●演奏会はなにが起きるかわからないものとはいえ、演奏前の段階でこれだけ紆余曲折があろうとは。もともと今回は小澤征爾指揮ウィーン・フィルの来日公演だったんである。それが代役サロネンが指揮することになった。曲はマーラーの9番。しかしサロネンも謎の事情でキャンセルして、結果的にウワサの若手ネルソンスが指揮台に登場。曲目は川口公演と同じプログラムに。モーツァルトの交響曲第33番、ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」、ドヴォルザークの「新世界より」。
●来日公演中にコントラバス奏者シュトラッカ氏の富士山での遭難死があった。痛ましいことである。でもとにかく公演は続く。で、モーツァルトの33番の第2楽章でグラグラとミューザ川崎が揺れ始めたんすよ! 地震だ。揺れはそんなに大きいものじゃなかったと思うが、長くしつこく揺れた(ように感じた)。普段ならすぐに震源はどこか、地震の規模はどれくらいかをあわてて確認するんだけど、演奏会ではそうもいかず。なんだかイヤーな予感がして、ワタシは恐怖していた。呪われた来日公演なのか……? いや、ウィーン・フィルは平然と弾き続けていたし、後で知ったところでは川崎は震度2しかなかったんすけどね。
●ネルソンス、意外とデカい。動きはダイナミック。そして指揮ぶりがヤンソンスそっくり。なんていうのかな、蟹股に構えて手先のほうで指揮棒をぴゅんぴゅん振る感じとか似てるなあ。でも音楽はやはりウィーン・フィルのもの、特にモーツァルトとハイドン。なんという美しい響き。ネルソンスは物怖じせずに果敢にオケに向き合っていて、「新世界」ではところどころに特徴的な歌いまわしやテンポの動かし方で自分の徴を刻印しながら、メリハリの利いた音楽を作っていた。曲が曲なのでマーラー9に期待されるような体験を求めるわけにはいかないが、多くの方がこれぞクラシック音楽の醍醐味として満喫したはず。「新世界」みたいな超有名曲こそ最高のオーケストラで聴きたいという気持ちだってある。楽員が全員舞台から去った後にもまだ拍手が鳴り止まず、ネルソンスのいわゆる「一般参賀」(ソロ・カーテンコールね)があった。これはスゴい。
●あちこちで「寝る損す」的なオヤジギャグが炸裂してたと予想。
November 6, 2010
ネルソンス指揮ウィーン・フィル@ミューザ川崎
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