May 21, 2012

ディマッテオのチェルシー

●チャンピオンズリーグの決勝はバイエルン・ミュンヘンvsチェルシー。見たいチームは準決勝でどちらも敗れてしまい、自分にとっては関心の持てない組合せになってしまった。そんな気合の入らなさ具合を反映してか、録画を再生しようと思ったらなぜか後半途中からしか録れていない。しかし0対0からだったのでちょうどいいかとも思ったり。
●でも本当はこれは興味深い対戦であるはず。なにしろ決勝の地はミュンヘン。CL決勝をホームで戦えるバイエルン・ミュンヘンには圧倒的なアドバンテージがある。しかしチーム力を考えるとチェルシーに底力を感じる。チェルシーはアウェイ・ゲームとして戦いに臨み、バイエルンの攻撃に耐えた。ポゼッションの優位を相手に与えながらも、堅守から好機をうかがう。チェルシーの戦略はあまりうまくいっていたようにも見えなかったが、バイエルンが得点機にミスを重ねた結果、運命のいたずらで1-1に終わった。PK戦は運。チェルシーが栄冠をゲット。
●とはいえ、PK戦の準備もチェルシーはしっかりできていたように見える。基本、みんな上に蹴るんすよね、今時のトップレベルの選手は。ランパードのキックなんて、上の真ん中。上に強く蹴れば(枠をはずさない限り)どこに蹴ろうがまず入る。でも難しい。この「基本は上」がビッグクラブのPK戦かな、と。マリオ・ゴメスなんかはいかに浮かさず下に蹴るかでクラシックなテイスト。それでも運が最大の要素には違いないとは思うけど。
●国内リーグでドルトムントの後塵を拝しているバイエルン・ミュンヘンが、この獲るべきタイトルを獲れなかったのは痛い。一方、チェルシーもリーグ戦は6位と不調だったため、このタイトルをとったおかげで来季のCL出場権を最後の最後に獲得できた。これはすごく大きいはず、チームの経営的に。鳴り物入りでスタートしたヴィラス・ボアス前監督体制が崩壊したにもかかわらず、結果的にCL優勝、FAカップ優勝、来季CL出場権まで手に入れることができたわけで、チェルシーにとっては考えられないほど好都合な結果が得られたことになる。
●これでがぜん、チェルシーの監督人事がおもしろくなった。これだけの結果を残したんだから、ロベルト・ディマッテオ暫定監督がそのまま監督になるのが当然にも見えるが、オーナーのアブラモヴィッチは決勝戦の結果にかかわらずディマッテオを退任させるつもりだとも伝えられている。アブラモヴィッチの気持ちは理解できる。もっとブランド力のあるスター監督が欲しいはず。ディマッテオのこれまでの指導者としての実績を考えると、彼はノーブランドの無印良品にしか見えないだろうし、下手をしたら無印粗品の可能性もある。ディマッテオの風貌は名将にも知略家にも奇才にも鬼軍曹にも見えない。ディマッテオは本当にすぐれた監督なのか。
●そもそも「アブラモヴィッチ」が石油王という設定ってどうなのか。設定っていうか現実なんだけど。

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