April 17, 2012

カンブルラン指揮読響で「おもちゃ箱」「ペトルーシュカ」他

●昨晩はカンブルラン指揮読響定期(サントリーホール)へ。ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、「おもちゃ箱」、ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」(1947年版)というプログラム。「おもちゃ箱」は生で聴くのは初めて。愛娘シュシュのために作曲された作品ということなんだけど「子供の領分」と違うのは、おもちゃ箱の中で起きた人形のお話というストーリー性があるというところ。もちろんこれは後半の「ペトルーシュカ」の人形に命が吹き込まれるという題材と呼応し、同じ「命を宿した人形」を扱いながらも前半の愛と優しさで包まれた安全地帯と、後半のグロテスクで無慈悲な狂乱の世界とで強烈なコントラストを描き出す。両者とも(オリジナルは)1910年代前半の作品。シュシュは「おもちゃ箱」が気に入っただろうか? 男の子マインドで言えば、おもしろいのは圧倒的に「ペトルーシュカ」だ。男子は「おもちゃ箱」みたいな世界に本能的にウソくささを直感する。物語なしで30分は冗長では? しかしイングリッシュ・ホルンのソロはため息ができるほど美しい。
●そして「ペトルーシュカ」。圧巻。なんという色彩感。鮮やかな原色から繊細なパステルカラーまで取り揃えられた女子も男子も飛びつくロリポップ。躍動するリズム、あふれ出る愉悦。こちらこそ「おもちゃ箱」だ。箱をかき回すとなにが飛び出すかわからない。つい先日インバル都響で同じ曲のすぐれた演奏を聴いたばかりなのに、まったく違うアプローチで名演を聴くことができた。出色の出来では。こんなに洗練された絢爛とした音楽を作曲者は想像しただろうか。

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