●映画館で「サマーウォーズ」(細田守監督)。あまりのカッコよさに眩暈。傑作。高校生が夏休みに体験するボーイ・ミーツ・ガールでありながら、世界を破滅から救うという話でもある。長野の田舎の旧家に婿役として迎えられる都会の男子高校生という日本の原風景と、すべてがデジタル化されて管理されるネットワーク社会の近未来的な描写のコントラストが実に鮮やか。
●同監督の前作「時をかける少女」も高校生たちが主人公だったが、あちらが個人の物語だったのに対して、今回は世界を描いたもっと大きな物語。あちこちツッコミどころ満載ではあるんだけど、テーマそのものは大変すばらしい。
●長野の田舎では祖母を長として血縁による大家族の共同体が強固に築かれている。共同体に危機が訪れたときは親類縁者が力を合わせてこれに立ち向かう。それがフラットで個の顔の見えないネットワーク社会ではどうなるか。当初、敵に立ち向かうのはネットの最強戦士である「キングカズマ」だった。みんな掲示板に「助けてキングカズマ」みたいなことを書くだけで傍観者にしかなろうとしない。しかしヒーローが敗れたときにどうするか。最後の最後には見知らぬ外国のだれかが「僕のアカウントを使ってください」と自身を差し出すことによって、皆が通りすがりの名無しさんではなく共同体の一員であるという意識に目覚める。田舎の大家族にあって現代では失われたと思えたものが、正しくバージョンアップしてネットワーク社会に甦るという物語なので、文句なしにポジティブで美しい一方で、ある意味耳の痛い話でもある。
●ネット上のセカンドライフ風の仮想世界としてOZ(オズ)というのが出てくるんだけど、このCGの世界がアニメで描かれているのがカッコいい。ていうか、なにがCGでなにがアニメかというのもよくわかんないけど。
August 24, 2009
「サマーウォーズ」(細田守監督)
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