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2012年8月アーカイブ

August 31, 2012

フラブラ論

黒猫の楽団 指揮者●フライング・ブラボーも「指揮者がまだ棒を下ろしていないのにブラボー」とか「最後の音の残響が消えていないのにブラボー」とかいうのは、真にフライングとはいえない気がする。号砲が鳴る前にスタートを切るからフライングなんである。本物のフラブラ野郎なら、指揮者が棒を構えた時点でブラボーと叫ぶべき。

August 30, 2012

夏休みの宿題

夏●夏はしんどい、いろいろと。寝苦しいし、猛烈に汗かくし。しかし季節の終わりに寂しさを感じさせるのは圧倒的に夏。終わってほしくない。エンドレスな夏、ウェルカム。しかし夏が終わらないと、秋が来ないわけで、音楽界のシーズンも幕を開けないのは困る。などと考えるほぼ月末。
●Twitterか何かで「日本の夏休みはこんなに宿題出ててかわいそう、ほら海外の人は夏休みに宿題なんかないよ、みんな夏は遊んでるよ、なのに日本人、なにその宿題って?」的な問題提起を見かけて、「へえ、そうなの?」と思ったら、しばらくしたらだれかが「だって海外じゃ秋から新年度なんだから夏休みに宿題出ないのはフツーじゃないすか、先生も生徒も変わるかもしれないんだし」という衝撃的理路でこれを粉砕したのであった。
●先日、松本に行ったら(サイトウ・キネンじゃないアレ)、8月の下旬だって言うのにもう地元の学校の夏休みは終わってるっていうんすよ。あ、バスのダイヤがこの辺で変わるのは学校が始まるからか! でも夏休みが短いってかわいそうじゃないすかと尋ねたら、その分、春休みが長いんだとか。春休みがうんと長い。3ヶ月くらい春休み。てのはウソ。でも1ヶ月くらい春休みって言われた。それで思ったんすよね、春休みが長ければ、学年が変わるから宿題レスなホリデーを満喫できる。なんという狡猾な戦略。

August 29, 2012

自分らしく

●元JEF市原の廣山望が引退。元ニッポン代表とはいっても、華やかなスター街道とは違うところを歩んできたのでニュースの扱いは大きくないが、日本人選手屈指のパイオニアだった。JEF市原から(いろいろあったが)パラグアイのセロ・ポルテーニョに移籍して活躍、さらにポルトガルのブラガ、フランスのモンペリエといった欧州1部リーグでもプレイした。2004年に帰国してヴェルディ、セレッソ、草津と渡り、最後はアメリカのリッチモンド・キッカーズ。このクラブはMLSではなく、USLという独立リーグに所属している。17年間もプロ選手としてプレイできる選手は代表クラスでもまれ。しかもスピードやスタミナで対面の選手と勝負しなければならないアウトサイドの選手でこれだけできた人となると、さらに限られるはず。傑出した選手だったと思う。
●サッカー界に留まるというからおそらく今後は監督を目指すだろうし、そうなってほしい。彼のブログの引退宣言の最後は「これからも自分らしくサッカーを続けていきたい」と結ばれていた。
●自分らしく。あれ、中田ヒデみたいじゃない? そういえばナカタと廣山は似ているかも。ともにインテリジェンスを感じさせる。語学も堪能。各国を渡り歩いた。メディアを通して描かれるキャラクターもそう遠くはない。ただナカタは早々にサッカー界を後にしたけど、廣山は今後監督として選手時代以上の成功を収める可能性がある。
プレス・カンファレンス●しかし、監督業をやってる人で「自分らしく」なんて言ってる人はいない気がする。みんな代わりにこう言う。「バルセロナらしいサッカーをしたい」「ニッポンらしいサッカーをしたい」。オシムやザッケローニも「ニッポンらしく」とは言っても「自分らしく」とは言わない。日本のことなんてほとんど知らない段階からそう言う。だれもがなにかに仮託して目指すサッカー像を掲げる。監督が「自分らしく」とか言ったらサポはたちまち噛みつく、ゾンビの群れのように。「はあ? 自分ってなにそのちっぽけなエゴ、大切なオレのチーム、一時的に預けてるだけなのに」。
●「自分らしく」より「他人らしく」。行く先々で「ミランらしく」「インテルらしく」「ニッポン代表らしく」を標榜したであろうザッケローニも、本当は3-4-3の「自分らしく」にこだわりがあるっぽいんだけど、掲げる看板は「他人らしく」。監督業というより、オッサン社会の知恵という気もする。他人らしく生きる。ビバ、自分探しより他人探しの旅。

