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2008年10月アーカイブ

October 31, 2008

J秋春制という憂鬱

寒いよ、冬のスタジアムは●個人的にはまったく歓迎できないんだけど、J秋春制移行を本格検討。Jリーグも欧州に合わせてシーズンを秋春制に移行しようっていう案。いや、移行したときのメリットはたくさんあるんすよ。海外移籍が容易になる、代表の日程も欧州と合わせられる、真夏に試合をしなくていいから試合の質が上がる、などなど。テレビ観戦を前提とするといいことづくめなんだけど、しかしスタジアムに足を運ぶとなるとどうなるか。
●冬のスタジアムは恐ろしく寒い。11月下旬から12月でもかなり冷え込む(トヨタカップを思い出そう)。まして1月や2月に観戦できるかって言われると、相当に厳しい。吹きさらしで3時間とか過ごすわけだから、大袈裟なくらい防寒対策して、それでも驚くほど寒いのがスタジアム。しかも東京はまだマシなほうなんすよ、冬は晴れるから。これが日本海側だと冬の間は晴れの日は少なく、毎試合おおむね雨か雪になるわけだ。これがまた寒いんだ。毎試合カッパ要持参。体力が必要になる。座席等にヒーターをつけてくれればずいぶん違うんだろうか?
●それとひきかえに、夏休みのファミリー層のお客をごっそり失うわけだから、新潟や札幌でなくとも各クラブは集客を激減させることになると思う。
●これ、一度偉い人たちみんなで2月の雨の日に一般席でスタジアム観戦してから決めるってのはどうかな。寒いのは試合の90分だけじゃないっすよ。キックオフ1時間前とかにはスタジアムに来るんだし、バス待ち時間とか、試合後のゾロゾロ渋滞行列歩き時間とかもあるわけで。しかもこれで負け試合だったときの心身の荒廃と困憊を想像してみてくれ。
●むしろ欧州に春秋制のメリットを力説したいな。真夏の太陽のもとでビール飲みながら観戦するサッカーは最高だぞ!

October 30, 2008

秋カラヤン

カラヤン/シンフォニー・エディション●そういえば今年はカラヤン生誕100周年なのであった。こんなのが出る。Karajan / Symphony Edition。なんと38枚組で、実勢価格9000~10000円くらい。呆れるほど廉価。主にベルリン・フィルと録音した交響曲を集めていて、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームス、メンデルスゾーン、シューマン、チャイコフスキーを一通り、モーツァルトとハイドンの主だったところ、ごっそりまとめたボックスセット。「全部盛り」感、全開。トラックリストや詳細な録音データはこちらで確認可能。
●もう一つ。新宿テアトルタイムズスクエアで「カラヤン・フィルム・コンサート」。11月8日から14日までは全日、15日から12月12日まではモーニングショーのみ。最初の一週間は終日カラヤンのコンサートとオペラばかりを上映するわけで、大胆なり>テアトルタイムズスクエア。
●なんだか最近やたらと映画館でクラシックを聴く機会が増えている気がする。

October 29, 2008

深まる秋

紅葉しようぜ●さわやかな秋晴れの一日。どこかに出かけたくなる、山歩きができたらな、紅葉を眺めたいな、公園でカモたちと戯れたいな、とか思いつつ、朝から晩までひきこもってパソコンに向かっている、すると思う、このパソコンが生きていたらな、植物だったり動物だったりしたらな、スクスク背が伸びたり、鳴いたり囀ったり、北へと渡ったり、小川のせせらぎのようだったり、木漏れ日のようだったりしたらいいのにな、ワクワク、でもエサとか肥料をやるのはどうかな、微妙だな、ウンチされても困るな、勝手に繁殖されてもどうかな、でもPCが殖えるのはいいのか、いやこんなオールド・スペックなのがもう一台あっても引き取り手がいなさそうだし、リサイクルマーク入ってなかったら廃棄料金が大変だし、どうだろう、基本パソコンは無機物に限るんじゃないかな、そういうフツーの結論が出た、秋だね、もはや完全に。

October 28, 2008

平均年齢65歳

●先週、東京国際映画祭で「The Audition~メトロポリタン歌劇場への扉」っていうドキュメンタリー映画が上映された。METのオーディションを受ける若い歌手たちの姿を追ったもので、このテーマでおもしろくならないはずがないと期待していたら、やっぱりおもしろかったんである。一般公開はまだずっと先みたいなんだけど、かなりオススメ。
●映画の中で、全米予選を勝ち抜いてMETまでやってきた若者たちに向かって、総裁のピーター・ゲルブが一声かけて激励するシーンがあった。「私が総裁に就任したときに統計を取ったら、METのお客の平均年齢は65歳だった。そこで5年前の統計を確認してみたら、平均は60歳だったんだ! 計算してなくてもどうなるかはわかるよね」。だからオペラ界は新しいチャレンジが必要なんだみたいな話だったかな、なんか笑えないジョークって気もするが。あ、ジョークじゃないのか。
●それに比べりゃ新国立劇場の平均年齢はまだ若い気がする。たぶん。全然安心していられない状況にはちがいないだろうけど。
●でも「平均値」って要注意だな。標本に突出した値が含まれると歪むから。「我輩の年齢は10万43歳である」みたいな閣下がMETに通うと、それだけで25歳くらい平均が上がる。

