●男前である、チリ代表が、ずば抜けて。今回、ブラジルですらドゥンガ監督のもと守備的な(ヨソに比べりゃ十分攻撃的だが)布陣を組んできた。攻撃的フットボールのもう一つの親玉オランダだって、スペクタクルとは言いがたい。それなのに、ビエルサ監督率いるチリは全参加国のなかで唯一ぶっちぎりの楽しい攻撃サッカーを貫いている。損だとわかっていても攻める。ミスしたらカウンターになるとわかっていても短いパスをつなぐ。意地でも相手ディフェンスを崩す。その分、守るときはカード覚悟で激しく当たる。
●彼らは背が低い。背が低いんだけど、精一杯背筋を伸ばして着飾り、堂々と男らしく振舞う。「オレたちカッコいいだろ」のモテたいサッカーなんである。しかしモテたいサッカーには弱点がある。隣にナチュラルイケメンが立たれると辛い。カカーとか。クリスチャーノ・ロナウドとか。ベッカム様とか(出てないけど)。オレたち、こんなにがんばってるのに、ヤツらは自然体でモテてるぜ!
●すなわち超攻撃型チリが、より攻撃力に勝るブラジルに真正面からぶつかったとき、お互いの歯車はピタリとかみ合って、祭りになる。ブラジルの祭りなんだけど。気持ちよくブラジルが攻める。カウンターも繰り出し放題。フアンが、ルイス・ファビアーノが、ロビーニョがやすやすとゴールを決めて3-0。楽園。特にカカーのワンタッチ・パスからルイス・ファビアーノが抜け出た場面はきれいだった。後半途中交代してベンチに戻ったときのカカーの笑顔、見たですか。なんという爽やかな笑顔。「ふー、僕、いい汗かいちゃった、すっきり!」的な充足感。チリは必死の覚悟でカッコよく装っていたのに、その努力をすべてムダにするかのようなカカーの笑顔。
●偉いよ、チリは。引き立て役になる可能性が高いとわかってても、ブラジル相手に守ろうとか微塵も考えなかったと思う。南米予選で2位だったけど、ブラジルには2戦2敗だったというのも納得。事実、チリ側にもスペクタクルな瞬間はあった。サッカー、楽しい!
●これで負けなけりゃ文句なしなんだが、3-0だからなあ。サッカー、難しい。
●ブラジルは後半にルイス・ファビアーノ、カカー、ロビーニョと順にベンチに下げた。もう次のオランダ戦に向けて選手のコンディションを整えているかのように。カカーは1試合出場停止で休んでるんだけど、イエローもらってたし。次戦は万全。ダニエル・アウベスを中盤で先発使用。コートジボワール戦でエラーノが負傷したのは誤算だったけど、うまく控えの選手も使いながら、チームの調子を上げているような印象。
●準々決勝のブラジルvsオランダとアルゼンチンvsドイツは最高のカードっすね。特に前者はワールドカップ・ダービーというか。もっとも華やかなカード(であると願う)。
June 29, 2010
ブラジルvsチリ。男前。
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