●もう新シーズンが開幕してしまったが、ベルリン・フィルの定期演奏会有料配信デジタル・コンサート・ホール(DCH)の昨シーズンについて、以下自分用備忘録として。一部未見、全体としては大満足。以下、新しい順に遡って。ホントにメモでスマソ。
●2010年6月。ラトルがウィントン・マルサリスの「ジャズ・シンフォニー」を指揮。会場は盛り上がっていたようだが、自分にはあまりになじみのない音楽で、どうにもならず。知らない外国語で読まれた詩みたいなものか。
●6月。ブロムシュテットが指揮。ベートーヴェンの三重協奏曲とブルックナーの6番。先日来日してN響でブルックナーを振ったときもあったんじゃないかと思うが、なんとベルリン・フィルでもブロムシュテットに対する「一般参賀」が起きた。長老名指揮者とブルックナーは似合いすぎる。「一般参賀」って最初にだれが言い出したのかわからないけど、ホントに秀逸な表現っすよね。ドイツのクラヲタは「一般参賀」のことなんていうのかなあ?と思ったが、よく考えたらフツーに「ソロ・カーテンコール」相当の言葉で済む気が。ていうか日本人以外には意味不明だし→「一般参賀」。
●5月。指揮はキタエンコなのだが、主役はソリストで登場したホルンのバボラーク。バボラークはベルリン・フィルを辞めてしまって、しばらくDCHで姿を見ることがなかったのだが、ソリストとして帰ってきた。グリエールのホルン協奏曲を吹いた。もう神業の域では。オケもいつも以上の集中度。バボラークはすごく幸せそう。アンコール2曲を吹いて、オケが下がった後も独り舞台に残ってもう一曲さらに吹くという珍しいシーンが見られた(まだ前半なのに)。後半はスクリャービンの第3番「神聖な詩」。すごいおトク感。
●5月。ラトルのシベリウス・シリーズ。この日は交響曲第5番と、「第6番&第7番」。つまり前半に5番をやって、後半は第6番と第7番をつなげてあたかも長大な全5楽章の交響曲であるかのように演奏したんである(指揮棒も下ろさずに続けた)。両作品世界に共通するところ大ということなのかもしれないが、正直意味があるのかわからない。ただ演奏そのものは大変すばらしい。第5番は泣ける。
●5月。アバド登場。ブラームスのカンタータ「リナルド」がメインというシブすぎるオール合唱プロ。それにシェーンベルクとシューベルト。
●5月。デイヴィッド・ロバートソン指揮。ルノー・カプソンがリゲティのヴァイオリン協奏曲。ベルリン・フィルはシーズンごとにテーマ作曲家的な人が何人かいるみたいで、昨シーズンはリゲティがその一人。メインはバルトークの「かかし王子」。
●4月。ビエロフラーヴェク指揮。ソリストにエマールでシェーンベルクのピアノ協奏曲。メインはブラームスの交響曲第4番。ここのところラトルでさんざんブラームスを演奏していたのに、客演指揮者も振るのか!?とも思うが。ラトルだろうがビエロフラーヴェクだろうが、ベルリン・フィルのブラームスはよく歌う。聴きほれてしまう。
●4月。指揮者兼ピアニストとしてアンドラーシュ・シフが登場。モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」+ピアノ協奏曲第20番(弾き振り)をつなげて一曲のようにして演奏。しかしつなげるというアイディア以前に、重々しいバッハ、ハイドン、モーツァルトに挫折。
●4月。ラトル指揮、ピーター・セラーズ演出の(!?)バッハ「マタイ受難曲」。なんと、「マタイ」に演出が付いている。コーラスの人とかが演技するし、ときには楽団員までそれに絡む……ようなのだが、超絶違和感があって始まってすぐに退却。音だけなら心揺さぶられる音楽のはずなんだが、視覚的要素が雄弁すぎてどうにも歯が立たず。いずれ改めて再視聴できればと。
●3月。ヤンソンス指揮でヴェルディの「レクイエム」。テノールのデイヴィッド・ロメリの声が甘い。合唱が入るからもあるだろうけど、指揮中のヤンソンスってこんなに表情豊かな人だったんだ。
●3月。ドホナーニが降板して、急遽ネーメ・ヤルヴィが登板。プログラムもさしかえられて、グリーグ「ペール・ギュント」組曲とかウェーバー「オベロン」序曲とかブラームス「大学祝典序曲」とか。これが猛烈に楽しい! 最近ヤルヴィといえばまずパーヴォだけど、パパ・ヤルヴィ健在。豪放磊落、よく鳴る。凝ったプログラムもいいんだけど、たまには名曲小品プロでスカッとしたい。ていうか、こういう曲こそベルリン・フィル級じゃないとなかなか楽しめない。アンコールにシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ。
●以下、その2につづく。
September 29, 2010
ベルリン・フィルDCH昨シーズンのメモ~その1
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