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September 30, 2008

「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ著)

わたしを離さないで●えっ、この本、もう文庫になったのか。「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ著/ハヤカワepi文庫)。ブッカー賞受賞作、巷でも傑作と世評が高く、この表紙も魅力的で、読もう読もうと思いつつもグズグズしてて、ついこの前になってようやく単行本を読んだと思ったら、すぐ文庫で出た。ぐぐ。
●この小説はミステリーでは全然ないんだけど、読み始めると最初の1ページから「ん? この物語の背景はどうなってんのかな? この言葉はやはりアレを指すのかなあ」と読者を少しだけ宙ぶらりんにさせて話を進めるんすよ。だから、ミステリー仕立てでもあるとして、「ネタを割らない」っていう紹介の仕方もある。でもその一方で、フツーに文芸畑の人はあっさりネタを割って作品を語るし、割らないと作品内容について語りようもないわけで、新聞書評レベルでも堂々と割ってたような記憶がある。
●ワタシだったら、やっぱりネタは割れないなあ。何にも知らずに読むのがいちばんおもしろいから。ある特殊な状況下における若者たちの青春を描きながら、人間の生命の尊厳をテーマとした大傑作、くらいしかいえない。読後感に頭が真っ白になる。
●このステキな表紙なんだけど(もちろん物語と関係している)、もうしばらくすると「これが何の絵かわからない」という若者が読者対象になってくるんだろう。

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