●METライブビューイングで「ばらの騎士」。ルネ・フレミング(元帥夫人)、スーザン・グラハム(オクタヴィアン)、クリスティーネ・シェーファー(ゾフィー)、クリスティン・ジグムンドソン(オックス男爵)。エド・デ・ワールト指揮。1969年ナサニエル・メリルの王道豪華プロダクション。
●いいっすよねー、「ばらの騎士」。「音楽は最高なんだけど、この脚本は変テコだよなー」的な言い訳とか脳内補正を必要としない完璧なオペラ。物語的にこれだけ共感しながら味わえるオペラはなかなかない。じゃ、誰に共感するかというと、やっぱり元帥夫人視点が第一選択肢なんだけど。第二選択肢はオックス男爵。オクタヴィアンは若さがまぶしすぎてウザい。ゾフィーは男子の人生に仕掛けられがちな罠。オペラ界において、ゾフィーとミカエラとリューは三大危険人物という説。
●あー、でももうこの登場人物、全員ワタシよりずっと年下になってるってのもスゴい。オクタヴィアン17歳はいいとして、元帥夫人だって32歳。ぜんぜん若い女のコだ。オックス男爵が35歳くらい? 前にも書いたけど、まだまだフルコートでサッカーできるくらい若い。オックス男爵がゴール前でボレーシュートを打つ場面を思い浮かべることもホントは可能だ。オクタヴィアンがあっという間にオックス男爵のようになることが容易に想像できるし、ゾフィーだってどこかで自分の「カンカン」を見つけるだろう。儚い。
●昔はじめて観たときには「オックス男爵はヤなヤツだなー」と思うだけだったけど、だんだんこのキャラが好きになってくる。とことん下品だけど貴族。オックスの退場シーンって、なんか哀しい。「パパー、パパー」って歌う子役たちが音楽に合わせてすごく楽しそうに踊ってるのがまた悲哀を増すというか。
●幕間は豪華にもドミンゴが司会で登場、歌手にインタビューする。ルネ・フレミングはスーザン・グラハムと本当に仲がいいみたい。「METアカデミー時代からの親友で、二人とも彼がいないときはお互いが唯一のキス相手だったのよ」とか言って笑わせる。
February 5, 2010
「ばらの騎士」@METライブビューイング
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