April 16, 2012

ノリントン&N響、広上&OEK、ヘルムヘン/エーベルレ/石坂トリオ

●開幕から6試合を終えて、いまだ勝利のないマリノス。監督人事の段階である程度覚悟はしていたが、さすがにこれはヤバいんでは。怖くて順位表が見れない(ら抜き)。この怖さをたとえるなら、ゾンビに噛まれそうになって間一髪で攻撃をかわしたんだけど、かわしたつもりなのになぜかズキズキ痛みがあって、もしかしてそれ傷になってるんじゃないか、かすり傷だけどまさか噛まれちゃったんじゃないよね、そんなはずないよね、でもなんか痛むんすけど……的な怖さとでも言おうか。
●新しい順に振り返る、この一週間のコンサート。今日15日はノリントン&N響。うららかな一日、原宿は若者と外国人観光客だらけ、代々木公園でピクニックしている人たちが楽しそう。だがNHKホールの中はピクニック以上の楽しさだった。ベートーヴェン・プロでヘルムヘン/エーベルレ/石坂団十郎のトリオとの三重協奏曲、交響曲第3番「英雄」他。舞台後方にいつもは見かけない反響板を並べて、奥行きをコンパクトにしていたのが奏効していた模様。ノンヴィブラートの「ピュアトーン」仕様(ただしソリスト陣は自分たちのスタイル)、前半は小編成、しかし後半はなんと木管を倍管に。fl4,ob4/cl4,fg4と木管セクションが壮観。最後列にコントラバス8台を並べる。ヴァイオリンはもちろん対向配置。ステージ中央で分厚く響く音塊を左端のホルンと右端のトランペットが縁取りをする。ピリオドさせること以上に、意表をついたダイナミクスなどオーケストラを自由に思いのまま動かせるということに驚嘆する。普段とぜんぜん違ったことを要求されてもオケが付いてくる。スゴい。痛快で笑えて、しかもウルッと来て泣ける「エロイカ」。圧巻。
●13日は金沢で広上淳一指揮OEK(石川県立音楽堂)。アッテルベリのヴェルムランド狂詩曲、ヒンデミットの「四つの気質」(河村尚子ピアノ)、シューベルトの交響曲第2番。このヒンデミットが聴けるというだけでも足を運ぶ価値あり。シューベルトは予想以上に熱っぽく引き締まった音楽になって、客席がぐいぐいと音楽に引き込まれていく雰囲気が周囲から伝わってきた。プログラミングも演奏も最高度のクォリティを持ったコンサートだったが、客席に隙間が多かったのが唯一残念。ここは定期会員率が高いので、チケットを持っていても演目を見て欠席してしまった方も少なからずいたはず。シーズン最大級の聴きものだったかもしれないのに、惜しいことである。
●9日はトッパンホールでヘルムヘン/エーベルレ/石坂団十郎のトリオ。ハイドンのピアノ三重奏曲ハ長調 Hob.XV-27、ブラームスのピアノ三重奏曲第3番ハ短調、シューベルトのピアノ三重奏曲第1番変ロ長調。前半のハイドンとブラームスが特に楽しめた。三人ともとにかく上手くて、しかもトリオとしてもとても美しい響きが作られていたとワタシは感じたんだが……。若くて優秀で、ひたすらまぶしい。15日のN響との共演の日は、後半を客席で聴いていたみたい。ノリントンのユーモアに笑ってくれただろうか?

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