ドミノ・ピザ
December 21, 2009

岡田監督の講演

●同時多発的にTwitter上で話題になっていた、「岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは」。早稲田大学で行なわれた講演なんだけど、これが大変にすばらしい。サッカー論としても指導者論としても。基本的な物事への立ち向かい方としても、なにかにもがき苦しむ人には勇気を与えてくれる、かもしれない。
●フランスW杯予選で加茂監督が解任されて、突然これまでなんの監督経験もなかった岡田コーチ(当時)が代表監督に就任することになったときのあの記者会見の模様とか、まだ十分生々しい記憶が残ってる。あのときのワールドカップ予選に対する国民的なプレッシャーは異常だったし(講演内容にもあるけど、サポがイス投げたり、電話帳に載ってた監督の自宅の電話に脅迫電話がガンガンかかってきたり)、キャリアの第一歩でいきなりあれほどの重責を担うことなんて普通ならありえない。試合やるたびに新聞には「日本代表W杯絶望!」みたいな。あの出発点があっての岡田監督なんだなと改めて思う。
●マリノス者として。講演中にある、最初の一年にまったく使われなかったミスターマリノス的な選手とは上野良治のことだろう。岡田監督が来ていきなりマリノスは2003年と2004年と連続して日本一になったんだけど、あれはサポ的にも本当に不思議な体験だった。運に恵まれた部分を別としても、自分たちのチームが強かったという実感がまったくなかった。当時はフィジカルの強い選手が多く、攻守ともにパワーで相手を圧倒できた一方、ボールを後ろからつないでゴールを決める場面が少なくて、嬉しいんだけどヨソのクラブに申し訳ないような落ち着かない気分があった。Jリーグとしてはこれってどうなのかな、と。黄金時代のジュビロのサッカーはヨソのサポもみんなうらやましいと思ってただろうけど、二連覇中のマリノスのサッカーに憧れたヨソのサポはいない(笑)。勝利はなにより価値があるという常識は本当に正しいのかどうかとかつい不遜なことを考えたりもするわけだ。でもその後マリノスは誰がなにをやっても冴えないシーズンが続いているわけで、どう考えても岡田監督が最高の監督だったはずなんである。でももう正直岡田監督には指揮して欲しくない。でも岡田監督の講演には感動したぞ……と延々と「でも」がぐるぐると繰り返される、そういう複雑な気分。

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