●ようやく聴けた、エンリコ・オノフリがバロック・ヴァイオリンと指揮を務めるニュー・アルバム「愛をこめて」。オノフリが日本人演奏家によるチパンゴ・コンソートを率いる。ゲストに森麻季さん。これ、2009年12月に紀尾井ホールで行なわれたライブのCDなんすよね。ワタシも聴きに行ったんだけど、こうしてCDの形にできあがったアルバムを聴いてびっくり。ライブ録音っていうよりは、このアルバム一枚を作るために録音されたものを聴いてるみたいな完成度の高さ。いたるところに奏者の息づかいがはっきり聞こえて生々しい。演奏会は客席で聴くものだけど、ライブ録音はそうじゃないんすよね。仮想的な舞台上で聴いているというか、あるいは同じスタジオに入っている気になるというか。生より生々しいのが録音。だから自分が聴いた演奏会より、ずっと輪郭のはっきりした音楽を聴いている気になる。最後、拍手が入っているのを聴いて初めて「はっ、これライブだった」って思い出す。
●曲目はコレッリ、ヴィヴァルディ、ヘンデル、モーツァルトなど。冒頭のコレッリの合奏協奏曲第1番が始まる瞬間の豊かさ、みずみずしさに圧倒される。ワタシがこのアルバムでいちばん好きなのは、ヴィヴァルディ「ファルナーチェ」のアリア「すべての血管を凍えるような血が」が終わって、同じくヴィヴァルディ「四季」から「冬」第2楽章&第3楽章へと続くところ。アリア「すべての血管を凍えるような血が」が「冬」の第1楽章に共通する楽想を持っているので、これを第1楽章に見立てて「冬」第2楽章にワープする。この眩暈感。しかもこの「冬」第2楽章が猛烈にカッコいい。「外は荒天だけど、ウチの中は暖炉があって快適で嬉しいぜー!」っていうハッピーなノリ。
August 16, 2011
エンリコ・オノフリ「愛をこめて」
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