●24日(金)はNHK交響楽団主催の第60回尾高賞記者会見と贈呈式。尾高惇忠氏(67)作曲の「交響曲~時の彼方へ~」が受賞した。昨年9月23日に仙台で尾高忠明指揮仙台フィルによって初演された作品。尾高賞は故・尾高尚忠氏の功績を讃えて制定された賞であるわけだが、受賞者尾高惇忠氏は尚忠氏の長男。初演を指揮した尾高忠明氏は惇忠氏の弟で、尾高賞の選考委員の一人でもある。尾高惇忠氏の受賞は30年ぶり2度目。「作曲を始めた頃はオヤジの曲を聴きたくないと思っていた。オヤジは前衛よりは耳になじみやすい音を目指していた。しかし気が付くと自分も今回の受賞コメントに似たようなことを書いており、なんだ、同じところを目指しているじゃないかと思った」と語った(写真:受賞挨拶)。
●で、尾高賞に続いて、来季のNHK交響楽団の活動内容について発表があった。詳細は近く公式サイトで発表があると思うが、2012/13シーズンの定期公演および特別公演の指揮者をざっと書くと、プレヴィン、スラットキン、マゼール、デ・ワールト、ノリントン、ジンマン、アクセルロッド、ヒュー・ウルフ、メルクル、ウンジャン、ビシュコフ、尾高忠明、フェドセーエフ、タン・ドゥン、下野竜也、チョン・ミョンフン。
●12月の「第九」演奏会はノリントンが指揮する。
●最大の注目はロリン・マゼールのN響初登場だろう。10月にA、B、Cの3プログラムすべてを振る。[A]チャイコフスキー:組曲第3番より「主題と変奏」、グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲(ライナー・キュッヒル)、スクリャービン:「法悦の詩」。[B]ワーグナー~マゼール編「ニーベルングの指環」管弦楽曲集(言葉のない指環)。[C]モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」、ウェーバー:クラリネット協奏曲第2番(ダニエル・オッテンザマー)、ラヴェル「スペイン狂詩曲」&「ボレロ」。期待通り、サービス満点のプログラム。
●デュトワは12月のA、B、C。Aはストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」&ラヴェル「子供と魔法」両作品の演奏会形式。
●4月のビシュコフはラベック姉妹と共演してリシャール・デュビュニョン作曲の2台ピアノと2つのオーケストラのための協奏曲「バトルフィールド」を日本初演。LAフィル、パリ管、ゲヴァントハウス管、スイス・ロマンド管の共同委嘱による作品で、昨年11月にビシュコフ指揮LAフィル&ラベック姉妹により世界初演されている。
●ソリストで目立ったところは、ポール・ルイスが2月にヒュー・ウルフとベートーヴェン「皇帝」。ヴィクトリア・ムローヴァが4月にピーター・ウンジャンとショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。
February 27, 2012