October 27, 2008

ハイドン「騎士オルランド」

●昨日は北とぴあ国際音楽祭でハイドンのオペラ「騎士オルランド」へ。寺神戸亮指揮レ・ボレアードの演奏、粟國淳演出。出演者一覧はこちら。ほとんど上演機会のないオペラなので、ライヴのみならず録音録画含めてこれが初めて。半分オペラ・セリア、半分オペラ・ブッファみたいな不思議な作品で、ハイドン自身が呼んだところによれば「英雄喜劇」。非常に興味深かった。
●「オルランド」っていろんなところで出てくるじゃないっすか。ヘンデルにも「オルランド」があるし、ヴィヴァルディの「オルランド・フリオーソ」も名曲。原典の「狂えるオルランド」由来の曲はいくつもあるけど、舞台で見てようやくどういうキャラなのか納得できた。オルランドがなぜ怒っているかといえば、失恋の痛手で正気を失っているからっていう話なんすね。あと落とし穴として、リュリとかも書いている、たまに耳にする「ロラン」がイタリア語だと「オルランド」になるってのも気づいてなかった。このハイドンの曲には魔女アルチーナも登場する。これは元々「狂えるオルランド」の登場人物じゃないんだけど、台本作家によって絶賛特別友情出演中みたいな感じ。
●登場人物は一通りモーツァルトのオペラにたとえて説明可能。オルランドはドン・ジョヴァンニ、その従者パスクワーレはレポレッロであり「魔笛」のパパゲーノでもある。アルチーナは「夜の女王」、アンジェーリカ姫はパミーナ、メドーロはタミーノ、エウリッラはスザンナあるいはパパゲーナ的なキャラ。で、その物語なんだけど、これがまあ、一見ものすごくわかりにくい。たぶん劇作の作法が違うというか、お客が承知しているはずの暗黙の前提が今じゃ欠落しているってことなんだろうけど、裏返すと時空を超越してそのまま伝わるダ・ポンテとかの台本ってスゴいんだなって気づく。
●一方、ハイドンの音楽はすばらしく冴えてて、抱腹絶倒なのは第2幕のパスクワーレ(レポレロでもありパパゲーノでもある人ね)のアリア「説明してあげよう。これが俺のトリルだ」。演出のアイディアがまたいいんだけど、パスクワーレが舞台上に割り箸を持って登場すると、これをパチンと割って1本を捨てちゃう。で、残りの1本を右手に持ってオーケストラ・ピットに向かって指揮を始める。これがオレのトリルだとかアルペジオだ、三連符だ、高音だ、低音だと次々に声で表現すると、それに呼応してピットの中でさまざまな楽器が立ち上がってトリルやらアルベジオやら三連符やらを聴かせてくれるという趣向で、指揮の寺神戸さんもパーティグッズの髭メガネみたいなのを装着して客席のほうを向いてくれたりと大サービス。客席は大ウケ。「告別」交響曲なんかと同じで、用意した枠組みの外側にはみ出すメタレベルのユーモア。こういうのは古びない。
●一般に、単にコミカルな可笑しさっていうのは猛速度で古びる、というか変化する。谷啓のギャグに「ガチョーン」ってあるじゃないすか。たぶん、リアルタイムであれを見てた人は、「ガチョーン」そのものが可笑しくて笑ってた。でも90年代くらいに「ガチョーン」に笑ってた人は、「これのいったいどこが可笑しいのか全然わかんないようなガチョーンで、かつてみんなが笑っていたという事実が可笑しい」と思って笑った。たぶん2020年くらいになると「ガチョーン」で笑う人はもういないし、リアルタイム「ガチョーン」の笑いと、90年代「ガチョーン」の笑いの違いがわかんなくなる。
●セリアとブッファがいっしょになるってことの微妙さはそのあたりにあるのかも。ブッファなら笑うものだとみんなわかってるから、少々意味が失われていても平気なんだけど、両方いっしょになるとどんなことになるかっていうと、たとえば第3幕でカロンテ(三途の川の渡し守)が出てくるのはセリア的な場面のはずなのに、お客はもう暖まっているから、あまりにもそれらしいカロンテの扮装にププッと笑ってしまう。でもこれでいいんだと思う。おどけた仕草一つで無理やり愛想笑いを取るみたいなのと違って、これは本物の笑いだから。18世紀のエステルハーザ宮廷劇場にはリアルタイム「ガチョーン」があったとすると、21世紀の北区には90年代「ガチョーン」があってもおかしくない。だから石像にされたオルランドが復活して生身の体を取り戻すというオペラ・セリア的なハイライトで、お客さんが笑いでどよめくというのは、演出の勝利なんだと思う。
●パスクワーレ役が圧倒的に儲け役なんだろうけど、アンジェーリカもメドーロもみんなすばらしかったし、オケは生気に溢れていて音楽はきわめて雄弁。これならどんな埋もれた歴史的作品も、たちまち現代に生きている音楽として甦りそう。来年の演目はグルックの「思いがけないめぐり合い、またはメッカの巡礼」。モーツァルトに「グルックの『メッカの巡礼』の『愚かな民が思うには』による10の変奏曲」っていう曲があったっけ。その元ネタなのか。

October 24, 2008

「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語●これはおもしろかった>「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(中野京子著/光文社新書)。ハプスブルク家の歴史を名画でたどっていくというアイディアが秀逸。ついつい読みふけって電車を乗り過ごしそうになってしまう。名画の話もいいんだけど、それ以上におもしろいのが650年にわたるハプスブルク家の王朝劇のほう。スイスの片田舎の弱小貴族にすぎなかった彼らが神聖ローマ皇帝の座を手に入れるところから、王朝が崩壊し小国オーストリア共和国へと至るまでの(途中でマリー・アントワネットがギロチンにかけられたりするわけだ)血まみれのドラマをわずか200ページの新書で駆け抜ける爽快さ。ハプスブルク家の歴史は史実そのものが猛烈におもしろいし、よく知られているものだろうけど、それをちゃんとおもしろく書けるのが書き手の筆力。抜群に巧い。
●あとハプスブルク家関連の絵画を並べると、クラヲタ的にはCDとかLPのジャケットでなじみの絵が出てくることになるのもいいかも。「フリードリヒ大王のフルート・コンサート」とかアルチンボルド(野菜とか果物でできた顔を描いてるあの人ね)とか、見たことない人はいないだろうし。アルチンボルドが描いたルドルフ2世が、れっきとした宮廷肖像画であったという話とか、絵画に疎いワタシは素朴に感動した。

