●そういえば今年がリムスキー=コルサコフの没後100周年だったって知ってた? たしかここでも年頭にそう書いたと思うんだけど、すっかり忘れていた。
●なぜそれを思い出したかといえば、またしてもプロムスのネットラジオを聴いていたら、こんなプログラムを発見したからだ、すなわちProm 68のウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルの公演で、
Rimsky-Korsakov Kashchey the Immortal (concert performance; sung in Russian)
Stravinsky The Firebird (complete)
っていうのがあったから。リムスキー=コルサコフのオペラ「不死身のカスチェイ」演奏会形式とストラヴィンスキーの「火の鳥」全曲。で、あっ、そうなのか、と。「カスチェイ」って言われたらまっさきに「火の鳥」の魔王カスチェイを思い出すけど、ワタシはカスチェイというのが何者なのか、まったく知らないではないか。たまたまストラヴィンスキーのバレエ音楽に出てくるから名前を耳にするだけで、元ネタのロシア民話かなにかがあるわけで、他にだれかが同じ題材で曲を書いていてもおかしくない。で、この日、並んでいたのがリムスキー=コルサコフのオペラ「不死身のカスチェイ(カシチェイ)」。そんな曲があったとは。これは聴くしか。
●魔王カスチェイって何者なんだろ。「魔王」というのは曲者で、悪魔だとか妖精だとかさまざまな超自然の生命が「魔王」と呼ばれている。音楽的に有名なのはシューベルトの「魔王」だけど、原題Der Erlkönigの意味は「ハンノキの王」あるいは「エルフの王」なんて書かれていて、案外弱そうな気がする。ていうか大概、魔王は戦っても負けるものと決まっている。「ドラゴンボール」のピッコロ大魔王、「クレヨンしんちゃん」のハイグレ魔王、古いけど「ハクション大魔王」、古典的には「西遊記」の牛魔王、そしてドラクエのラスボス、魔王オルゴ・デミーラとか大魔王ゾーマとか、みんなだいたいレベル99じゃなくても倒せそうな感じがする。だからカスチェイも弱いのかなーと思ったら、「不死身のカスチェイ」なんて言うくらいだから、実は強いのかもしれん。
●そんなわけで、これからユロフスキ指揮ロンドン・フィルを聴こうとしているのだが、未知のオペラを聴く前にこっそり調べてみようと思ってググッてみて気がついた。なんと、このオペラ、つい最近演奏会形式で日本初演されてるじゃないですか(笑)。アシュケナージ指揮EUユース・オーケストラ日本公演、神奈川で。げげ、そうだったのか。
●おかげで簡単なあらすじを読むことができた。なるほど、カスチェイは醜い老魔王なのか。あとリムスキーダイスキーさんのページでもこのオペラについて紹介されているのを発見。なかなか地味そうなオペラである(笑)。プロムスの公演はあと2日くらい聴けるので、これを機に「不死身のカスチェイ」聴いてみようって方は、こちらからどぞ。1時間ほどの短いオペラ。