくと、GK:楢崎-DF:駒野、中澤、トゥーリオ、長友(おお!)-MF:遠藤、長谷部、中村俊輔、松井大輔、FW:大久保、玉田。途中から平成生まれのニッポン代表、セレッソの香川真司がデビュー。J2の選手という点でも異例。期待半分謎半分。
●しかし試合終了後に落ち着いて考えてみると、どう考えてもオマーンはバーレーンより数段弱い相手だった。しかもこちらのホーム、海外組もそろっているのに対し向こうは主力を何人も欠いている、雨も降り出した、早めに先制できた、主審もフレンドリーと、あらゆる面でうまく回っていた。続いてすぐにアウェイでオマーンと対戦することになるので、彼らはそこで豹変して真価を発揮するのかもしれないし、やっぱり今日と同じような戦いになるのかも……いや、さすがにそれはないか。
●オマーンはバーレーンvsニッポン戦を参考にしすぎたのかも。ニッポンのホームゲームなのに、あんなにラインを高めに敷いてくるなんて。
●バーレーンには何人かの突出したタレントがいたからなあ。あ、気になるタイvsバーレーン戦はやはりバーレーンが勝利。3-2。少し惜しかった。バーレーンだってアウェイではそう楽には勝てないだろうと踏んでいたのだが。

June 2, 2008

週末フットボールパラダイス~まさかの三連敗編

●天気の良い日曜日はまたしてもご近所フットボール観戦、自転車で武蔵野陸上競技場へ。JFL(J1、J2の下のリーグ)の横河武蔵野FCvsカターレ富山へ。JFLには「Jリーグ準加盟」のクラブがいくつかある。将来的にJリーグ入りを目指すクラブはまず準加盟する方式。でも横河武蔵野FCは準加盟していない。にもかかわらず、これまで栃木SCやガイナーレ鳥取といった準加盟クラブ相手に勝利を収め、開幕から11試合負けなしの快進撃を続けていた……。
●と思ったら。5/18にMIOびわこ草津に0-1で負け、続いてHondaFCに0-1、そしてこの日、準加盟クラブのカターレ富山と対戦。これまでの貯金があるから順位は横河武蔵野のほうが上なのだが、相手はJリーグ参入を目指してアローズ北陸(北陸電力サッカー部)とYKK APサッカー部という、それぞれ母体の大きな富山の2大クラブが合併してできたチーム。「富山からJクラブを」という本気度の高さは、この日武蔵野陸上競技場にやってきたサポーターからもうかがえた。人数も多かったし、チャントもある。彼らは準備ができてる感じ。ガイナーレ鳥取戦のときも思ったんだけど、JFLで毎試合はるばる遠くからやってくるサポーターたちがいるってスゴくないっすか? みんなどうやって移動してるんだろう。
●試合は前半にカターレ富山がコーナーキックから金明輝のヘディングで先制。武蔵野は守備の堅さで勝って来ているチームなので、先制されると辛い。得点したカターレ富山はどんどんパスがつながるようになる。武蔵野は攻め手のないまま前半を終える。後半は立ち上がりから武蔵野が押し込むが、攻撃的に出て守備の薄くなったところで長谷川満にゴールを奪われて0-2。その後、コーナーから高橋周大が1点を返し、試合終了まで怒涛の攻めを見せるが追いつけず。途中、PKのチャンスを得たが、これを決められず。キッカーが一度失敗したがやり直しの機会を得て、ふたたび失敗してしまったという非常に悔やまれるPKだった。でもこういうことは誰にでもあるもの。元アルゼンチン代表のパレルモだってコパ・アメリカで1試合に3回連続PKを外した。運が味方してくれなかっただけだ。
●これでまさかの三連敗。そしてこの後、アウェイでSAGAWA SHIGA FC、ホームでニューウェーブ北九州(準加盟)、アウェイでファジアーノ岡山(準加盟)と気の抜けない相手が続く。って、気の抜ける相手なんかいないか。
●ちなみにSAGAWA SHIGA FC(佐川急便滋賀フットボールクラブ)というのは、佐川急便東京と佐川急便大阪が合併して、なぜか滋賀に移転したクラブ。なので、現在のJFLには佐川急便滋賀とMIOびわこ草津と滋賀のクラブが2チームもある。富山のように一チームに集約させたところもあれば、滋賀のように3部リーグでダービーマッチができるところもある。JFLのチーム事情はさまざま。

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