October 23, 2008

浦和レッズvsガンバ大阪@アジア・チャンピオンズ・リーグ準決勝

作戦盤ACL準決勝第2戦。レベルの高い好ゲームだった。結果を知った後で録画を見たんだけど、これはライブだったらおもしろかっただろうなあ。西野監督が常に先手を取って、エンゲルス監督が後手を踏むという戦いで、ガンバが3-1で完勝、決勝進出。チーム一丸となって戦うという姿勢でもガンバが上回っていた。浦和は個々のタレントは超強力なんだけど……いや、人様のチームについてはあれこれ言いにくいな。
●浦和は前半に高原のゴールで先制、しかし後半コーナーキックから2失点。特に決勝点となった2失点目はニアポストで坪井が触ったのか明神がコースを変えたのかよくわからなかったが、そのボールがそのままファーのポストに当たってゴールするという浦和には不運なもの。これだけ見ると「勝負は時の運」という気もするが、ここで西野監督はさらに攻撃しろと指示するのがスゴい。アウェイゴールの関係で、1-2となった時点で浦和はもう2点が必要となったにもかかわらず。事実、前がかりになった浦和から美しいカウンターで3点目を奪った。
●アジア・チャンピオンズ・リーグの試合だから、日本でJリーグ勢同士が戦ってるのに審判は中東勢。なんか不思議な感じ。
●ガンバ大阪の決勝の相手は、オーストラリアのアデレード。ジーコ監督率いるウズベキスタンのクルヴチを破って勝ちあがってきた。W杯予選のみならず、ACLでもオーストラリア勢が強いとは。アジアでは新参の彼らに簡単にタイトルを奪われるのは癪である。ぜひガンバには大男たちを打ち倒して、カップを持ち帰って欲しい。

October 22, 2008

文具側から日本語入力機

●超小型軽量でしかも電池が長持ちして安価で丈夫でキーボードの打ちやすいPCがあったらいいなあと常々思っていたが(そして最近のネットブックには大いに注目してるんだけど)、すべてを満たしてくれるものはなかなかない。で、なるほどと思ったのは、PCからではなく文房具側からアプローチで、キングジムから出たこのデジタルメモツール「ポメラ」(→PCWatch紹介記事)。テキスト入力しかできないけど、乾電池で20時間動く。キーボードは折りたたみ式だから広くて打ちやすそう。ネットへの接続はケータイ/スマートフォンのほうに任せちゃうんならこういう考え方もありなのか。通信機能ゼロというところまで思いきれるかっていうとワタシにはムリだけど、電源に心配がないってのは強い。
●今夜午後10時からのOTTAVAは特集番組「ロッシーニ・ルネサンス」。ロッシーニ・オペラ・フェスティバルの前にゲスト水谷彰良さんのお話を聞いておきたいという方はGO。11月23日までオンデマンドで聴取可。

October 21, 2008

イマジナリー万歩計

●どうやら紛失してしまった、日々装着していた万歩計を。むー、どこ行ったんだ。腰に何も付いていないと激しく落ち着かない。せっかく歩いても計測されないなんて。
たとえばこんなステキ歩数計●しょうがないので、ニュー万歩計導入を検討することにしてみた。万歩計、ていうかこれ商標なので多くの製品は歩数計って名乗ってるけど、いくつか種類があって、いままでのは腰に装着してカウントするだけの超簡易なタイプ、でも最近はポケットに入れてもOKな3D加速度感知型、すなわち「あ、あの人、腰に万歩計なんか付けてるよ、ぷっ」を回避できるタイプが人気。零時に自動でリセットされ、過去一週間分とかメモリに記憶してくれる。見た目もスタイリッシュで、高機能。脂肪燃焼量とか歩行距離、平均速度、区間計測なんでもビバ計測!なデジタルデバイス。これなら楽しく運動不足を解消できるかも!
●でもな。これいつもポケットに入れるわけでしょ、ケータイとかといっしょに。だったら、こんなにカッコいいんだし、ヘッドフォン挿して音楽聴けたりしてもいいんじゃないかって思う。音楽機能付き歩数計っていうか、iPod manpokei みたいなのをアップルが出してくれないものか。……いや、違うな。それを出すならSONYしかないだろ。これをWalkmanと呼ばずして何と呼ぶ!
●多機能型に弱点があるとすると、電池が半年しか持たないとかそのあたりかなあ。あと旧式のは立ったり座ったりするだけですぐにカウンタが回っちゃって誤差も多いんすよ。最新型はホントに歩いたのと単なる振動を区別するために、たとえば連続10歩以上あったらカウントするとか工夫されてる。正確だ。とはいえ、実はそんなに正確じゃなくても困らないんだよな。厳密な数値が欲しいわけじゃなくて、「ああ、今日は10000歩超えたから合格、オツカレ自分」とか「今日は3000歩未満なのにチョコ食べたから太る」とかわかればいいわけで。
●そもそも万歩計見なくても大体わかるけどな、この数年毎日つけてたおかげで。「A社にでかけてその後コンサートに行ったら12000」とか「近所で買い物して後は一日引きこもってデスクワークで3500」とか、脳内万歩計がすでにできている。だったらこれを記録すればいいのか、別に万歩計つけなくても。その日の終わりに今日は何歩あるいたかなと脳内万歩計を参照する。で、記録するといっても、これまでもどこにも書き残してるわけじゃなくてこれも脳内記録だから、記憶の片隅に留めておけばいいわけだ。これ、いいな! ぜんぶ脳内で完結してるし。エア万歩計ってこと? 脳内最強だぜっ!

