●「ヨッシャー!」と雄たけびをあげるミスター・ブリュッヘン(→)。ウソ。記者会見の写真であるが、どうしてこんなポーズをとったのかは忘れてしまった。
●で、ブリュッヘン/新日本フィル、ベートーヴェン交響曲全曲演奏会ひとまず完走。4日で1番から9番まで順に演奏されたのだが、あっという間だった。先日の第6番「田園」+第7番も客席はわいていたが、今日の第8番+第9番はシリーズ全体に対する賞賛も込めてか大変な盛り上がり。立ち上がって拍手するお客さん、飛び交うブラボーの声……。これはもう圧倒的な成功と呼ぶしか。この後、20日(日)に名古屋のしらかわホールで第6番「田園」+第7番、21日(月)にサントリーホール定期で第8番+第9番。
●ネタバレあり。「第九」は独唱者が入場しないまま第4楽章に突入しちゃったんすよ。これ、公開リハーサルを見て事前に知ってる人も多かったと思われ、客席が「ざわざわ……」ってなることもなかったんだけど、普通ならびっくりじゃないっすか。で、いよいよという場所でデイヴィッド・ウィルソン=ジョンソンが歌いながら颯爽と登場、しかも「振り」まで付けて! 一瞬にしてオペラ的雰囲気があふれまくる唐突さ。もう笑った。これはハイドン・プロジェクト「軍隊」の演出でもあったけど、理屈としてなにかがあるのかもしんないんだが(「軍隊」でも史実的根拠が示唆されてた)、やはりユーモアと受け取るしかない。一般にオヤジ・ギャグって悲惨じゃないすか、苦笑するのも辛いくらい。でも爺ギャグは最高にファニーで愉快だったりする。そういう偉大なる爺ギャグ。こういうのは真摯で深い感動を呼び起こす芸術と相性がよく、圧倒的な尊敬を受ける老巨匠ならではの特権なんだと思う。
●こういった演出は別にしても、全体に意表をついた強弱の設定が目立ち、びっくりの連続だった。ブリュッヘンはベートーヴェン演奏のお約束化された壮麗さや熱狂とは距離を置いて、一曲一曲驚嘆と歓喜にあふれた創作の歩みを追体験させてくれた。自分にとって特に心に残ったのは、作品のアンバランスで強引な劇的表現をあらわにしてくれたという点で第5と第3「英雄」、そして収穫を予感させない陶酔感ゼロの寂寞とした孤愁の第6「田園」。決して万人受けするベートーヴェンではないと思うんだが、客席の感応度は猛烈に高かった。これは爺好きによる老巨匠プレミアムなどではないはず。ラブ。
February 20, 2011
ブリュッヘン/新日本フィル「ベートーヴェン・プロジェクト」第4回
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さて行ってまいりました。感動のフィナーレとなるのでしょうか? 続きを読む