●お正月に見て仰天した映画ナンバーワン。ディズニーのCGアニメ「WALL・E/ウォーリー」。これ、以前に映画館で予告編を見たときはぜんぜん興味がわかなかった。「ふーん。未来の地球で孤独にさびしく働くお掃除ロボが、宇宙からやってきた異星ロボと出会う無機物版ボーイ・ミーツ・ガールなのかあ。泣かせるディズニー映画なんだろなー、キャラもかわいくてなんだかあざといぞ」みたいに。だが違ってた、ワタシはこの映画を思いっきり見誤っていた。強くオススメ。
●で、紹介するにもネタバレとの兼ね合いが難しいんだけど、どうかな、一切何も知りたくない方はここまで読むにとどめてさようならということにして、「これは知っても別に楽しめなくなるわけじゃないけど、驚きは減じてしまいますよ」ってネタを以下に少し割ってしまう。予備知識なしでこれから見たい方はご注意を。以上、念のため警告。よろしいでしょうか。
●この「WALL・E/ウォーリー」は古典的名作のパロディになっている。「チャーリーとチョコレート工場」とか「グッバイ、レーニン」とかでも一瞬ネタにされてたあの不朽の名作、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」だ。で、パロディではあるんだけど単なるパロディに終わっていなくて、物語のテーマまできちんと共有しているのがスゴい。それは何かといえば、あの古代の類人猿が骨を高々と放り投げて、それがそのまま未来の宇宙に浮かぶ宇宙船へとつながったあの名シーンが示すものと同じ、つまり「人類の直立二足歩行」なんである。このテーマを「2001年」は過去から描いたのに対し、「WALL・E/ウォーリー」は未来に描いた。宇宙からやってきた知性を触媒とするのも同じだ。「美しく青きドナウ」まで共有している。ただ、「WALL・E/ウォーリー」のほうはその瞬間に大爆笑してしまうんだが。実に切れ味が鋭く、アイロニカル。泣ける、すばらしすぎて。
●毎週金曜更新中。日経PCオンライン連載「クラシック・ジャンキー」。
January 9, 2009
映画「WALL・E/ウォーリー」
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