●前回、「ウォーキング・デッド」について書いた。その後しばらくして、たまたまNHKの「ヒューマン なぜ人間になれたのか」というドキュメンタリーを見た。これは鋭いっすよ。どうして地球上にこれだけヒト、つまりホモ・サピエンスが広がったかという話。それなりに賢くて強いライバルはたくさんいたのに。
●興味深かったのは、他の霊長類との比較。ゴリラの生殖間隔は4年、チンパンジーは5年、オラウータンにいたっては8年だという。この間、母親はずっと子にお乳を与えている。これに対してヒトは一年だ。繁殖のスピードがぜんぜん違うんである。この旺盛な繁殖力により、ヒトは世界に広がった。オラウータンはヒトをわれわれがネズミを見るかのような目で見ていたのかもしれない。ネズミ算ならぬヒト算。人類増えすぎ。アフリカの大地だけじゃ到底ヒトをまかないきれず、ヒトはすさまじい勢いで地球上に広がった。
●さて、そしてヒトの多くはゾンビになってしまったわけだ。「ウォーキング・デッド」の先々のシーズンの展開がこれである程度、予想できないだろうか。つまり、ゾンビをヒトに戻すような都合のいいワクチンなど開発されないとして(そのはずだ)、このまま多数のゾンビvs少数のヒトの戦いが続いた場合、勝者はどちらか。
●もちろん、ヒトなのだ! なぜならゾンビは繁殖できないから。ヒトは繁殖する。ヒトのうち、かなりの程度はゾンビになってしまうだろう。しかしヒトがゾンビを倒した場合、確実にその数だけゾンビは減る。ヒトのゾンビ化率<ゾンビ撃退率+繁殖率を考えて、右辺が大きくなるように保てさえすれば、いずれ地球はふたたび人類がゾンビを圧倒するようになる。どれくらいの時間がかかるかはなんともいえないが、あれだけ地球がゾンビに覆われても、それでもゾンビは不利だ。
●ただし、ヒト側も現時点で手にしているリソース、ガソリンであるとかクルマ、ミネラルウォーターや加工食品、現代文明が作り出した道具類等々をいったんは失ってしまうだろう。文明を維持するには、あまりにヒトは減りすぎた。最悪、石器時代からやり直しの可能性すらありえる。そうなった場合、今度はヒトの敵はゾンビ以上に大型の肉食動物(本来の捕食者たちだ)になるという展開はありうる。「ウォーキング・デッド」シーズン256くらいまで続くと、案外絵面は「はじめ人間ギャートルズ」みたいな感じになってて、主人公の子孫たちがマンモスを追いかけているのかもしれない。え、ゾンビ?そういやそんなヤツ昔いたっけなあ、みたいな。
February 3, 2012