●欧州経済の行方を占う一戦として、メルケル首相が会議の日程を動かしてやってきたというドイツvsギリシャ。勤勉な債権者ドイツに対して、ギリシャは手も足も出ないという一戦だった。
●ドイツは意外にも前線の3人を入れ替えてきた。マリオ・ゴメス、ポドルスキ、ミュラーがベンチスタートとなり、代わりにクローゼ、シュールレ、ロイスが先発。グループリーグの第3戦だったらまだわかる。でもこれって準々決勝だから、次の試合まで中五日もあるんすよね。グループリーグからは中三日、中三日、中四日の日程。疲労した選手を休ませるという以上に、控えの選手も使ってチームの士気と一体感を高めようということなのか。決勝まで道筋を描いているチームならではであり、しかもセカンドチョイスの攻撃陣でもギリシャには勝てるという目算あってこそ。事実、大量4ゴールも奪ってるし。
●ギリシャもサマラスのゴールで1-1に追いついたところまでは何かを予感させた。でもそのすぐ後に、ボアテングのクロスに飛び込んだケディラが超絶技巧のボレーで叩き込んで突き放してからは、ドイツのやりたい放題に。エジルは今日も冴えていた。4-2。メルケル首相が「アッハッハッハッ! 働け、ギリシャ人たちよ!」と高笑いをしている図を思い浮かべてみる。
●控えから昇格したクローゼ、ロイスもゴールを決めて、レーヴ監督の采配は完璧。個人の能力の高さに加えて組織力があるのがドイツの強み。コンディション調整もしっかりしているし、好不調の波も少ない。ポルトガル優位とは思っているが、この日のレーヴ監督の起用法を見ると、今回のドイツは予想以上に難敵と思わざるを得ない。
●と、EURO2012の華やかな世界を眺めつつも、23日はご近所サッカー、JFLの横河武蔵野FC対FC琉球へ。この日を逃すと当分(秋まで)観戦できなさそうな日程だったので、足を運ぶ。FC琉球の先発に元ニッポン代表の我那覇がいた! 我那覇は心情的には応援したいが、敵に回すと手ごわい。プロ選手も多いであろう琉球の選手たちは、個人能力で武蔵野を一段上回っていた。しかし試合は武蔵野が先制、その後2失点して逆転されるが、後半ロスタイムで粘り強い波状攻撃が実を結んで、97分(!)にこの日2ゴールとなる小野祐輔のゴールが決まって2-2の同点に追いついた。なんという劇的な幕切れ。終盤、足の止まった琉球に対して、次々と捨て身の攻撃を仕掛けた武蔵野の「魂のフットボール」は見事。ああ、これがホームゲームっていうものなんだなあ。震えた。
●これだけEUROの中継に夢中になりながら言うのもなんだが、「遠くのEUROより近所のJFL」っていうのも真実、フットボール・ライフ的には。