January 20, 2011

映画「ショパン 愛と哀しみの旋律」試写会プレゼント&レビュー

●久しぶりに当サイト読者様向けプレゼントを。ショパンとジョルジュ・サンドの関係を描いた映画「ショパン 愛と哀しみの旋律」の試写会に10組20名をご招待します。下に内容をご紹介しますが、ショパンの伝記映画としてオススメ。監督はイェジ・アントチャク。サウンドトラックにはヤーヌシュ・オレイニチャク、横山幸雄、ヨーヨー・マらの演奏を使用。もちろん全編ショパンの音楽にあふれています。

ショパン 愛と哀しみの旋律

「ショパン 愛と哀しみの旋律」試写会
日時:2011年2月22日(火)開場18:00 開映18:30
上映時間:126分
場所:日本教育会館一ツ橋ホール(千代田区一ツ橋2-6-2)
当選者数:10組20名様
応募締切:2011年1月27日(木)
→応募は終了しました。

●で、ワタシは一足先にプレス試写を拝見して堪能したんである。この映画のいいところは、ショパンの評伝を読んだときに感じる後味の悪さが、そっくりそのまま再現されているところ。つまり、ショパンの青春時代の成功譚なんてものは駆け足で通り過ぎて、ジョルジュ・サンドたちとマジョルカ島に渡ったあたりからの修羅場を丹念に描く。ショパンがいてジョルジュ・サンドがいて、そしてサンドの息子モーリスと娘ソランジュがいて、ショパン+ソランジュ組とサンド+モーリス組に分かれて対立するあたりの「イヤ~な感じ」がとてもよく出ている。ショパン、サンド、ソランジュ、モーリス。みんなヤなヤツばっか(笑)。これって、まさにショパン評伝の手触りじゃないっすか。
●たとえばショパン。息子と娘がいる年上の女性と付き合っておきながら、あのモーリスとソランジュに対する脇の甘さはなに? そして「男の嫉妬」は常に醜いということがわからないモーリスのダメっぷり。崖っぷち女サンド。ぜんぜんかわいくない。同じくかわいくないソランジュ(彼女がもっとも耐えがたい存在だ)。ソランジュの、母親への反発から粗暴な彫刻家と結婚してしまうという愚かさ。ああ、楽才、文才、資力を備えているのに、この一家の生活能力のなさと来たら……。でも世の中そんなものかも。
●そもそもショパンとサンドって、マジョルカ島にやってきても不快に耐えなきゃいけなかったのが「痛恨の一撃」だったと思うんすよね。映画でも少し描かれてるけど。
●と、ショパンとサンド一家の人物描写がとてもていねい。むしろ音楽は脇役(ていうか、それがフツーの映画だ)。ポーランド映画なのに全員英語をしゃべってるとか、画面でショパンがプレイエル弾いてても鳴ってる音はモダンピアノとか、リスト役の兄ちゃんがフツーっぽすぎるとか、演出が古風だったりとかするが、愛憎劇の味わい深さがすべてを圧倒している。吉。

『ショパン 愛と哀しみの旋律』/3月5日(土)よりシネスイッチ銀座他にて公開/配給:ショウゲート/photo © 2002, A Jerzy Antczak Production, All Rights Reserved.

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Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ> - ■映画『ショパン 愛と哀しみの旋律』 (2011年6月12日 00:07)

2010年は“ピアノの詩人”フレデリック・ショパンの生誕200年に当たります。 ということで、2011年の今年、ショパンの半生を描く映画『ショパン 愛と... 続きを読む

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