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July 10, 2009

映画「クララ・シューマン 愛の協奏曲」他

●音楽系映画ネタをいくつか。
●まずは「クララ・シューマン 愛の協奏曲」から。試写を見た。音楽史的にも有名なシューマンとクララ、そしてブラームス3人の関係を描いたものなのだが、なんといっても目をひくのは監督の名前だ。ヘルマ・サンダース=ブラームス監督。そう、監督がブラームスさんなんである。しかも本当に作曲家ブラームスと遠縁で、ヨハネスの叔父の子孫なんだそうである(ヨハネスには子供がいないので直系の子孫は存在しない)。
●見どころはいくつもある。まずブラームス像が新鮮。どういうキャラかというと「エキセントリックな若者」。微妙にハジけてます。シューマン夫妻のキッズたちからすっかり兄ちゃん扱いされるステキなヤツ。
●クララ・シューマンはロベルトを助けながらも、子育てもするし、ブラームスにも惹かれるし、しかも音楽的才能に恵まれているけど女性であるがゆえに家庭に入らざるを得ないという立場(天才ピアニストとしてヨーロッパを駆け巡っていた後の時代の設定だ)。じゃあロベルトはなにをしているかといえば、デュッセルドルフの音楽監督に招かれて「ライン」交響曲を作曲しているんだけど、頭の中が錯乱してきて、アル中でヤク中のヤバいことになっている。史実通り、ライン川に飛び込んで一命を取り留めた後、病院で怖すぎる治療を受けていた。パスカル・グレゴリーが好演。
●「敬愛なるベートーヴェン」とそっくりなシーンが出てきて仰天。そういえばあれも女性監督だったか。これは知っててなのか、たまたまなのか。ヒント:二人羽織指揮。
●映画なのでもちろん史実とは異なるところもあるわけだが、個人的にはもっと大胆なアイディアに基づいてフィクションを盛り込んでほしかった気もする。クララとブラームスの描き方もやや物足りないが、ロベルトの狂気は見ごたえあり。7月25日よりBunkamuraル・シネマ他で公開。ロベルトの音楽はもちろん、クララの音楽も登場する。
●続いて公開情報。フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー「パリ・オペラ座のすべて」の公開が決定。今秋、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー。プレス向けの写真を見ていると、どうもオペラよりもバレエのほうに焦点があたっているようにも見えるが。フレデリック・ワイズマン監督という点でも一部の注目を集めるのでは。
●もう一作。第62回カンヌ国際映画祭クロージング作品の「シャネル&ストラヴィンスキー」が2010年正月に公開。ヤン・クーネン監督。「ココ・シャネルの秘められた愛の物語とストラヴィンスキーの『春の祭典』再演秘話を名曲にのせて美しく描く」という。ストラヴィンスキー役は「007/カジノ・ロワイヤル」(新しいほう)で悪役を演じたマッツ・ミケルセン。期待大。

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