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March 8, 2012

トッパンホール~河村尚子「師クライネフへのオマージュ」

●昨晩はトッパンホールで河村尚子のオール・プロコフィエフ・プロ。プロコプロ。「ロメオとジュリエット」からの10の小品抜粋、ピアノ・ソナタ第2番ニ短調、「束の間の幻影」抜粋、ピアノ・ソナタ第6番イ長調という、すばらしすぎるプログラム。ビバ、プロコ。そして、ソナタ2番と6番をこれだけの水準の演奏で聴けるなんて。ソナタ第6番の冒頭って楽しくて、しかもカッコいいすよね。峻烈かつバイタリティあふれる演奏に鋼のリリシズムが豊かに息づいていた。客席はびっしり。
●第2番も愉快な曲。「プロコフィエフ自伝/随想集」にあった若き日のプロコについて。学生時代のプロコフィエフはどんどん「ソナタ」を書いて、それに通し番号を付けていた。ピアノ・ソナタ「第6番」(←習作としての番号。現存する第6番ではない)を書いたプロコフィエフに対して、ミヤスコフスキーは「べつにソナタに番号を付ける必要もないだろう」と笑って言った。「そのうち全部番号を消して、ソナタ第1番と書き直すときが来るんだから」。実際にミヤスコフスキーの言った通りになった。習作時代のソナタは第2番は何ヶ所か変更してソナタ第1番作品1になり、第3番は改稿して第3番として残り、第4番と第6番は紛失、第5番は第4番作品29と結合された。なので、現在のソナタ第2番は習作時代を終えて一から新たに書いた最初のソナタとも言える。

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