August 28, 2012

冨田勲「イーハトーヴ」交響曲を大友直人&日フィル、初音ミクが世界初演

冨田勲と初音ミク●27日は東京ミッドタウンで冨田勲「イーハトーヴ」交響曲世界初演公演制作発表記者会見。ビルボードジャパンと日本フィルの共催で冨田勲作曲の新作「イーハトーヴ」交響曲が11/23東京オペラシティにて開催されるのだが、なんと、初音ミクが大友直人指揮日フィルと共演するんである。オーケストラに合唱団が加わり、さらに初音ミクが歌う。
●「イーハトーヴ」は「注文の多い料理店」や「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」といった宮沢賢治作品に着想を得た交響曲。「注文の多い料理店」で、さあこれから自分たちが食われるかどうかという場面で、「ここに出てくるのは初音ミクしかない」(冨田勲)ということで、要所要所に初音ミクが登場する。初音ミクの「かりそめのボディ」「パソコンの中からは出られない」といったキャラクター性が、冨田御大のお気に召した模様。
●クラシック畑には「初音ミク、誰それ?」という方もいらっしゃるかもしれないが、彼女はキャラクターを有した歌唱ソフトウェアである。写真は初音ミクのフィギュアを持って登場した冨田先生。これまでMOOGシンセサイザーからオーケストラまでを駆使して数々の名作を残し、「僕にとってはいまだに電気的な音とアコースティックな音の区別はない」という氏だけに、初音ミクを起用しても不思議はない。
●冨田勲、指揮の大友直人とともに会見に出席したクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表は、「これまでも初音ミクはコンサートを行なってきたが、今回は今までと違い初音ミクがオーケストラに合わせなければならない。音だけでなくCGによるモーションも同期しなければならず、技術的なハードルは高いが、めどはたっている。バーチャルシンガーが人間の演奏に合わせるという点で野心的な試みになると思う」と語った。初音ミクは歌って踊るということなので、映像も入るんすね。
●なお、公演では「イーハトーヴ」交響曲に加えて、交響詩「ジャングル大帝」など、これまでの冨田作品も演奏される。冨田ファンと初音ミク。果たしてどういうノリの公演になるのか。

August 27, 2012

祝、香川ゴル

●マンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司が第2節にして初ゴール。祝。
●ゴールも嬉しいが2試合連続して先発出場しているのがすばらしい。当初、香川のポジションはひとまずは大丈夫だろうと思っていた。ユナイテッドはスター軍団ではあるが、ドイツでリーグ屈指のスーパースターとなった香川であれば、十分先発できるはず、と。ところが開幕直前になってアーセナルからファン・ペルシが移籍してきた。ファン・ペルシは絶対的な選手だろう。ルーニーと同じように全世界のどんなクラブでもエースになれる。これで香川のレギュラー・ポジションが急に難しくなった……と思っていたら、第1節はファン・ペルシーがベンチ・スタート、香川は先発フル出場、第2節はまさかのルーニーがベンチ・スタートで、香川は後半にルーニーと交代。
●第1節のエヴァートン戦は負けたのがよくなかった。香川のプレーはミスが少なく効果的なパスを何本か通していたけど、相手陣内の深くまで自ら突破するプレイがなかったし、シュートもゼロ。もらったパスをシンプルにリターンするプレイも目立ち、正しいプレイなんだろうけど少し遠慮がちで物足りなく感じた(ルーニーと香川はお互いを見ている感じだった)。しかし第2節フラム戦は積極性が増したようで、ゴールの場面以外にも惜しいシュートがあった。ホーム開幕戦を勝利で飾れたのも吉。
●もっとも、あの香川のゴールはあそこに走りこんでいれば誰でも決められたごっつぁんゴール。あなただってあそこにいれば逆転ゴールでスタジアムをわかせることができたはず。はずすほうが難しい。あそこではずせるのは「師匠」。
●ファーガソン監督はルーニーでもベンチに置くのか。で、交代出場したルーニーは終盤に接触プレイでももを負傷、4週間の離脱の模様。うーん、これで香川の出番は当分確保されたようにも思えるが、結果が伴わないと大変なことになりそう。

