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November 22, 2010

ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のマーラー

●ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団をミューザ川崎で。曲はマーラーの交響曲第3番。世界最強レベルのオーケストラによる超美麗なマーラー。なんという輝かしさ、まばゆさ。
●ヤンソンスは先日の記者会見でマーラーの作品にはあらゆる人にとって人生に対する問いかけがあるといったことを語っていた。生の喜び、愛、死への欲動、浄化、自然賛歌。第3楽章の夢想するかのようなポストホルン、第4楽章のアルトが歌う夜の音楽、第5楽章の無邪気すぎてグロテスクな少年合唱(ビンバン怖い)、第6楽章の天上の音楽。表現の振幅があまりに巨大であるがゆえに聖性といかがわしさを並存させてしまうところにこの作曲家の魅力を感じていたのだが、ほとんどエレガントとも言ってもいいくらいに磨き抜かれたマーラーを前にして絶句。こんなに美しいマーラーがあるなんて。
マーラー●客席は熱狂。ヤンソンスの一般参賀あり。
●マーラーはときどき「恥ずかしい」(ベートーヴェンやシューベルトも割りと恥ずかしい)。交響曲第3番は頭とお尻、つまり第1楽章冒頭の深い森を連想させるようなホルン主題、第6楽章のティンパニに合わせてドシンドシンと巨神が行進してみるみたいなコーダが、すごく気恥ずかしい。でもヤンソンスとコンセルトヘボウのマーラーだと、ぜんぜん恥ずかしくない。恥ずかしくならずにむしろ崇高になる。これは「超イケメンだとどんなにヲタっぽい服装をしてもおシャレでカッコよく見える理論」に通じる。

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