October 20, 2008

このウェブサイトのアクセスログ

●6月末に当サイトのサーバーの引越し&ブログの再インストールをした。以後サーバーは安定稼動してくれている模様。久々にアクセスログを確認してみた。
●まず、よく尋ねられるアクセス数から。最近はPV(ページビュー:ウェブページ1ページ表示されると1PV)をカウントするのが一般的なようなので、月間および1日平均のPVを7~9月で採ってみた。

月合計PV 1日平均PV
Sep-08 309920 10330
Aug-08 313824 10123
Jul-08 314546 10146

 おおよそ月間30万PV、1日ちょうど1万PVで覚えやすい。めったにカウントしなかったが、以前のサーバーではだいたい1日6000PVくらいと認識してたのになぜか増えている。これはたぶん読者が増えたのではなく、サーバーの引越しに伴ってブログの作り方(過去記事の構成)が変わったからじゃないかと予想している。PVは数字として明快だからよく使われるのはわかるんだけど、サイトの作り方によって容易に増やすことも減らすこともできてしまうものなので、あまり真に受けてはいけない。
●続いてアクセス時間帯を。

classica_log_hourly_usage.gif

 フツーの人が、お昼ご飯を食べる時間帯と、就寝する前の時間帯にピークができている。納得。午前1時以降の深夜は人がぐっと減る。そりゃそうか。
●どの国からのアクセスが多いか。日本語ウェブサイトなのでもちろん日本からのアクセスがほとんどなんだけど、インターネット黎明期からこの種のログを見てると、それ以外の少数派勢力の変遷が興味深かったりする。%はファイル数を測定。国といってもドメインを見ているので、USはCommercialとかNon-Profit Organization、Educationalなどに分割されている。不明も結構ある。

順位
1 73.06% Japan
2 10.63% Network
3 8.36% Unresolved/Unknown
4 5.96% US Commercial
5 0.33% Russian Federation
6 0.28% Germany
7 0.25% United Kingdom
8 0.13% France
9 0.11% Singapore
10 0.09% China

 以下、Mexico、Non-Profit Organization、Netherlands、US Educational、Korea (South)、Old style Arpanet、Norway、Syria、Switzerland、Taiwan、Italy、Austria、Australia、Brazil……と続く。下のほうは誤差の範囲だな。10位内にロシアと中国が入ってきたというのが今っぽい。逆に以前は上のほうに来ていた韓国がぐっと減っている。これら外国からのアクセスには、「そこに日本人が住んでいるから」というのに加えて、「Googleのimage検索などで欧文キーワードがたまたまヒットしたから」というのもそこそこあると思う。

October 18, 2008

N響アワーでエトヴェシュ「セヴン」放映

コロンビア号●19日(日)のN響アワーでエトヴェシュのヴァイオリン協奏曲「セヴン~コロンビア宇宙飛行士への追悼」が放映されるそうなので、話題の新作を聴いてみたい方はチャンネルを教育テレビに合わせるが吉。午後9時~。諏訪内晶子独奏、作曲者エトヴェシュ指揮。
●この曲、今年のBBCプロムスでネット中継されたときにも話題にしたけど(このときは指揮者が代役でスザンナ・マルッキだった)、2003年のスペース・シャトル、コロンビア号が空中分解した悲劇を題材にしている。搭乗していた宇宙飛行士が7人。ヴァイオリン奏者7人が7人の宇宙飛行士に対応しているっぽい。で、ワタシは一応ざっとBBCプロムスのネット中継を聴いて漠然としたイメージを持ってN響の公演に出かけたんだけど、行ってみると楽器配置が特殊で全然想像していた響きと違っていた。ヴァイオリニストは7人いるけど、舞台上にいるのは諏訪内さんのみで、残りの6人はテラスや客席のあちこちに立って、モニタで指揮者の姿を見ながら演奏する(といってもワタシの席からは6人全員の姿は見えなかったが)。オケも通常の扇形の配置とはちがい、ひな壇状に横に奏者が並ぶ。通常の楽器に加えて、多種多様の打楽器、エレキギター、サンプリング・キーボードなどがずらり。日頃聴きなれない多彩な音色を聴かせてくれる。最後列にタムタムが並んでて、たぶんこれがスペースシャトルのエンジンのように曲中で表現されていたりとか、全体に描写性、物語性が高くて対聴衆的にフレンドリー(標題以上のことを知らなくても、曲の終わりに「ああスペースシャトル、落ちたのね」と伝わる)。現代音楽は事前に作品以上に饒舌なテキスト情報を読まなきゃ意味不明で付きあいきれん!と思っている方でも楽しめるんでは。

