January 24, 2011

金沢歌劇座「椿姫」

●21日、先週の金曜夜は金沢へ。金沢歌劇座リニューアル記念ヴェルディ「椿姫」を観てきた。最初「金沢歌劇座」と言われてもピンと来なかったのだが、昔の「観光会館」のことだ。石川県立音楽堂もオーケストラ・アンサンブル金沢(以下OEK)もなかった頃は、ここで(たまに)コンサートが開かれていた。それが2007年に改称され、今回またリニューアルされてようやく本格的オペラ上演にこぎつけた。以前はオーケストラ・ピットもなかったんすよね。
●で、その中身。ヴィオレッタ森麻季、アルフレード佐野成宏、オケは現田茂夫指揮OEK。新国立歌劇場合唱団。最強に強まった布陣なんである。これを一公演開くわけだが、これだけ人を集めて「一公演だけ」などというわけには本来いかない。しかし同じものを数公演できれば経済効率はいいが、金沢の都市圏の人口は東京と比べて数十分の一なわけで、複数公演は難しい。じゃ、どうやって実現したかといえば、金沢、富山、福井、新潟、兵庫の5都市による共同制作なんである。金沢で上演した舞台を、各都市に持っていく。これなら一公演しかできないサイズの都市でも、継続可能な形で水準の高いオペラを上演することができる(おっと、兵庫は2公演だ。北陸の各都市ではピットにOEKが入るが、兵庫のみ兵庫芸術文化センター管弦楽団が入る。オケがある都市ではその街のオケがやる方式)。これは画期的。ちなみに金沢の公演ではS席9000円。新国の半額以下で格安(とはいえ地元感覚からするとそうは思ってもらえないかもしれないんだが。OEK定期も安いから)。
●演奏は音楽的には大変充実。ピットのOEKといい、森麻季さんのヴィオレッタといい最高にすばらしかった。金沢歌劇座、まさかいきなりこのレベルではじまるとは。OEKは一度新国のピットにゲスト出演してほしいくらい(笑)。
●むしろ運営面が音楽面に追いついていない印象はあったかな。クロークがロビーの一角を区切った仮設のものしかなく(コートしかあずかってくれない)、利用率も低いのはどうにかしたいところ。ロビーにもう少し華やいだ雰囲気がほしい。休憩がどのタイミングで何分入るかの掲示も必要(作品になじみの薄いお客さんもいつトイレに行けばいいかわかるように)。このあたりは回を重ねれば練れてくるんだろう。自販機の列は……これは貸しホールでもあるからしょうがないか。
●音楽以外でいいなと思ったのは客層。年配の方ももちろん多いのだが、若い人も普通にいる! 30代ぜんぜん珍しくない、20代もいる。親子連れもいる。新国より明らかに若い。今後のためにも若い人にも足を運んでもらえたのは吉。

トラックバック(1)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.classicajapan.com/mtmt/m--toraba.cgi/1629

<平成22年度舞台芸術共同制作公演> 2011年3月12日(土)14:00/兵庫県立芸術文化センター 指揮/現田茂夫 兵庫芸術文化センター管弦楽団 新国... 続きを読む

このブログ記事について

ひとつ前の記事は「ニッポンvsカタール@アジア・カップ2011カタール」です。

次の記事は「オンラインバックアップ Mozy」です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