●音楽配信系の話題は海外でのニュースが多くなりがちなんだけど、久々に国内から意欲的な企画が登場。6月29日より、カメラータ・トウキョウの音源がKRIPTON HQM STOREで24bit/96kHzの高音質で配信されている。これはCDを超える情報量だ。しかもDRMフリーのFLAC (Free Losless Audio Codec) フォーマットで配信されている!
●PC経由の音楽配信の世界では、256kbpsのmp3みたいな圧縮音源で「十分高音質」とされてきた(ワタシもそう思ってる)。でもよく考えてみれば、PCで音源を配信するということはCD規格よりももっと高音質のものだって流通させられるってことだ。クリプトン社のリリースによれば、HQM STOREで配信されるデータは「CDと比較して約500倍の情報量を有する」という。これはCDの16bit/44.1kHzに対して、24bit/96kHzは、(2^24*96)/(2^16*44.1)= 557 っていうことで約500倍?
●で、これを可逆圧縮のフォーマットであるFLACで配信している。可逆圧縮だからmp3のような情報の省略はなく、再生時に100%で復元する(ワタシの大ざっぱな理解ではzipやlhaと同じような圧縮。だから圧縮率もその程度なのでファイルサイズは大きくなる)。そして、ワタシはここが一番すばらしいと思うのだが、これほど高音質なデータであるにもかかわらず、DRM(著作権管理技術)フリー、つまりいくらでも自由にコピーができるファイル形式になっている。これは圧倒的に正しい。
●何度も繰り返して書いていることだが、音楽ファンにとってDRMの付いたファイルというのは「いつなんどき聴けなくなってしまうかもしれない」憂鬱なファイルだ。仕様や制限もファイルごとにバラバラで困ったもの。なので、最近はamazon.comだろうがiTunesだろうがインターナショナルにはDRMフリーの音源を販売しており、この問題は決着が付いているはずなのだが、国内市場に関してはなぜかまだそこまでは至っていない。でもここでカメラータ・トウキョウは「DRMフリー、しかもCDより高音質」という英断を下してくれた。快挙。
●と、激しく拍手をしておいた上で、いくつか留意すべき点を。KRIPTON HQM STORE はまだ誕生したばかりのサイトなので、現在カタログに載っている音源はアルバム3点分のみ。これに関しては今後次々拡充されていくようで、年内は毎月おおむね3点程度のペースで増えていくとのこと。クォリティを反映して、価格はやや強気の設定。
●また、個別アルバムのページに Play と書かれた試聴ボタンが付いているが、この試聴で聴ける音源はmp3であって、24bit/96kHz FLACの超高音質ファイルではない。「じゃあ買わないと24bit/96kHzは試聴できないのか」というとそんなことはなく、環境テスト用も兼ねてのサンプル・ファイルがサポート・ページの最下部からダウンロードできるようになっている。
●関心のある方は、まずこのサンプルを一度再生してみるのが吉。特にハイエンド志向の方にオススメ。「FLACなんて知らない」という方は、まずこれを再生できる環境を整える必要がある。いくつか方法はあるが、ワタシはなるべく何でもWindows Media Playerで再生したい派なので、CoreFLAC Decoderをインストールした。簡単にインストールできる。
>> KRIPTON HQM STORE
http://www.hqm-store.com/