●いやー、スゴかった。圧巻。ミンコフスキ指揮ルーヴル宮音楽隊@東京オペラシティ。期待はしてたけど、まさかここまですばらしいとは。なんという躍動感、情熱、ファンタジー、サービス精神。そしてラモーとモーツァルトであれだけ客席がわくとは(残念なことに、空いていたけど)。
●予定と曲順を入れ替えてまずはラモーを先に演奏。ラモーって、管弦楽が好きな人と歌が好きな人がいると思うんすよ、たぶん。ワタシは管弦楽派だから組曲だけで充足できちゃうんだけど、だったらオケの曲だけ集めてセットにしてみたら、ということで「空想のシンフォニー~もう一つのサンフォニー・イマジネール」。CDでも同趣向のが出てるけど選曲は違ってるみたい。「カストールとポリュクス」「遍歴騎士」「アカントとセフィーズ」「優雅なインドの国々」等々からおいしいナンバーを集めて一曲分(CDでは前にルセが序曲を集めて一アルバムにしてたのと似た発想)。これで楽しくならないわけがない。ブリュッヘンとかヘレヴェヘとかで刷り込まれた頭には、速いテンポの曲はより速く颯爽と、といったように感じられて、突風みたいに強烈なラモー。聴いていて思わず笑ってしまう。
●モーツァルトは「ポストホルン」セレナード。そう、ポストホルンが登場する。でもポストホルンだけじゃない。郵便局の自転車に乗って舞台にあらわれるという演出(笑)。しかもこの自転車、「日本郵便金沢支店提供」とのこと。どうやら金沢公演に使った本物の郵便局の自転車をそのまま東京まで持ってきたようだ。さすが、オリジナル主義。と思ったがオリジナルは郵便馬車か。でもまあ「郵便」なのはホントだ。前にブリュッヘン指揮新日フィルの「軍隊」でも舞台パフォーマンスが演出としてあったけど、こういうのはいいっすよね、深刻な曲じゃないんだから。音楽のほうも実に精彩に富んだモーツァルトで、今まさにそこから音楽が生まれてきてるんだ感、全開。
●ミンコフスキがルーヴル宮音楽隊を結成したのって20歳の時だって言うんすよ。1982年。昔、ERATOからCDが出てた頃は、まだアーノンクールとかブリュッヘンとかガーディナーの世代がバリバリ新譜を出してた時代で(いや今でも出てるか)、「え~、ミンコフスキ?」みたいな反応する人もいたけど、それからどんどん活躍の場を広げて、27年経った今も同じオーケストラが最強に強まりながら続いているんだから、これも大変なことっすよね。
●アンコールにラモー「優雅なインドの国々」より「トルコの踊り」、モーツァルト「ハフナー・セレナード」のロンド、グルックのバレエ音楽「ドン・ジュアン」より「怒りの舞」。頼んでないのにご飯大盛りにしてくれる、みたいな。会場に熱狂が渦巻いて、とてもいい雰囲気が生まれていた。「一般参賀」的な拍手と喝采。タイムマシンに乗ってもう一度あたまから体験しなおしたい。いつまでも聴いていたい。そんな演奏会だった。ワタシは行けないんだけど、本日もう一公演、オール・ハイドン・プロあり。
November 6, 2009
ミンコフスキ祭り開催中
トラックバック(0)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.classicajapan.com/mtmt/m--toraba.cgi/1295