●試合終了後のセレモニーの間延びした感じはなんなんだろう、カタール風なのか。おかげでド深夜にしみじみと勝利の味をかみしめることができた。0-1、延長戦で李忠成がカッコよすぎるボレーシュートを決めてニッポンが優勝。これで4年間はわれわれがアジア・チャンピオンだ。広島、レバノン、中国、カタール。トルシエ時代のレバノン大会をニッポン代表最強の時代と思っていたが、今回はそれを塗り替えるくらい強い印象があった。開催国カタール、韓国、オーストラリアと強豪に当たったということもあるだろうけど、むしろアジア・カップそのものが一段上のステージに立ったような手ごたえ。これは前回からオーストラリアが加わってくれたこともあるし、中東勢の底上げ、韓国とウズベキスタンの充実があってのことかと。
●試合は正直言えば苦しかった。決定機は相手のほうが多かったし、6対4で相手のペースで試合が進んでいたように感じる。GK:川島-DF:内田(延→伊野波)、吉田、今野、長友-MF:遠藤、長谷部-藤本淳吾(→岩政)、本田、岡崎-FW:前田(延→李)。戦列を離れた香川の代役は藤本。しかし持ち味を発揮できず。これまでのテンポよくボールを回しながら相手を崩すというスタイルが、ここまでわずか1失点の強固なディフェンス相手に通用しない。オーストラリアはボールを奪ったらシンプルに前線のケーヒルかキューウェルに当てるなり走らせるなりするだけで、十分脅威を与えることができる。なんという有利さ。こっちは自陣でボールを回すのもプレッシャーがキツくて一苦労、事実なんどもボールを奪われてピンチに。
●後半、藤本を下げて岩政を投入してからは少しずつニッポンの時間帯が増えてきた。今大会ザッケローニ監督の采配が恐ろしく効果的で、これもそう。一瞬センターバック3人では韓国戦の悪夢の再現かと心配したがそうではなく、高さのある吉田と岩政をセンターに置き、今野を左に入れ、長友を一つ前に上げるという、4-2-3-1の布陣を保ったままの選手交代だった。これで空中戦への対応が少しよくなったし、なにより長友のサイドラインでの一対一が攻撃の糸口になってくれた。後半21分にはその長友の仕掛けからクロスが上がり、フリーの岡崎へ。これがわずかに右に逸れた。
●延長後半4分の決勝点も同じような形で、長友の仕掛けからクロスに李忠成がパーフェクトなボレーを決めてくれた。美しい。李が決めてくれて嬉しい。守りでは川島は今日も守護神だった。最後はお互いバテバテでともに何が起きてもおかしくない状態だったが、1点を守りきった。
●この結果はあらゆる意味で吉。オーストラリアは思ったよりもコンパクトなサッカーをしてきたが、それでもことあるごとにハーフラインあたりからロングボールを蹴りこんできた。ハーフライン近くでニッポンの選手がファウルをしてピッと笛が鳴ったら、そこからゴール前に高いのが入ってきてゆっくりフリーキックを蹴るなんていう光景、ぜんぜん美しくない。もう何度もオーストラリアはあれをやってるが、そんなサッカー見たくない。しかし効果的なんだな、これが。「あれは醜いだけで通用しません」という幻想をさも事実であるかのようにワタシらはふるまいたいんである。結果として耐え切れたので、今後もわれわれはあんなサッカーやるだけムダだねと涼しい顔をしていられるのだ、心の中で半泣きになりながら。
●あと、W杯ドイツ大会以降、ニッポンはオーストラリアに勝ってないと思うんすよね(調べてないけど)。プレ・アジア時代のヘンなオーストラリア代表(有名選手がみんないないバージョン)には何度も勝ってるが、あの恥ずかしい敗戦以降、負けたり引分けたりを繰り返していて勝った記憶がない。4年前のアジア・カップ準々決勝での対戦は引き分けで、PKに勝ったにすぎない。今回ようやく勝った。前回ワールドカップ予選で対戦したときに、オーストラリア代表のゴール裏のサポどもが出してた垂れ幕、覚えてないっすか。
Nippon: forever in our shadow
ばーろー、ざけんな。今後毎回長友がお前らの鈍足右サイドバックをぶっちぎってくれるわっ!
●4年後はオーストラリア開催なんすよ。実力に加えて、雰囲気に飲まれやすいアジア審判レベルを考えると、もうこれはどこもオーストラリアには勝てないと思うので(笑)、いま勝っておいてよかった。いや、でも決勝のウズベキスタン主審は国際標準のフツーの笛を吹いてくれてた。審判のレベルが低いと、試合とはボールを巡る戦いなんだか主審と選手たちとの見えない交渉なのかよくわからなくなるわけで、これは超重要。
●もっともオーストラリアがアジアってのはいまだによくわからんが。中国がオセアニア・カップ戦うようなもんだろう。ていうかオーストラリア抜きでサッカーやってるオセアニア連盟も寂しくないか。
●むしろブラジルとかアルゼンチンとかスペインとかイタリアもアジア連盟に入って、アジア・カップがワールドカップ並みに楽しくなるという可能性はないのか。世界はアジアで一つになる!(なりません)