August 24, 2012

ゾンビと私 その24 乗鞍高原ハイキング

●久々にハイキングである。当不定期連載「ゾンビと私」では、いざというZdayに備え、「街がゾンビであふれかえっても人間が人間として生存できる場所」を山に求めてきた。人口密集地域でいかに武装したところで、時間の問題でヤツらに噛まれることになるのは、先行研究によりほぼ証明されている。一方、ヤツらは意図して山に登らない。また人口密度の薄い山であれば、万一ヤツらが迷い込んできても、容易には被害は広がらない。
●東京近郊の低山についてはこれまでの記事にあるように大まかな調査は済んでいるのだが、先日せっかく松本に出かけたのであるから、高地についても取材してみた。関東平野がえんえん広がる東京と異なり、松本の周囲は山だらけ。都心ではそもそも山のふもとにたどり着くまでの移動が大変なのであるが、その点、松本は山が近い。
新島々バスターミナル
●もっとも高地といっても森林限界を超えるような高山まで登ってしまっては、農耕が不可能になってしまう。今回は標高1600m近辺の乗鞍高原を訪れた。まずは松本駅からアルピコ交通上高地線に乗って新島々まで電車で移動する。駅には写真のようなバスターミナルがあり、ここから上高地や乗鞍方面へとバスが出ている。
●さて、路線バスに乗って一気に終点の「休暇村」まで上れば、そこは高地。ひんやりとした風が吹き涼しい。下界の蒸し暑さがウソのようである。暑い夏、戸外でゾンビに襲われて全力疾走ばかりしていては熱射病にかかる恐れがある。涼しいほうがよい。まずは、バス停から休暇村の裏手を抜けてすぐ近くにある牛留池を訪れた。

●このように池があるということは水源の確保の点からも重要である。なお、天気のよい日には正面に見える乗鞍岳が池に写り込み「逆さ乗鞍」となって風光明媚である。地上がゾンビ禍に見舞われる中、一服の清涼剤となって人心を癒してくれることだろう。
乗鞍高原 口笛の径
●続いて「口笛の径」と呼ばれる山道を下る。ご覧のように周囲は緑で囲まれており、視界は利かない。平時であれば、上機嫌によるものか、あるいは熊よけのためか、口笛を吹くのもよいかもしれないが、Zday以後は厳禁である。このような場にヤツらを呼び寄せてしまっては逃げ場がなく、戦闘も困難である。
乗鞍高原 一の瀬
●しばらく歩くと、見通しのよい場所に出る。ここから一の瀬園地と呼ばれる自然公園が広がり、キャンプも可能となっている。ここならヤツらが現れても、早期に察知することができる。夏の間は牛が放牧されているということなので、生き残った人々の生活拠点としてふさわしいのではないか。「ウォーキング・デッド」シーズン2における、ハーシェルの農場をイメージできるだろう。

