●準々決勝最後の試合はイングランドvsイタリア。これは今大会屈指の好ゲームだった、後半の半ばくらいまでは。イタリアは3バックを止めて4バックに。4-4-2でバロテッリとカッサーノの2トップ。イングランドはウェルベックをトップに置いて、その下にルーニー。今大会の両チームのカラーが出て、イタリアのほうがボールを圧倒的に保持して攻めるのに対し、イングランドは守りから入ってカウンターアタック。序盤からお互いにあまりプレスをかけずに選手間の距離が開いたので、次々とチャンスがやってくる。派手な点の取り合いになるかと思ったら、なんと、延長まで戦って0対0とは!
●スタッツがすごい。ボール・ポゼッションはイングランド35対イタリア65。枠内シュートはイングランド4本に対してイタリアは20本。枠内20本なんて試合はそうそうないだろうが、それで0点だから。いくら戦術が違うといっても、これはやっぱりイタリアが勝ち進むべき試合だったと思う。いいサッカーをしてたもの。
●120分間を戦って引き分けたので、PK戦へ。PK戦は本質的にくじ引きだけど、そこに駆け引きや戦略があることは否定できない。サイモン・クーパーのサッカー統計によれば「PK戦の約60%は先攻チームが勝つ」ということなので(それが正しければ)、これはもう明白に先行が有利である。イタリアは先攻だったが、2人目のモントリーヴォが外してしまう。1本ビハインドの状態なのに、3人目のピルロがキーパーを嘲笑うかのようなチップキックで決める(トッティみたい)。これは爆笑。GKのジョー・ハートの体が完全に倒れた後に、ふわりとボールがゴールラインを通過していく。あたかもこのチップキックで流れが変わったかのように、イングランドの3人目ヤングがミス、4人目のアシュリー・コールは蹴ったコースが甘くブッフォンがセーブ。その直後のモントリーヴォの安堵した表情がなんともいえない。イタリアは5人目ディアマンティが決めて、PK戦内逆転勝利。今日も先攻が勝ったのだ。
●もともと不利な日程の上に、延長まで戦ってドイツとの準決勝に臨むイタリア。これで準決勝は心置きなくイタリアを応援できる。
June 26, 2012