●以前少しご紹介したロイヤル・オペラの3D収録版「カルメン」が、日本でも今週末より映画「カルメン3Dオペラ」として全国で順次公開される(4/9~ ユナイテッド・シネマ他)。
●そう、3D映像なんである。3D映像で見るド迫力のオペラ。「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」を担当したrealDの技術提供によって、オペラ歌手がぼーんと立体的に見えるのだ! 「えっ、それ誰が喜ぶの?」という声も聞こえてきそうだが、百聞は一見にしかず、昨日プレス試写を拝見した。
●まず、入り口で「メガネ」を渡される。Real3Dの専用3Dメガネで、これをかけないと鑑賞不可。カメラはまず楽屋にいる歌手の映像を映し、続いて指揮者がピットに入って前奏曲が始まる。つまり、通常の舞台での公演を収録している(METライブビューイングなどと同様。ただし舞台裏の「オマケ」はない)。で、映像はもうたしかにスゴイい立体感。とにかく飛び出る(笑)。飛び出すカルメン、飛び出すドン・ホセ、飛び出すミカエラ、飛び出す字幕。3D映像だと現実以上に奥行き感が出るので、歌手が普通に演技しても十分に飛び出るんである(別に3D向けの演技をしているわけではない)。
●中身のほうだが、これ、誰が演奏してるのか気にする人いるんですか的な雰囲気もなくはないんだが、クリスティン・ライス(カルメン)、ブライアン・ヒメル(ドン・ホセ)、コンスタンティノス・カリディス指揮、フランチェスカ・ザンベッロ演出。METみたいにスター歌手をそろえて収録したわけではなく、かといってビジュアルで選んだというわけでもない。これ、同じ演出を以前に見たのを思い出した。ソニーのLivespireで公開された「カルメン」がこの演出で、そのときはヨーナス・カウフマンがドン・ホセだったんすよね。前奏曲の後半ですでに手枷をはめられたドン・ホセが姿を見せて、隣に覆面をした死刑執行人が立って「これから始まる物語は彼の最期の思い出なんですよ」と示唆する演出。2幕と3幕の間に一回だけ休憩が入った。
●視覚的なインパクトが圧倒的に強いので、普通にオペラを観るという行為とは別種のおもしろさあり。舞台の手前に歌手が立つとまるで目の前にいるみたいに浮き出て見える。飛び出すオペラ好きは必見。もうこの3D映像を見たら、本物のオペラが2Dにしか見えなくなる(笑)。全世界の飛び出すオペラ好きにとって、ロイヤル・オペラは伝説の劇場となった。
April 7, 2011
ロイヤル・オペラの「カルメン3D」
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