●ようやく帰国いたしました。日常への復帰を目指し中。
●OEKツアー、最終日はラ・ロック・ダンテロン・ピアノ・フェスティバルでチッコリーニと共演。開演前は野外ステージそばの芝生スペースでピクニック気分を楽しむ人が多数。ここは本当に緑が豊かで、目を楽しませてくれる。夜8時半くらいでこの明るさ。
●まだセミが盛大に鳴いている夜9時に開演(そして演奏中に日が暮れると、セミに代わってコオロギが鳴き出す)。アルド・チッコリーニのピアノ独奏、井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏で、前半にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、さらにシューマンのピアノ協奏曲の2曲、後半にベートーヴェンの交響曲第7番。
●チッコリーニは1925年生まれ、もうすぐ86歳。リハーサルでは杖をついて歩いているくらいのおじいさんなんだけど、鍵盤に向かうともう別人。力強く明快なタッチで堂々たるベートーヴェンとシューマンを聴かせてくれた。しかも間に休憩なしで。大巨匠の風格。聴衆もすっかり圧倒されて、シューマンが終わった時点ではほとんど総立ちになりそうな勢いの大喝采。アンコールも2曲。1曲目はシューベルトのクーペルヴィーザー・ワルツ(たぶん。知らない曲だったので、違ってたらゴメン)、2曲目はドビュッシーの前奏曲集第1巻から「ミンストレル」。前半があまりに盛り上がったので、これでお客さんが帰ってしまったらどうしようかと一瞬心配になったが(もう遅いし)、これは杞憂でベートーヴェンの7番も十分に喜んでもらえた。
●終演後、ルネ・マルタン氏は「このフェスティバル30年の歴史の中でも十指に数えられる見事なコンサート」と興奮した面持ちで語り、OEKに対しても「ヨーロッパの一流オーケストラと肩を並べるレベルに到達している」と賞賛の言葉を寄せてくれた。
●こちらは帰国途中、マルセイユの空港で見かけたラ・ロック・ダンテロンのポスター。ルネ・マルタンといえばラ・フォル・ジュルネなんだけど、先にこのラ・ロック・ダンテロンを始めてるんすよね。もう31回目だから歴史がある。客層は年配の方が中心。エル=バシャとOEKの公演の後に、何人かお客さんをつかまえて話を聞いたんだけど(あ、実際に話したのは通訳の方なんだが)、あるマダムは「この音楽祭に来るのはもう21回目。夫婦で一泊二日で来ています。でも夫はクラシックが好きじゃないので、演奏会はいつも私一人で聴いているの。日本は震災があって大変でしたね、お悔やみ申し上げます。でも日本人の辛抱強さがあればきっと克服できると思います」と述べてくれた。
August 5, 2011
OEKツアー、ラ・ロック・ダンテロンでチッコリーニと共演 その2
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