●これはどちらを応援しようか激しく迷うカード。「ワールドカップは南米派」としてはパラグアイを応援したい(ニッポンと引分けて抽選の末にここに来たチームとも言えることだし)。しかし一方で、勝ったほうが準決勝でドイツを倒さなければならないという(←スマソ、ドイツ・ファン)という重い使命を担う。決勝で「ウルグアイvsパラグアイ」が実現したら楽しいなと思いつつ、現実的にドイツに対抗できるのはスペインのほうじゃないかとか、グジグジ……。
●でもスペイン、調子悪いっすよね。コンディションも全般によくないし、一部選手たちがパッションに欠けているというか。名指しで申しわけないんだけど(ここ読んでたら失礼>本人)、シャビとかイニエスタとか、普段バルセロナでプレイしているときに比べて、ずいぶんヌルくないっすか。あのひたむきさはどこへ。
●スペインは巧い。パスワークなんて信じられないほど。参加国の中でスペインだけが別の競技をしているかのように。将棋とか。いや、将棋はないか。チェスとか。パズルみたいにパスを回している。
●前半はパラグアイのほうが決定機が多かった。セットプレイでスペインの選手がパラグアイの選手のマークを無防備に外してしまう場面が3回くらいあったと思う。パラグアイは日本戦から6人ほどメンバーを入れ替えてきて、開始早々からすっ飛ばしてきた。バルデスなんて前半で倒れそうなくらい走ってる。前半41分、クロスをバルデスがフリーで受けたシュート、あれオフサイドで取り消されたけど、少なくともバルデスはオンサイドだったんでは。
●後半12分から、妙なことが立て続けに起きた。以下、すべて主審の判定は正しかったと思うのだが、まずパラグアイのカルドーソがエリア内でピケに足を引っ掛けられてPKを得た。カルドーソがこれを蹴り、カシージャスが見事にキャッチ! ややコースは甘めとはいえ、あれを弾き出すのではなくキャッチしてしまうカシージャスは人外。で、カシージャスがこれを味方に投げて、スペインの攻撃がはじまり、そのままビジャが相手ペナルティーエリア内に突進したところでファウルを受けて、今度はスペインにPKが与えられた。ビジャは笛を期待した倒れ方だったが、まあファウルにはちがいない。
●スペインのキッカーはシャビ・アロンソ。落ち着いて決めた……と思ったら、主審の笛が鳴ってやり直し。蹴る前にスペインの選手が何人もエリア内に侵入していたから。で、シャビ・アロンソが二度目のPKを蹴ると、これをキーパーのビジャールがファインセーブ。ボールをいったん弾いたが、味方が体を張って守ってくれた。2度続けて両チームにPKが与えられ、しかもその両方がキーパーにストップされるなんていうシーンは見たことがない。ある意味伝説。
●ようやくゴールが生まれたのは後半38分。イニエスタからペドロにパス、ペドロのシュートはポストに跳ね返されてビジャの目の前に。ビジャはコースを狙ってシュートを打つが、これが右ポストに跳ね返り、さらにそのボールが左のポストに当たって、それからゴールラインを割ってくれた。パチンコ? やっぱりスペインは別の競技をプレイしてないか?
●終盤、パラグアイは選手交代を使って運動量の低下を抑えようとしていたが、それでも足は止まってスペインに広大なスペースを与えてしまった。盛大なブブゼラ(おっとヴヴゼラか)の音の向こう側に、リーガでおなじみのスタイルの「オーレ!オーレ!」が聞こえてきた。スペインのパス回しにあわせて、選手がボールを保持している間「オーーー」と発声し、ボールをパスした瞬間に「レ!」と言う、あの独特のスタイル。この掛け声にはあきらかに選手にボールタッチを少なくさせる強制力が働く。後半44分にパラグアイに決定的チャンスがあったのだが、なぜかシュートを蹴る前からゴールになる気がしなかった。
●スペインは不調のままここまで勝ち進んだ。次はドイツと対戦。正直厳しいところだが、決勝がオランダvsドイツでは味気ない。今大会、グループリーグでは南米勢の躍進と欧州の不調という意外な展開があったが、結局ベスト4に残ったのは欧州3と南米1。ウルグアイ、オランダ、ドイツ、スペイン。南米は2強が敗れるととたんに寂しくなる。
●優勝はウルグアイ。という願望。
July 4, 2010
パラグアイvsスペイン。90分内でプチPK合戦。
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