October 17, 2008

イラン・ヴォルコフ、スターの予感

●なんかブログだと3日くらい前の話題って鮮度がすっかり落ちてるかも、でもまあいいか、14日夜にウワサのイラン・ヴォルコフ指揮東京都交響楽団を聴いてきた。ドビュッシーの「遊戯」とメシアンの「トゥランガリラ交響曲」。イラン・ヴォルコフは1976年イスラエル生まれ。今ギュルギュルと頭角を現す若手指揮者たちの一人で、今年のプロムスでもBBCスコティッシュ管弦楽団とのコンサートがネット中継されてた。
●で、事前に見かけていた写真がこんな感じで、繊細で知的な凛々しいタイプだと思ってたんすよ(イケメンなの?)。そしたら実際に登場したのが、こんな感じに、長髪に口髭アゴ鬚ありの山男みたいになってて、今までこんなに頭部体表発毛率の高い指揮者は初めてだっ、てくらいにワイルドだった。でも長身痩躯で、棒を振り出すと気鋭の建築家然と豹変、あらかじめ頭の中にできている設計図通りに理路整然と音楽を組み立てていく感じ。沈着冷静に燃えるのがすばらしい。指揮ぶりは明快、都響ゴージャス。日頃メシアンの濃厚さに腰がひけがちな人もどっぷり浸かれる透明感のある「トゥランガリラ」だった。キャラが立ってるので(おそらく)、近々イラン・ヴォルコフは大スターになってメジャー路線を驀進する予感。18日にもう一公演、ブラームスの2番他があるので、聴きたい方はGO。惜しくもワタシは行けないんだけど。
●知人に非常に似た雰囲気の人がいるんすよ、ヴォルコフに。実によく似てる。その人が怖いくらい頭のいい人なので、ヴォルコフもそうなんだろうと根拠レスにいろんなイメージを重ねてしまうのだが、たぶんそう外してない気がする。

October 16, 2008

ニッポンvsウズベキスタン@ワールドカップ2010最終予選

ニッポン!●ぬおっ!なぜだ、なぜ試合終了の笛とともに客席から大ブーイングが起きないのか? それとも中継のマイクが拾っていないだけなのか。現地に行かなかったら雰囲気がわからないんだけど。このドローは痛い。1-1
●WOWOWのスペインリーグとか見てると、テレビの人がニコニコしながら言うんすよ。「バルセロナのホームゲームでは試合前に大量の水を撒くんです。そうするとボールの走りが速くなりますから、彼ら本来のパスサッカーが活きてくるんですね!」。ビバ、パスサッカー。さすがバルセロナ。
●この日の中継でも試合前に似たようなことを聞かされたんである。「芝をなるべく短く刈ってほしいというリクエストがありまして、こんなに短いんです。そして芝に水が撒いてあるんですね。これでニッポンのパスサッカーが活きてくると……」って、おいおいっ! キックオフしてみたら、ボールが走りすぎてぜんぜん足に付いてないよ! 両チームともパスミス連発、足元不確か、ニッポン得意のパスサッカーどころじゃない、不用意にボールを失ってウズベキスタンからカウンターでどんどん攻められる。これ、大誤算だったんでは。
●岡田監督は思い切って若手を抜擢する。香川が先発しちゃうし。よくわからん。GK:楢崎-DF:中澤、トゥーリオ、阿部、内田-MF:中村俊輔、遠藤、長谷部、香川(→稲本)-FW:玉田(→興梠)、大久保(→岡崎)。阿部は長友の代役で左サイドバック。香川とか興梠とか岡崎とか、まさかW杯最終予選で出番が来るとは。良かったのは内田、長谷部かな。あらためてスゴい選手だと実感。とはいえ、最終予選だから結果がすべてだからなー。
●終盤、トゥーリオを前線に上げて(稲本が後ろでカバー)勝負を仕掛けたんだけど、あれもかなり恐い賭けだと思った。ホームゲームでは勝点3が欲しい、でもそれ以上に相手に3を与えるのが恐い。相手が決定機を外したから失点しなくて助かったが、あまり見たくない光景。
オーストラリア●オーストラリアはホームでカタールに大差で圧勝。カタールはアジアレベルを超越した攻撃力を持ったチーム(ていうかアジアの選手じゃないし)だと思ったが敵わなかったか……。地力ではオーストラリアが頭一つ抜け出て、続いてカタール、それからニッポンとウズベキスタンくらいのイメージ。今回の最終予選からアジアはもう前回までのアジアじゃなくなったってことを痛烈に感じる。今頃オーストラリアのサカヲタどもは「ヒヒヒ、これでワールドカップには毎回出場できる。シメシメ(死語)」とほくそえんでるにちがいない。あの大陸にどれだけサカヲタがいるのかは知らないけれど。

October 15, 2008

カリタ・マッティラのサロメ

舞台写真を勝手に使うわけにはいかないので、ビアズリーのサロメ●いつもニュースが早い「おかか1968」ダイアリーさんのところで知った話題。ニューヨーク・メトロポリタン・オペラの「サロメ」で、題名役のカリタ・マッティラが(また)フルヌードに。しかし「METライブビューイング」(この「サロメ」が近々日本でも上映予定)の生中継では全裸シーンが映されなかったとか。
●今48歳熟女のフルヌードでもっとも盛り上がっているのはオペラ界だっ!!
●ところで上記記事のリンク先を見てたら、自慢のHDトランスミッションにトラブルがあって、「大西洋の悪天候のため」(そうなの?)衛星中継に乱れがあったらしい。この方はコペンハーゲンで見てたんだけど、コメント欄では「晴天だったけどボストンでも同じトラブルがあった」とか「ブレーメンでは平気だった(けど別のトラブルがあった)」とかいろんな話が寄せられていた。劇場生中継だといろんなことがありうるんだろうなあ。その点、日本の「METライブビューイング」は録画だからそういう心配はないわけだ。というか生だと誰も劇場に来れない時間帯になってしまう。あ、カリタ・マッティラの歌唱については誰もが絶賛。
●みんな終演後にお詫びとして映画館の無料券を一枚もらっているのが可笑しかった。ワタシも何度か経験してるけど、上映トラブルがあったときには無料券を配るのが映画館の万国共通のルールなのか(音楽界では不可能な慣習だ)。ブレーメンのお客さんが「この無料券ってMETライブビューイングでも使えるのかなあ?」って心配してた(笑)。もしポップコーンを売っているようなシネコンでもらった無料券だったら、そりゃ確かに心配にもなるよなあ。

