●ラトル指揮ベルリン・フィルが来日公演中。公演に先立って開かれた記者会見へ(11月22日/ホテルオークラ東京)。写真左よりシュテファン・ドール(ホルン)、サイモン・ラトル、オラフ・マニンガー(チェロ/メディア担当役員)。
●話題はいくつもあったが思いつくままに。ラトル「3年ぶりに来日することができて嬉しい。今年は日本は大変な苦難に遭ったけれど、私たちと日本は長い関係を築いている。われわれはファミリーであり、共通言語である音楽でつながっている」。3人ともやはり震災について言及する。彼らが震災直後にYouTubeで来日のメッセージを残してくれたのを思い出した。ラトル「仙台での公演も考えたが、インフラの問題でオケ全員で行くことはできなかった。しかし何人かのメンバーは仙台で演奏することができた」。ドールは「地震で破損したためミューザ川崎で公演ができなくなり残念。ミューザ川崎のパートナー・オーケストラである東京交響楽団のためにも、一日も早く再建されることを願ってます」と語ってくれた(当初ミューザ川崎で予定されていた一公演がサントリーホールに変更された)。
●EMI主催の会見なので録音関係の話題もたくさんあった。今後のレコーディング計画としては、まずブルックナーの交響曲第9番の4楽章版。手稿を集め修復された第4楽章は「パワフルで説得力がある」「後期のマーラー作品以上に冒険的」(ラトル)。それからビゼー「カルメン」。「オペラのレコーディングはこの時代にもはや不可能と思っていたが、EMIの協力で可能になった」(ラトル)。
●オラフ・マニンガーがベルリン・フィルのメディア戦略について。「デジタル・コンサート・ホール、3D映像収録、YouTube、facebook等々、デジタル分野においてベルリン・フィルはグローバルなアウトリーチを展開している。今クラシック音楽はニッチになりつつあると思われているが、これらの活動によってクラシック音楽を社会の中心にすえることが必要だと思っている」。
●ほかに今回の来日公演でも演奏されるマーラーの交響曲について、あるいは細川作品についても興味深い話題があった。そのあたりは、また別の機会があれば。
●最近の来日団体がどこもやるように、ベルリン・フィルもアジアツアー・ブログを公開している。ドイツ語と英語。写真だけでもおもしろい。
November 24, 2011