●昨晩は井上道義指揮OEK東京定期へ(サントリーホール)。バンベルク交響楽団メンバー、カイ・フレンブゲン(ob)、ギュンター・フォルストマイアー(cl)、アレクセイ・トカチャク(fg)、サボルクス・ツェンプレーニ(hrn)を招いて、モーツァルトの協奏交響曲変ホ長調K.297bを演奏するという珍しい趣向。金沢での公演ではこれにプラスしてOEK団員のソロによるハイドンの協奏交響曲というダブル協奏交響曲プロだったのだが、東京はモーツァルトのみ。うまい。リッチなモーツァルト。
●ほかの演目は、昨夏の欧州ツアーの再現でハイドンの「驚愕」、ベートーヴェンの交響曲第7番、アンコールに武満徹の映画「他人の顔」から「ワルツ」。どれもツアーに随行取材した際にリハから本番から何度も繰り返して聴いた曲なので、もう「第一印象」にリセットして聴けない。どのパートの誰がツアーのときとは違っているとかいったことも意識してしまうし、それが全体としてはどう違って聞こえるものなんだろうか、今晩最初に聴くお客さんはどんな感触を得るのだろうかとか、迷路に迷い込んだような気分になる。本来客席側は(追っかけでもしない限り)どの公演も一期一会でその日がすべてなので、別の公演との比較は意味はなく、大きくどちらの方向を向いているかにもっとも強く印象付けられるはず。グーグルマップとかで拡大表示しすぎて全体の中のどこを見ているかわからなくなるのに似ているかも。
●「驚愕」の例の場所の仕掛けは、指揮者がくるりとこちらを向いた瞬間、ホール内の照明がいっせいにパッと明るくなるという大掛かりなものだった(笑)。夏のツアーではぜんぜん別のパターンが2つくらいあって、それぞれ客席をどよめかせていた。
●ミンコフスキとルーヴル宮音楽隊は、あの場所でオケがなんにもしない「無音」のビックリをやって、さらにその後もう一度繰り返したときにメンバー全員で「ウヒャア!」って絶叫するパターンをやっている。CDでも聴けるが、CDだと無音部分で指揮者が空振りしているのはわからない。
March 27, 2012