●電車で読む用にササッと今すぐ本屋で一冊買わなければいけない、薄い文庫で絶対にハズさないものを。ということで手にした、いまさらながらの名作、しかし去年生まれた新訳でもあり。
●「ティファニーで朝食を」(トルーマン・カポーティ著/村上春樹訳/新潮文庫)。なんとワタシはあの有名な映画のほうを知らないので、なんの先入観もなくカポーティが描いたホリー・ゴライトリーという女性の人物像を頭に思い描くことができた。ああ、いるいる、こういう自由奔放で気まぐれで、どうしようもなく魅力的なんだけれど心底憂鬱な女性……と、一瞬思ったが、よく考えたらそんなホリーみたいな人なんて本当は見たことも会ったこともないのだ。物語が喚起する仮想的な記憶ってスゴい。
●ホリーみたいな生き方をしていると、「いやったらしいアカに心が染まるとき」があるのは避けられない、つまり、なにかわからないけど悪いことが起きそうで、怖くなる、不安に苛まれて、自分を見失いそうになる。そういうときにホリーを救ってくれるのは「タクシーをつかまえてティファニーに行くこと」。すると、気分がすっきりする。
●これは共感できるだろうか。できるような気がする。男の場合はリアル・ティファニーでは役に立たないので、なにかそれに代わる場所が必要かもしれない。クラヲタだったら、超ステキなCDショップとか? いやいや、違うな。CDはあまりにも本物すぎる。もっとまやかしみたいなものじゃなければ、タクシーをつかまえて飛び込んだりはしないだろう。
●「たしなみのある男性なら、女の子が化粧室に行きたいって言えば、五十ドルは渡してくれるわ」。しまった、そうだったのかっ!(笑)
July 21, 2009
「ティファニーで朝食を」(カポーティ)
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