October 14, 2008

いつかはグーグル登山

●先週末の関八州見晴台でもそうだったんだけど、こういったところで見かけるハイカーはファミリーよりむしろベテラン勢が多い。しかも単独行が多め。O60世代の方々でもワタシなんかよりずっと健脚で、長距離をスイスイ歩く感じ。山を歩くから鍛えられてるのか、もともと強壮だから歩けるのかは謎。
●とはいえ、フツーは若い頃のほうが圧倒的に体力はある。今の自分が18歳くらいの自分を見たら、フィジカル面では化け物クラスに見えること確実。爆発的なパワー、体のキレ、膝や足首の柔軟さ、持続するスタミナ、そして疲労から回復する驚異的な速度。山歩きにも適しているわけだが、そんな年齢で「自然と触れ合いたい」とは思わない。山より街だ。肉体がピークをすっかり越えてから山に行きたくなるが、もう体力面で自信がないから選択肢は狭まっている。どうしてこうなるのかなあ。
●先日の「田舎暮らしに殺されない法」にもあったような気がするけど、自然が美しいのはそれが本質的に危険で恐ろしいものだから。街なら24時間明かりも食糧も確保可能だけど、山はどんな低山でも日が暮れたら真っ暗闇になるし、登山道を外れたら何があるかわからない。ヒトは集落にいるほうが安全だ。とすると、18歳くらいだとほとんど本能だけで生きてるから「自然」という危険を回避しようとする力が強く働いていたのが、加齢によって生存本能みたいなものが弱まってきて、その美しさに抗えなくなってしまうのかもしれん。
●そのうちグーグル・マウンテンビューとかで世界の名峰をe登山できるようになればいいのか。
●この秋にベルリン・フィル関係のドキュメンタリー映画が2本公開。「帝国オーケストラ」と「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて」。PC Online「クラシックジャンキー」でご紹介中。ともに渋谷ユーロスペース他で。

October 12, 2008

山歩きして関八州見晴台

関八州見晴台へ●山を歩きたくなって高山不動尊~関八州見晴台へ。秋晴れのさわやかな一日にハイク。ああ、山が、木々が、林が、小川が、小鳥が、都会の生活で穢れた邪な精神をギュンギュンと浄化してくれますっ!(←謎ノリ)。西武秩父線西吾野駅から関八州見晴台へは標高差500m強。高尾山よりも高いので、山歩きはしたいが山登りはしたくない軟弱派としてはこれくらいの高低差が限界か。しかし道はおおむね歩きやすいので、覚悟していたよりも体力的には楽だった。ていうか、ファミリーハイキング向けルートで覚悟もなにもないが(笑)。
●見晴らしもいいし、高尾山と違って混雑しない。関八州見晴台からは四方八方の山が見える。駅から行くハイキングだから、登りは同じ電車に乗った人たちに追いついたり追い越されたりするけど、帰りはいくつかルートがあることもあって、前方後方だれもいません状態が結構ある。紅葉の時期には最高かも。
●山の中にポツリと民家があったりすると、あれこれ夢想する。ああいうところに住んでみたいなー、でも実際住むと大変なんだろなー、日が落ちたら家の外は全部真っ暗ってどういう感じなんだろ、夜出かけるには懐中電灯が必須なのか、でも出かけるっていっても出かける先がないぞ、コンビニも宅配ピザ屋もない、でもクロネコヤマトは電話一本で集配してくれるのかなとか、ケータイの電波来てないなとか、クマいるのかなとか。
●まあ、さすがに山の中に住むってのは現実味はないけど、飯能あたりに住んでたらいつでもこのあたりには来れるわけだ。サントリーホールからの帰宅を想定して、六本木一丁目から飯能までの終電を調べてみると23:14。意外と遅くまである。上野からでも23:25か。そう考えると、東京の交通網ってスゴいな! いや、引っ越さないけど。

October 10, 2008

ラフマニノフ「6手のためのロマンス」

ザ・ファイヴ・ブラウンズ●昨夜はサントリーホールの「ザ・ファイヴ・ブラウンズ」来日公演へ。前回来日したときにも少しご紹介したが、アメリカの5人姉妹からなる5台ピアノのユニット。リアル5人姉妹で、しかも全員がジュリアード音楽院を出てピアニストになったというありえなさ。5台ピアノのための曲なんかないから、ホルスト「惑星」とかガーシュウィン「パリのアメリカ人」を編曲して演奏する一方、間にソロや2台ピアノの曲なんかも入る。これがスクリャービンとかヒナステラとかプロコフィエフとかで、一見超甘口に見えて辛口の選曲。
●で、ワタシは知らなかったんだけど、ラフマニノフの「6手のためのロマンス」っていう作品が弾かれたんすよ。6手、つまり3人並んで一台のピアノを弾く。作品番号のない音楽院時代の習作みたいな曲で、冒頭にあるアルペジオの序奏が後の大傑作ピアノ協奏曲第2番第2楽章冒頭とまるで同じでびっくり。作曲当時、ラフマニノフは夏の間スカローン家で過ごしてて、そこで仲良くなった三姉妹のためにこの曲を書いたという。10代の頃だったから淡い恋心なんかもあったんだろう。交響曲第1番の失敗で創作意欲を失ったラフマニノフが、精神科医ダーリの催眠療法によって回復し、ピアノ協奏曲第2番を書き上げたというエピソードはよく知られているけど、その際にスカローン家での美しい思い出も創作の助けになってくれたのかもしれない。
●そんなスカローン家三姉妹のための曲なので、「ザ・ファイヴ・ブラウンズ」も三姉妹で弾いた、と。なかなか気が利いている。


