●そういえばオーストラリア・バレエ団の「白鳥の湖」を観てきたのだった(9日/東京文化会館)。バレエは門外漢なんだが、これはおもしろかった! 以下クラヲタ視点、ピント外れスマソ。
●えーと、バレエ界用語でなんと呼べばいいのかがわからないんだけど、これってオペラで言うところの「読み替え演出」だったんすよ。はっきりそう書いてあるわけじゃないんだけど、オデットが故ダイアナ妃で、王子がチャールズ皇太子っぽい。で、王子には愛人がいて、3人で踊って三角関係が描かれたりする(笑)。湖なんか出てこないし、オデットは白鳥ですらない。白鳥の姿をした人が登場するのは、2幕のサナトリウム(に、オデットが入院してる設定)で回想的な表現として描かれるところだけ(たぶん)。演出は(いや振付か)グレアム・マーフィー版と呼ばれていた。
●なるほど、オペラで演出家があれだけ作品を大胆に解釈しているのだから、同じことがバレエに起きていても不思議はないよな……と納得したのだが、あれれ、よく待て。オペラはセリフがあるから、一定の枠内での解釈となるが、バレエでは物語はもともと言語化されていない。だったら、同じ曲さえ使っていればどんな読み替えでも可能なんじゃないの? たとえば「白鳥の湖」の音楽を使って、そこにクリスマスにくるみ割り人形をプレゼントされた少女がお菓子の国に旅立つ物語をダンスで表現するということだって、やろうと思えば可能な気がするぞ(←バカすぎる)。
●中身がクラヲタなので、舞台に目を奪われつつも、意識の半分くらいはピットのほうに向いていた。うむむ。
●で、舞台上に登場するダンサーたちは驚異的に美しかった、前にも書いたけど、これが同じ人類なのだろうかと思うくらい。重力を感じさせない。これも何て呼ぶのかわからないんだけど、女子が(笑)男子に向かってスタスタスタと助走つけてダッシュして、相手の胸に飛び込んで受け止められるっていう様式化された動きがあるみたいで、あのダッシュがスゴいんすよ。すげえ加速で飛び込んでるはずなのに、受け止めるほうは羽根でも飛んできたかのように軽やかにキャッチ。あんなの、重い荷物で鍛えられた宅急便のお兄ちゃんだって受けられないと思うぜー。ワタシならよろけた挙句に転んでピットに落ちる。
●で、やっぱりダンサーの人たちは歌わない(そりゃそうだ)。あのダンサーの肉体を持ち、イゾルデとかヴィオレッタとかミミを歌える人は地球上に存在しないのだろうか。
●オーストラリア・バレエ団は今日から「くるみ割り人形」の公演があるみたい。こっちは観にいかないんだけど、やっぱり演出が凝っている。そもそもクリスマスが真夏だし(南半球だから事実そうなんだけど)、クララはもう婆さんになってて、若き日のバレリーナ時代を追憶する、みたいな枠組み。おもしろいこと考えるよなあ。
October 15, 2010
オーストラリア・バレエ団「白鳥の湖」
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