●こちらが簡易な食堂である。ソフトクリームも販売されている。ここまで山道を通ってきたが、ここは車道が通っているのでクルマで直接来ることもできる。Zday以降、住居となりうる。
山とソフトクリーム
●高地は気温が低いとはいえ、今回は徒歩で休憩抜きで3時間コースを歩いており、やはり汗はかく。水分はもちろん、カロリーの補給も欠かせずソフトクリームを注文する。遠くに山を見ながらソフトクリームを舐める。うっかりとソフトクリームの形を山の形に似せて造形したくなるかもしれない。山型のなにを見ても心に浮かぶ特定の山の形に造形したくなるとすれば、それはゾンビではなく別の未知との遭遇が待つことになろう。
善五郎滝
●その後、食堂の脇から山道を登ると、やがて大きな滝に出会う。善五郎滝だ。これは見事な絶景である。滝に打たれたくなったらいつでもここに来ればよい。滝行により心身を鍛えることは、ヤツらと対峙する上で有効である、かもしれない。
善五郎滝から
●善五郎滝から落ちた水が溜まり、小川になって流れ出す。渓魚がいるかもしれない。水と食糧の確保は欠かせない。
白樺林
●続いて、ふたたび山道を歩き、スタート地点の休暇村を目指す。東京近郊の低山ハイキングと一見なにも変わらないように見えるが、植生が少し異なり、このあたりは高地ゆえに白樺が多い。白樺の幹からは大量の樹液の採取が可能である。この樹液は人工甘味料キシリトールの原料となる。近年、多くのチューインガムにはキシリトールが使用され、虫歯予防に役立っている。虫歯の痛みに耐えながらゾンビと戦うのは不利である。歯はヤツらの武器にもなれば、われわれの弱点ともなる。この白樺林が虫歯予防に役立つことを期待したい。
休暇村
●出発点の休暇村へと帰還した。この休暇村は一見生活拠点となりうるように見えるかもしれないが、おそらくはそうはならない。「ウォーキング・デッド」等、多くの事例から察するに、このような鉄筋の建造物は避難所というよりはヤツらの死体置き場となるのが常である。あるいは奥の部屋の厳重に施錠した一室にヤツらがびっしりと閉じ込められ、内側からドアをガンガンと叩いている図が思い浮かぶ。ここがヤツらの休暇村となり、その魂に平安が訪れることを願う。

August 23, 2012

「シャーロック」シーズン2

SHERLOCK/シャーロック シーズン2●最近、抜群におもしろいと思ったのがNHK-BSで放映された「シャーロック」シーズン2。録画で見たので話題にすっかり乗り遅れてしまったが、シーズン1と合わせて、最強に強まる21世紀版シャーロック・ホームズを再創造していた。オペラの読み替え演出みたいっすよね。単に舞台を現代に置き換えただけではなく、「バスカヴィルの犬」とか「ライヘンバッハの滝」とか原典を踏まえた上で、既存の登場人物に新たな人物像を与え、奇想天外にも不足しない。古典的な意味でのミステリーのトリックとしては割りと無理筋な気もするけど。
●みんな彼のことを「ホームズ」じゃなくて「シャーロック」って呼ぶんすよね。
●シーズン2の最終話「ライヘンバッハ・ヒーロー」The Reichenbach Fallは、滝じゃなくて、ビルから落ちるんだけど、原典通りシャーロックは死んでいない。あのトリックが明かされないまま終わってしまい、いずれシーズン3で説明はされるんだろうが落ち着かない。もう一回、最終話だけでも見てみるか?
●これは定番の演出みたいなものだが、シャーロックとジョン・ワトソンの関係は現代に置き換えるとどうしたってゲイ・カップルと思われてしまうのが可笑しい。男同士だとそうなる。女同士だとそうはならないんすよね。女子はルームシェアしたり、いっしょに旅行したり、買い物にでかけたり、女子会したりできるけど、男子はそうもいかなくて不自由なんである。コナン・ドイルの同時代の読者にとってはどうだったんだろう?

