June 29, 2011

N響 Music Tomorrow 2011

N響 Music Tomorrow 2011へ(オペラシティ)。今年の尾高賞受賞作、西村朗作曲オーケストラのための「蘇莫者」(2009)をメインに、尾高尚忠のフルート小協奏曲(神田寛明独奏)、デュティユーのコレスポンダンス(日本初演、バーバラ・ハンニガン独唱)という演目。昨年は該当作がなかったが、今回は西村朗氏が受賞。前に記者会見の様子を伝えたときも書いたけど、なんと、5回目の受賞っすよ! もう永世尾高賞とか名乗れそうな勢い。しかしせっかく賞があるのに、若手ではなく、すでに実績十分の大家のところに行ってしまうのはどうなんすかねーと思っていたが、この日の演奏会に足を運んでその思いを撤回。「蘇莫者」(そまくしゃって読みます)、圧倒的にすばらしい。初演時より弦楽器の厚みを増したということも加わってか、オーケストラから豊麗な響きが紡ぎ出され、1時間級の大作でありながら変化に富んだ響きのおもしろさは尽きることなく、幽玄で幻想的、溶々たる音の流れが創出されていた。舞楽の舞を必要とするという再演の難しさを勘案したとしても、これが受賞しなくてどうする、と実感。オーケストラ作品のための賞であることを考えても、管弦楽の扱いに熟達した作品が受賞することになるはずで、思うがままの響きを引き出せる人となると受賞者は重なるものなのかもしれない。ステージ中央には正方形の舞台が用意され、そこで天王寺楽所雅亮会による舞楽の舞が踊られる(なのでオーケストラの配置は変則的)。この舞が有する物語性をワタシはまったくわからないままに楽しんだ。予備知識なしでも全6楽章からなんらかの起承転結を受け取れるほどにはフレンドリーなので。
●指揮はパブロ・ヘラス=カサド。1977年スペイン生まれ。10月にはベルリン・フィル定期に立つという俊英。N響の演奏もすばらしかった。「蘇莫者」で冴えたフルートを吹いていた女性はどなたなんでしょか。
蘇莫者「蘇莫者」CDはカメラータトウキョウからリリース済み。ジャケがカッコいい。こちらは初演時のコンビ、沼尻竜典指揮大阪センチュリー交響楽団による演奏。同楽団の委嘱作品。

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