June 10, 2008

EURO2008 B組 オーストリアvsクロアチア

オーストリア●EURO2008は開催国オーストリアが登場。オーストリアvsクロアチア。開催国であるにもかかわらず、誰一人優勝候補に挙げないどころか、最弱国とまで貶されてしまうオーストリアだが、そんなはずがないんである。たしかに昨秋のオシム・ジャパンとの対戦を思い起こすと、オーストリアはホームであるにもかかわらずニッポン相手にほとんどチャンスを作れなかったが、いざ本大会となれば、彼らは真の力を発揮するはずだ、さあ見よ、このオーストリア・サポで埋め尽くされた圧倒的なスタジアムを……あれれ? むしろクロアチア・サポに押されてないか?
●試合前に「オーストリアの全選手のテクニックを合わせてやっとオレ一人分に相当する」とクロアチアの某選手が豪語したという。試合が始まってみると、クロアチアはガンガンと飛ばしてくる。クライフの再来と噂される14番のモドリッチ、前回W杯の対ニッポン戦でもおなじみ中盤のクラニチャール、さらにコヴァチ兄弟、前線のオリッチなど、タレントは豊富。序盤にオリッチがドリブル突破からPKを獲得、モドリッチが豪胆にもど真ん中に蹴ってクロアチア先制。オーストリアはタジタジ。
●でも後半からずいぶん様子が変わった。クロアチアは後半途中から全員で示し合わせたように、みんなで守って、3人だけでカウンターで攻めるというスタイルに転換。「さすが試合巧者だな~、この相手の攻撃なら受けて立っても失点しないという自信なのか」と思ってたら、オーストリアが魂のフットボールで攻勢を強め、飛ばしすぎたクロアチアは受けて立つどころか、足が止まって必死の守備に。試合開始前の余裕とはうらはらに、最後のほうは顔面蒼白になって守っていた気がする。タイムアップの笛が鳴って、ピッチ上に倒れるクロアチア選手数名。1-0でクロアチアが勝つには勝ったが、「こんなはずではなかった」と思っているはず。いくら技術に差があっても、開催国相手に楽に勝てるはずがない。オーストリアにはパワーと高さがあった。
●ところで今回のB組なんだけど、オーストリア、クロアチア、ドイツ、ポーランドという組み合わせで、やたらとご近所圏で固まっている。クロアチアにはオーストリアの国籍を持っていたり住んでいた選手がいる一方(クラニチャールはラビッド・ウィーンの育成機関出身)、オーストリアも途中出場のヴァスティッチは生まれも育ちもクロアチア。ドイツは前線のクローゼとポドルスキーがポーランド出身で、この微妙なドイツvsポーランド戦は前回ワールドカップの再現でもある。知らずに名前だけを聞いていると、ヴァスティッチやポドルスキーはどちらの選手かわからない。ていうか、もう欧州の代表チームはどこも他民族化が進んでいるから、名前で所属が判別できる時代は終わってる。ポドルスキー、クローゼに加えて「マリオ・ゴメス」っすよ、ドイツの攻撃陣は。
●ちなみにヴァスティッチは、以前名古屋グランパスエイトに所属してゴールを量産した、あの男前のヴァスティッチだ。今年39歳になる大ベテラン。名古屋では前線のストライカーとして活躍していたが、オーストリア代表では中盤のプレイメイカーのような役割を果たしていた。もとはストライカーだったらしいが、グラーツ在籍時に当時の監督であったオシムに見出されて、中盤の選手として成長したそうである。Jリーグとの地続き感が少し嬉しい。

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