August 21, 2012

ブログとかTwitterとかFacebookとか

SNS●TwitterやFacebookといったソーシャル・ネットワーク・サービスが浸透するにつれて、ブログからそちらに移行する人が増えてきた。SNSのほうが話の輪が広がりやすい。ブログという仕組みも当初はトラックバック機能のようなSNS的な発想があったのだが、これはスパムの蔓延によってあっという間に機能しなくなってしまった。今ではむしろ双方向性よりも単方向性のほうがブログの利点になっているのでは。
●つまりエッセイ、コラムみたいなものを載せるならブログ。情報記事や身辺雑記を綴るならSNS。文章には「言いっ放し」にできるほうがおもしろいものと、反応や反響を期待して成立するものがあるので。
●あと、ブログは記事が残って「アーカイブ」になる。ネット上のプレゼンスがある程度あれば、古い記事でも検索エンジンが拾ってくれる。チリツモ効果が侮れない。SNSは蓄積よりも「今」がすべて。Twitterも一発言が一URLを持つのでブログと似たようなものに思えるんだけど、実際には古い発言は埋もれやすい。Facebookは独自の小宇宙を作っていて、その中で完結しているイメージ。個々の発言の公開範囲が細かくコントロール可能なので(「友人まで」「友人の中の特定グループまで」「友人の友人まで」「公開」など)、ひとりとして同じ光景を見ていない。
●SNSで要注意だなと思うのは「自己肯定の罠」。Twitterのタイムラインは自分が選んだ人だけで構成される。見たくないものは見ない。Facebookはさらに一歩進んでいて「いいね!」でできている。「いいね!」ボタンはあっても、「ヤだね!」ボタンはない。100人が「ヤだね!」と思っても、10人の変わり者が「いいね!」と言ってくれれば、「わわ、みんな僕にこんなに共感してくれてる!ビバ世界!」みたいなマトリックス状態が誕生する。ハッピー。↓「いいね!」ボタン、クリックしてねっ♪
●SNS上で誰からも叩かれている候補者がいても、選挙になると余裕で当選したりするじゃないすか。自己肯定の重畳は世間と自分に距離を作り出す。
●でもそこがキモ、SNSは。それでいいんじゃないすかね。ネット以前の時代から人は物事を選択的に見ていたのに、みんながググってなんでもフラットに見えすぎるようになった、だからいくぶんもとに戻そうよ、とも理解できる、SNSって。
●本日、8月21日で当サイト開設17周年。17年って……。くらくら。

August 20, 2012

松本山雅FCvsロアッソ熊本@アルウィン

松本山雅FCvsロアッソ熊本@アルウィン
●19日、あずさに揺られて松本へ。サイトウ・キネンでオネゲル「火刑台上のジャンヌ・ダルク」が上演されるこの日、多くの音楽関係者が松本を訪れているというのに、わき目も振らずにアルウィンに直行するビバ下部リーグ野郎。J2、松本山雅FC対ロアッソ熊本戦へ。かねてより訪れたいと思っていたアルウィンはさすが専用競技場、ピッチが近くて、見やすい。山を背景に見るサッカー。屋台類も豊富。最強に強まる観戦環境。ゴール裏は緑に染まって、サポーターも熱い。
●キックオフ前にアウェイ熊本サポに対して「信州へようこそ」的なアナウンスが。松本山雅サポから暖かい拍手。軽いカルチャーショックを受けるが、これは見習いたい。数十人でも赤いユニを着た熊本サポがいる、松本に。
●松本山雅は反町監督、熊本は高木琢也監督。ともにJリーグ初期を支えた名選手が監督業を継続できている数少ない成功例か。熊本には藤本主税などJ1で活躍したベテラン選手もいる。松本山雅は3バックを採用。守備組織がしっかりしているという印象で、3人のバックラインに随時逆サイドの中盤の選手が下がって空いたスペースを埋めつつ、中盤底のユン・ソンヨルがバランスをとりながら相手の好機の芽を摘む。攻撃時に決定機をなかなか作れず、両者決め手を欠いて0対0のドロー。山雅としては勝てる試合だったと思う。
●ハーフタイムにはミニ花火大会も。観客数11,142人は立派。松本市の人口は24万人。すっかり町に根付いている雰囲気。観客はファミリー層が圧倒的。ほんの少し前まではJFLで横河武蔵野と戦っていたのに。
●最近JFLを中心に観戦しているので、たまにJ2に来るとメジャー感に圧倒される。

