●最近、みんな作る側が自分で「感動」って言っちゃうじゃないですか。映画とか小説とか何でも。他人の言葉を引いてきて「感動しました!」って言うのはわかるんだけど、自分で先に言っちゃう。広告とかで「魂を揺さぶる感動の物語」「涙が止まりません!」みたいに前もって自主申告するのがもはや割とフツー。
●今後は「感動の物語」の自主申告制はもっと進むにちがいない。宣伝文とか帯よりもいっそタイトルに「感動!」って入れてしまえばいいということになって、実際テレビ番組表なんかがそうなってるわけで、いずれこれが音楽の世界にも蔓延すると、たとえば注目の作曲家が書いたはじめての交響曲のタイトルが、
交響曲第1番「感動」
とかになったりするかもしれない。
●で、こんな交響曲全集ができる、きっと。
交響曲第1番「感動」
交響曲第2番「涙が止まりません!」
交響曲第3番「魂を揺さぶる感動の名曲!」
交響曲第4番「2人の北欧の巨人の間にはさまれたギリシャの乙女」
交響曲第5番「傑作」
交響曲第6番「最高傑作!」
交響曲第7番「舞踏の神化!」
交響曲第8番「最後から2番目の最高傑作!!」
交響曲第9番「交響曲の歴史を塗り替える不滅の金字塔であり最高傑作ファイナル、今全人類が涙する、兄弟よ、神よ、抱擁せよ、そして伝説へ……」