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February 10, 2010

ゾンビと私 その16 「高慢と偏見とゾンビ」を読んだ

高慢と偏見とゾンビ●ようやく読了、「高慢と偏見とゾンビ」(ジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミス著/二見文庫)。いやー、なんと言ったらいいのか。おもしろかったっすよ。さすが「全米で誰も予想だにしない100万部を売上げた超話題作」(笑)。
●これ、ジェイン・オースティンの名著「高慢と偏見」を下敷きに(そう、思いっきり下敷きに)、ところどころゾンビが出てくるという小説なんである。8割方は「高慢と偏見」そのまんま。主要登場人物とその造形、ストーリー展開も同じ。ただ、ときどきゾンビ。設定上、18世紀末イギリスには謎の疫病が蔓延して、ゾンビ化していて、主人公エリザベスをはじめとするベネット家の五人姉妹は全員鍛えられた戦士、ダーシー様もきわめて高い戦闘能力を有しており、ゾンビをぶった斬ってくれる、たまに。
●で、ワタシはマジメに堪能したんすよ。あー、ダーシー様の最初の印象ってこんな感じだったなー、とか、長姉のジェインって奥ゆかしくていいよねー、とか、そういえばいたなあ、ウィカムとかいう軽薄な男が!とか。……ていうか、それ要するに「高慢と偏見」再読を楽しんでるだけなんでは。
●そう、実を言えばゾンビ成分は案外薄い(だから本国ではゾンビ3割増量のデラックス愛蔵版も刊行されているんだとか)。ただ、そこのところにワタシはリアリティを感じる。ゾンビうじゃうじゃだったら、人は生き残れない。これ、田舎の話なんすよ。今後世界がゾンビで埋め尽くされた後、これまでにも当連載で言っているように、生き残った人々は都市部を捨てて人口密度の低い農村地帯で暮らす可能性が高い。そうなったとしても、人はゾンビと戦いながらも日々の暮らしの中でロマンスを夢見ることを止めたりはしない。世界で戦争が起きようと、革命が起きようと、半径20メートルの世界で起きるロマンスが色褪せることはない。ならばポスト・ゾンビ時代においても。これは古典の再演出とでもいうべき、予言的なロマンス小説なのだ。
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●ゾンビ関連記事を「ゾンビと私」特設ページにまとめることにした。読み逃した方はぜひ、もう読んだという方は再読を。このゾンビ時代を生き残るために。

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miu'z journal *2 -ロンドン音楽会日記- - ゾンビ (2010年2月14日 10:42)

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