●これはおもしろかった>「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(中野京子著/光文社新書)。ハプスブルク家の歴史を名画でたどっていくというアイディアが秀逸。ついつい読みふけって電車を乗り過ごしそうになってしまう。名画の話もいいんだけど、それ以上におもしろいのが650年にわたるハプスブルク家の王朝劇のほう。スイスの片田舎の弱小貴族にすぎなかった彼らが神聖ローマ皇帝の座を手に入れるところから、王朝が崩壊し小国オーストリア共和国へと至るまでの(途中でマリー・アントワネットがギロチンにかけられたりするわけだ)血まみれのドラマをわずか200ページの新書で駆け抜ける爽快さ。ハプスブルク家の歴史は史実そのものが猛烈におもしろいし、よく知られているものだろうけど、それをちゃんとおもしろく書けるのが書き手の筆力。抜群に巧い。
●あとハプスブルク家関連の絵画を並べると、クラヲタ的にはCDとかLPのジャケットでなじみの絵が出てくることになるのもいいかも。「フリードリヒ大王のフルート・コンサート」とかアルチンボルド(野菜とか果物でできた顔を描いてるあの人ね)とか、見たことない人はいないだろうし。アルチンボルドが描いたルドルフ2世が、れっきとした宮廷肖像画であったという話とか、絵画に疎いワタシは素朴に感動した。
October 24, 2008
「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」
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