(写真のCDにこの「ロマンス」は収録されてません。顔写真が欲しくてベスト盤を載せておいただけです)

October 9, 2008

ノーベル賞ラッシュ

●忘れないようにメモしておこ。一昨日のノーベル物理学賞が南部陽一郎氏(自発的対称性の破れ)、小林誠氏、益川敏英氏(小林・益川理論)。素粒子物理。
●昨日のノーベル化学賞が下村脩氏。緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見と開発。
●きっといると思うんすよ。「そろそろオレもノーベル賞受賞するんじゃないかなー。ドキドキ」って内心思ってる方が。思ってる人は白状しなさいっ!(←意味不明)
●ケヴィン・ミトニックっていう有名なクラッカーがいたじゃないっすか。「ハッカーを撃て!」っていう本が書かれたり、映画「ザ・ハッカー」のモデルになったりした人。電話のタダがけから始めて、大学のスーパーコンピューターにまで侵入したクラッカーで、95年にFBIに逮捕されたときは犯罪の目新しさもあって割りと大きな話題になってたと思う。そのとき、FBIに協力してケヴィン・ミトニックと対決したコンピュータセキュリティの専門家が下村務っていう方で、そのお父さんが今回ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏だとさっきWikipediaで知った。

October 8, 2008

サッカー戦術クロニクル(西部謙司著)

●今年、オーストリアでEURO2008(サッカー欧州選手権)が開かれたじゃないっすか。そのときに「音楽とはちがって、サッカーでオーストリアがヨーロッパ中からこれほど注目を浴びることなんかなかった!」みたいなことを書いたと思うんだけど、それはホントはウソなのでした。実はオーストリアが「ヴンダーチーム」と恐れられ、世界最強だった時代があったんである。それどころか、当時のオーストリアを「トータルフットボールの起源」とする見方がある。……といっても30年代のことだから、ほとんど誰もリアルタイムで見ていないし、テレビ中継もなかったわけだけど。
サッカー戦術クロニクル●一般に何かある分野に親しむためには、いま自分が目にしているもの、耳にしているものを、マッピングすることが必要になってくると思う。これってこの世界の中でどんな位置づけにあるの? どういう流れから生まれてきて、どこに向かおうとしているの? で、このマッピング能力を装備するために、人は「歴史」を知りたくなる。そのとき、点で事実を押さえるんじゃなくて、事実と事実を結びつけるのにはどうしたって物語が欲しい。記録が消失した部分も含めて、上手に紡ぎだされた物語っていうのは、ずっと語り継がれる。どんなに正確で厳密でも、無味乾燥で羅列的なものは忘れ去られる。
●で、新たに見事な戦術の物語が書かれたんである。「サッカー戦術クロニクル」(西部謙司著/カンゼン)。副題に「トータルフットボールとは何か?」ってあるように、30年代のオーストリアを起源に、クライフやサッキ、モウリーニョらといった戦術家を追いながら、トータルフットボールの歴史、戦術の変遷を紐解いてゆく。でもフツーなら決してトータルフットボールとは呼ばれないような戦術、たとえばマラドーナのアルゼンチン代表とか、銀河系軍団と呼ばれたレアル・マドリッド(あのチームに戦術なんかあったの?)にも章が割かれていて、現代サッカーで何が起きているかというのをきちんと一通り語ってくれる。
●よく考えてみれば、ワタシらが毎週毎週世界の最前線のサッカーをテレビ観戦できるようになったのは、ついこの数年とかそれくらい最近の話だ。今は何だって見れる。でもクライフとかベッケンバウアーの普段の試合を毎週見ていた人は(ほぼ)いない。ましてや30年代の最強時代のオーストリア代表なんて。これって音楽とも似ている。フルトヴェングラーやトスカニーニが偉大だって言っても、ほとんどだれも当時聴いていない(というか、それを言えばモーツァルトやバッハを同時代に聴いた人も一人も残っていない)。でも実際に見ても聴いてもいないものを、あたかもそこに居合わせて体験したかのように語るってのは、本能的にはとても大事なことなんじゃないかって感じがする。アルゼンチンのガキが20年も昔の「マラドーナの5人抜き」を自分の記憶として語る、みたいなのとか。場合によっては事後的に捏造された記憶のほうが、どんな現実より雄弁だったりする。で、そのための歴史であり物語。この本には個々のポジションがどう動くかみたいな現場のコーチ向けの解説はほとんどなくて、大きな歴史の流れが語られている。あちこちに綻びみたいに残っていた自分の頭のなかの空白が、次々と埋められていく快適さ。いやむしろ知っていることを改めて読んで、再定着させることが気持ちいいのかも。これは現代の「サッカーの教科書」になる、かもしれない。

October 7, 2008

ピアノかフルートを

皇帝激怒「ピアノ弾いてろ」欧州チャンピオンズリーグ。皇帝ってのはサッカー界の皇帝、バイエルン・ミュンヘンの名誉会長ベッケンバウアーのこと。ゴールから45mのフリーキックを決められてしまったことに激怒して、「ピアノかフルートでもやってろ! サッカーなんかするな!」と。なるほど、こうしてサッカー大国にして音楽大国ができあがるのか。