August 18, 2012

とりぱん 13 (とりのなん子)

とりぱん 13 ●気がついたら出ていた、「とりぱん」13巻。えっ、もう13巻? 身近な鳥の生態を中心に東北ケダモノライフを描くというだけの身辺雑記的題材ですでに13巻。恐るべし、このネタの枯れなさ具合。どうということのない日常の描き方が吉。
●とはいえ、さすがに鳥ライフに毎年そんなに大きな変化があるはずもなく、季節が巡るのと同じようにネタも巡る。ヒヨドリは相変わらず強気一辺倒だし、ツグミはけなげで、オナガは毅然としている。ここまで付き合ってきているんだから、これで無問題。「お約束」を創作できるって偉大だ。
●「とりぱん」は東北が舞台だけど、登場する鳥の過半は東京でも身近にいる鳥なんすよね。今回ハクセキレイとかムクドリがチラッと出てきたけど、これらはまさに近所でよく見かける鳥。ハクセキレイは駐車場なんかをツンツク歩いているし、ムクドリはその辺の公園でもグワッと群れてる。ヤツらはある一線を越えるとカラス、ハト、スズメの類に仲間入りをしそう。
●巻末にヒツジとOLコミック「るりさんとめるりさん」第2回が載っていて、これが秀逸。もう最高っすね。

August 16, 2012

IOCのオフィシャル・オリンピック・チャンネル

テレビ●あっという間に過ぎ去ったロンドン・オリンピック。ハイペースにどんどんとスケジュールが消化された。見逃した競技を見たいという方は、YouTubeにある Official Olympic Channel by the IOC へ行くが吉。全競技のアーカイブを見ることができる。音声は英語、スペイン語、場内音声のみの3種類から選択可(場内音声のことを「自然な音」と訳してあるのが機械翻訳っぽい)。
●なんか、スゴいすよね、この感覚。オリンピックはテレビの放映権料があってはじめて成立し得るものである一方、あの権利にうるさいオリンピックですらYouTubeにオフィシャル・チャンネルを作って無料でアーカイブを公開する時代になった、と。隔世の感。大会中もNHKが自らテレビ中継のない競技をネットでライブ配信していた。
●オリンピックにしてもハリウッド映画にしてもオペラにしても、かつてテレビで見ていたものをネットを通して見る機会がどんどん増えてきた。だからこそテレビはテレビにしか提供できないものを提供するしかないわけで、民放のスポーツ中継にはテレビタレントが囃し立てる「外枠」が必要になるのがよくわかる。
●もう一つ、このIOCのアーカイブには日本語音声はないけど「場内音声」はある。どんな競技でも生で観戦すればそこにはアナウンサーも解説者もおらず、本来スポーツは「場内音声」のみで観るものであるはず。なぜ画面を通して見るとアナウンサーが必要になるのだろう。カメラに収められていない一角で起きた出来事を知るため? それとも本当は不要なのに習慣付けられているだけ? ネット配信はテレビの作法を問い直す。

August 14, 2012

TDKオーケストラコンサート2012~マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団公開リハーサルに学生200名を招待

マリス・ヤンソンス●TDKオーケストラコンサート2012~マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団来日公演の公開リハーサルに、中学生以上で音楽を学んでいる学生200名が招待される。12月1日(土)サントリーホールにて、午前10:30から2時間程度を予定。ネット応募可、応募者多数の場合は抽選で。応募〆切は10月26日。
●特に曲目は予告されていないが、この日の本番は19時からベートーヴェンの交響曲第8番と「第九」が予定されている。交響曲全曲演奏シリーズの最終日。学生の方はぜひ。

