●前日に続いてムジークフェラインでドゥダメル指揮LAフィル(ロス・フィル)公演。前半にジョン・アダムズの「スロニムスキ-ズ・イアーボックス」、バーンスタインの交響曲第1番「エレミア」(ケリー・オコナーMs)、後半にベートーヴェンの交響曲第7番。前半は大編成。爽快。バーンスタイン作品は作曲者24歳の曲というのだが、こんなにも深い感動を呼び起こす曲だったとは。もともと作品が名曲なのか、オケの力量が作品の価値を高めているのか。
●で、後半の「ベト7」。あろうことか、第1楽章、高らかに第一主題が奏でられる場面で、ワタシの目の前には「のだめカンタービレ♪」みたいなロゴの幻影が。ああ、そういばここでロケやったんだよな。指揮台に立つドゥダメルが千秋真一に見えてしまいそうな、まさかのカオス的錯乱。恐るべし、映画の影響力。
●この日は舞台上に被さるサイドのバルコニー席だったので、オーケストラがよく見えた。以下備忘録。ヴァイオリンは対向配置。ホルンは4。2+ここぞというところで増強2。コンサートマスターのマーティン・チャリフォーはしきりに視線をドゥダメルに飛ばす。こんなに弾きながら指揮者をよく見るコンサートマスターって。愛?(違う)。前日も感動したが、首席フルートのデイヴィッド・バックという人の澄み切った冴えわたる音色がひたすら美しい。彼がソロを吹くと一瞬フルート協奏曲になる。オーボエは対照的におとなしめ。クラリネットは演奏中に足元のペットボトルから水を飲み、慎重にふたを閉めた。木管楽器は頭をぐるりと後ろから囲むタイプの黒い遮音板を使用。耳栓多し。ヴィオラが皆これでもかとバリバリと弾くのは視覚的にも壮観。ドゥダメルの指揮ぶりはむしろ落ち着いていて、ほとんど煽ることはない。あと、ドゥダメルは意外と背が低い。昔、生でバーンスタインを見てあまりの小柄さに仰天したことがあったが(てっきり大男だと思い込んでいた、その人間的大きさから勝手に想像して)、カリスマと身長に関係性はない。
●ベートーヴェンの7番はパワフルで輝かしく熱狂的。未来の巨匠芸の予感。大胆ではない。作品のサイズが違うので、マーラーほどの深い感銘を受けたとはいいがたいが、客席は大いに沸いて、またもほぼ総立ち、アンコール、一般参賀のフルコース。
●LAフィルのツアーブログ。前回オーストリアに来たときに挨拶代わりで演奏した「美しく青きドナウ」でブーをもらった話が披露されている Pre-Show Anxiety in Vienna がおもしろい。最後の “The Dude” ってのはドゥダメルのことすかね。
February 8, 2011
ドゥダメル指揮LAフィル@ウィーンその2
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