●Hakuju Hall(白寿ホール)には「リクライニング・シート」というのがある。これまでワタシは何度もこのホールに足を運んでいたが、どうもこれがピンと来ていなかった。コンサートってのは基本、どちらかというと前のめりになって聴きたいもので、でもホントに前のめりになると後ろの人に迷惑だからしょうがなく背もたれ使ってますよ、みたいな理解をしてたから。が、先日ついにこのリクライニング席を初体験したんである。
●5月27日の曽根麻矢子チェンバロ公演、フランス・バロック・プログラム。平日昼間の1時間の短い公演だった(同じ日の夜にも同内容の公演あり)。「リクライニング・クラシック」と題されたシリーズの一公演で、前方が普通席、後方がリクライニング席になっている。これは超ぜいたくなんである。なぜかというと、リクライニング席は後ろに倒せる。するとその直後の列の席は使えなくなる。もともとHakuju Hallは300席しかない小さなホールでそれだけでも贅沢なのに、さらにそこからリクライニングのために何列か犠牲にしてしまうわけだ。そんな環境で平日の昼間にすばらしいクープランやらデュフリやらラモーを聴いた、リクライニングで。たとえるなら、朝寝朝酒朝風呂レベルの快楽度。どんだけ優雅なのかと。
●座ってみるとリクライニングは確かに楽チン(←死語?)。自然と視線が演奏者に向かってまっすぐではなく、少し上方を向くことになる。この風景が新鮮。リクライニング席でなくても、1時間の短時間公演は気軽でいろんな面で利点がある。平日昼公演、夜19時半公演それぞれの設定がありがたいというお客さんの層がいるはず。
●この「リクライニング・クラシック」、9月からの2010/11シーズン前期の予定がすでに発表&発売されている。個人的にはN響メンバーによるバルトークの弦楽四重奏曲や広田智之オーボエ・リサイタルあたりに興味。あと、クラシックのシリーズ以外に「リクライニング・ジャズ」というのも年4回開かれる。それぞれのシリーズの詳細は以下に。
Hakuju Hall主催公演
http://www.hakujuhall.jp/top/concert/index.html
●「リクライニング・クラシック」シリーズのキャッチコピーって、「あなたは聴きますか、それとも眠りますか?」なんすよね(笑)。先日の公演で最初に舞台上のスクリーンにこの文言が映されたら、客席のあちこちから「クスクス」って笑いが起きた。そだよな。もちろん寝に来てるわけない。わけないとみんな承知の上でのこのコピー。吉なり。まあ、図らずも寝ちゃう人はいるだろうけど(笑)。