●先日、記念すべき第一回生中継の模様をお伝えしたベルリン・フィルのDigital Concert Hall、再度アクセスしてみたんである、日曜日の夜遅くに。というのも、ベルリン・フィル定期演奏会の開演時間はおおむね20:00、すなわち日本時間午前4時という、猛烈にアクセス困難な時間帯、だが2月8日の公演は16:00開演であり、つまり日本の日曜深夜0時からスタート。これはチャンスではないか。指揮はサイモン・ラトル。演目はなんとシューマンの「楽園とペリ」だ。よし、久々に生中継体験するぞっ!
●が、一つ誤算あり。このDigital Concert Hall、映像のクォリティを三段階で提供してくれている。事前にサンプルを視聴した限りでは、わが家のADSL回線でも問題なくHighの設定で再生できた。ところが前回の生中継ではHighでは再生が追いつかず、Middleでガマンした(それでもウチの年代物アナログテレビよりはずっとシャープで美しい映像だ)。で、今回。なぜかMiddleでもうまくいかず、Lowまで落としてやっと再生できた。どうやら生中継だと録画よりもずっと回線事情が厳しくなるようだ。映像がLowでも音声のクォリティは落ちないのは救い。でもさすがにLowだと画面が寂しいんだな。などとゴタゴタしていたら、とても「楽園とペリ」を落ち着いて味わうことはできない。せっかくの生中継だったのに……。
●じゃあ、ガッカリしたか? いや、ぜんぜん! それどころかワタシは興奮を抑えきれずに、シーズンチケットを申し込んでしまった! 89ユーロ払ったから、もう最強。全部見れる(ら抜き)。えっ、今シーズンは8月までしかないのに今さら申し込むのかって? いや、もう生中継はあきらめた、午前4時なんてムリだから。全部アーカイヴでいい。アーカイヴなら高画質高音質。シーズンチケットがあれば、去年の8月からの全配信をいつでも好きなときに視聴できる。
●ラインナップを眺めればわかるように、これはスゴいことっすよ。だって89ユーロでベルリン・フィルの定期ワンシーズンを見れるんだから。今まではベルリン在住でもない限り、いくら来日公演行こうが旅行しようがCD買おうがFM聴こうが、シーズン通してベルリン・フィルを聴けた人はいなかった。それが家庭のPCで毎月3、4プログラムを見れちゃうわけだ。地元のオケにだって、そこまでは通わないし通えない。生だろうが録音だろうが録画だろうが、これだけ同じオケの公演を継続的集中的に聴くなんてことはなかった。
●しかもこの映像がよくできてる。ある意味、本物以上に本物っぽいというか、ちゃんとヘッドフォンで聴くと、来日公演で生を聴くより、もっと生々しい。って言ったらそれはさすがにウソか、でも半分本気。まあ、その辺は無料サンプルをご覧になるのがいちばん。ラトルがブラームスの2番の終楽章を振ってて、これがまたいいところを選んだなっていう感じがするんだけど、これ見ちゃうともう止められない。逆にこの動画がうまく再生できないようだと、PC環境的にどこかにムリがある。
●とりあえずアーカイブから2公演ほど見たけど、いやー、すばらしい。ラトルのブラームス3番&ショスタコ10番、メータのエリオット・カーターとベートーヴェン協奏曲4番(ペライア)、シュトラウス「家庭交響曲」。こんなふうに、ありえないほど美しい音を出すオケが近所にあったらな。お腹いっぱい。でもこれ8月までに全部見れるんだろか(笑)。
Berliner Philharmoniker / Digital Concert Hall
http://dch.berliner-philharmoniker.de/