October 6, 2008

週末フットボール・ラビリンス

●今季のJリーグは大変なことに。あと6節を残したところなんだけど、優勝争いは1位から鹿島、名古屋、川崎、浦和の5位まで、たった勝点3(!)の間にひしめき合っている。続く東京とG大阪にも可能性はある。もうどこが勝ってもおかしくないが、それより降格争いだ。
●18位札幌は引き離されてしまったが、17位から下から挙げていくと、大宮、ヴェルディ、磐田、千葉、マリノス、新潟、京都、柏の10位まで、勝点5の間に収まっている。つまり、これらのチームのどこがJ2に降格してもおかしくない。9位の神戸まで入れても勝点6差。神戸だってまだ安心はできないだろう。
●ってことは、1位から7位までが優勝争いを繰り広げ、9位以下すべてのチームが降格争いを戦っているのだ。つまり、唯一8位の清水だけがどちらの戦いにも加わっていないともいえる。そんなフットボールリーグがあるなんて。清水以外のサポは全員期待または不安でドキドキしてる。スゴい、お得感のあるリーグだ、清水サポ以外は。
●ありえない試合。スペインリーグのバルセロナvsアトレティコ・マドリッド。強豪同士の対決で、お互い退場者も何も出てないのに、前半18分で4-1になってた(笑)。こりゃいったい何点入るのかと。試合終了時には6-1。バルサのパス回しはウィイレ名人の神プレイ並に鮮やかだった。ん、このたとえはなんかヘンか。
●↓壁ができる前に蹴ったメッシのフリーキック。ゴル、嘲笑うかのように。

October 3, 2008

自分で自分がわからない

●今年もアジアオーケストラウィークが開幕。昨夜は唐青石(タン・チンシ)指揮の四川交響楽団へ。唐青石作品自作自演、ハチャトゥリアン、ドヴォルザーク他。濃厚で味わい深く、大らかだった。やや昭和。ワタシはこの一公演だけだけど、続いて本日3日にベトナムのホーチミン市交響楽団、4日(東京)と6日(大阪)に韓国のプサン・フィル。アジアな時代を予感する方はGO!
●「窃盗容疑で逮捕発表の「少年」、実は「少女」だった…長野」(読売新聞)。スーパーで万引きして逮捕された17歳の少年が、実は少女だったという。窃盗界のズボン役なのか。頭の中にぱっと浮かんだ犯人像は、「フィガロの結婚」のケルビーノとか「薔薇の騎士」のオクタヴィアンみたいな人なんだけど、そんな貴族っぽい万引きなんていないか。

October 2, 2008

吉田秀和賞は片山杜秀氏の「音盤考現学」「音盤博物誌」に

音盤考現学●以前、当欄でもご紹介した片山杜秀氏の「音盤考現学」「音盤博物誌」が本年の吉田秀和賞を受賞したとのこと。昨日決定して、すぐに記者発表。賞の公式サイトが見当たらないので(どして?)、版元のアルテスパブリッシングのブログにリンクしちゃおう。

速報! 吉田秀和賞受賞!!
http://www.artespublishing.com/blog/2008/10/01-215

 選評に「天才と博識がはじけ出てくるような批評集」とあって納得。他の誰にも真似できない。
●昨日のエントリー、タイム誌の「オールタイムベスト100」で、「どうして1923年以降の作品が対象なんでしょね」みたいな話を書いたじゃないっすか。メールでご教示いただきました。1923年がタイム誌の創刊年だから(苦笑)。「オールタイムベスト」ってのはタイム誌の誌名も掛けてるんじゃないかと。そ、そっか、気が付かなかった……。ワタシはてっきり、現代小説と同じ基準で選ぶには厄介な作家がいて、その人の最後の作品が1923年直前あたりの発表なんだろうといった、いかにも編集者都合っぽい基準を想像していた。たとえばディケンズとかどうなんだろう、いや、1870年に没してるから違うなあ、じゃあ誰なんだろ?とか。アホだな。

October 1, 2008

オールタイムベスト100

●昨日のカズオ・イシグロ「わたしを離さないで」の帯に、「発表後ただちにタイム誌のオールタイムベスト100(1923~2005年発表の作品が対象)に選ばれる快挙を成し遂げただけではなく……」っていう宣伝文が載ってるんだけど、「オールタイムベスト」を選ぶのに1923年以降の作品を対象とするっていうのがおもしろいっすよね。
●1923年ってどういう基準なんだろ。ぱっと思いつかないけど、なにか明快な理由があるんだろう。時代の線引きがないと困るってのはわかる。現代小説とシェイクスピアとか同じ基準で比較するのはムリだろうし。日本でやるとしても源氏物語とか挙げられても困る。
●音楽のオールタイムベスト100もやってみても楽しいかも。1923年以降発表の作品に限る、とか。むしろクラシックは1923年以前の作品に限ったほうがウケがいいかもしれん(笑)。でもまあ、音楽は演奏しなきゃ音にならないんだから、どんな古い時代の作品だろうが今演奏すれば2008年の作品と言い切ることもできる。逆にベートーヴェンと同時代のベートーヴェンを聴くことはだれにもできない。
●そのタイム誌のオールタイムベスト100、ここにあるみたいなので興味がある方はどぞ。でもこうして見ると、「何じゃそれ」感全開。サリンジャーとかフォークナーとかヘンリー・ミラーとかに混じって、ウィリアム・ギブソンの「ニューロマンサー」とかP.K.ディックの「ユービック」とか入ってるし。イアン・マキューアンはAtonementが入ってる、えっと何だこれは、「贖罪」か。ナボコフは「ロリータ」、ヴォネガットは「スローターハウス5」。ピンチョンは? おっ、「競売ナンバー49の叫び」と「重力の虹」の2作も入ってる。ファンタジー系ではトールキンの「指輪物語」、C・S・ルイス「ライオンと魔女」。なんだ、ジョン・ル・カレの「寒い国から帰ってきたスパイ」みたいなのも入ってるよ!
●って、おもしろいじゃないか、これ。クラシックのオールタイムベスト100とかやりたくなってきた。
●英語で書かれたものだけだから、ガルシア・マルケスとかは入ってません。

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