August 13, 2012

クシシュトフ・ウルバンスキ東京交響楽団首席客演指揮者就任発表記者会見

ウルバンスキ東京交響楽団記者会見
●9日、恵比寿のポーランド大使館でクシシュトフ・ウルバンスキの東京交響楽団首席客演指揮者就任発表記者会見。ウルバンスキの東響首席客演指揮者就任については以前にもお伝えしたが、今回の来日ではフェスタサマーミューザの2公演を指揮している。1982年ポーランド生まれで、現在インディアナポリス交響楽団音楽監督とノルウェーのトロンヘイム交響楽団首席指揮者。2014年にベルリン・フィルへのデビューが予定される。東響とは過去2回の共演でオーケストラにも強烈な印象を与えた。なにしろリハーサルから暗譜。一見すると独特な解釈のようでいて、でも楽譜に忠実で、慣習的なルバート等にとらわれずに作品を洗い直すと評判。会見にはTシャツ、ジーンズ、スニーカーで登場、カッコいい。
●ウルバンスキは特に音楽的な環境に生まれたというわけではなく、「12歳になって専門的な音楽教育を受け始めた」とか。当初は作曲を志していたが、たまたまアンサンブルでテンポを刻む人が必要になったので自分がやってみたら、指揮こそが自分のやりたかったことだとわかったという。
●会見後のレセプションで、どうしてリハーサルから暗譜をするのか尋ねたところ、「若い指揮者が指揮台で譜面のほうを見ていると、その間に楽員がおしゃべりをしたりケータイをいじったりするので、全部覚えてしまうことにした。というか、事前に勉強しているうちに覚えてしまう」のだとか。また「スコアを勉強するときは録音は聴かないようにしている」とも。東響とは来年、再来年の共演も予定されており、これまでのドヴォルザーク、ショスタコーヴィチとは違った路線の演目が聴けそう。
●フェスタサマーミューザでは7日のドヴォルザークの交響曲第7番他、12日のショスタコーヴィチの交響曲第5番他に出演(ともにテアトロ・ジーリオ・ショウワ)。特に12日はすばらしい名演で、客席が大いに沸いていた。爆演ではなく、清新きわまりないショスタコーヴィチ。テンポ設定も変わっているけど、本当はこんな曲だったのではと思わせる。弱音の美しさも秀逸。棒の振り方も特徴的で、柔らかくて力まない。非凡。

August 12, 2012

韓国U23vsニッポンU23@ロンドン・オリンピック

●3位決定戦はまさかの日韓戦。はるばるヨーロッパに武者修行に旅したら、お隣さんにばったり会ってしまい、「じゃ、いつものアレ、やりますかね」ってな感じで。いや、別にイギリスまで来ていつものメンツでやらなくても。主審もウズベキスタン人で(この方は優秀)、「アジアの戦い」欧州出張版。カーディフにつめかけた現地フットボール・ファンのみなさんは、中二日の連続の無茶日程の果てに最後にこんな肉弾戦をしていて、東アジアの銅メダルへの執念恐るべしと思ったかもしれないが、えっと、いつもこんな感じで削り合ってます!
●すでに敗退したチーム同士が戦う3位決定戦。陸上競技や水泳みたいに記録を争ったり集団でレースを走ったりするようなものなら、トップ3というのは意味のある区切りだと思うが、トーナメント形式でわざわざ3位と4位を決める意味がわからない。3決で肉弾戦やってケガでもされたらたまらない。メダルの都合があるなら両者銅メダルにするなり、サッカーは銀メダルまでにするなりして、敗退した国の選手は早くクラブに返してほしい。
●ニッポンは前の試合と同じ先発をそろえてきた。せめて控え選手を先発させてなにか収穫を得られればとも期待したが、それで負けた場合につまらない批判が出てくることも容易に想像できる。韓国は全身全霊を傾けてファイトした。序盤からニッポンがゲームを支配し、ピッチ・コンディションがひどい割りにボールも回せていたが、前半38分、10番のパク・チュヨンがすばらしいゴールを決めた。ニッポンのディフェンス3人くらいを相手に強引に突破してシュート。後半13分には鈴木を振り切ったク・ジャチョルがゴールを決めて2-0。韓国の当たりの強さと決定力は大したもの。コンディションはお互い悪かったはずだが、ハイテンションの試合になった。ニッポンは宇佐美や杉本といった交代選手たちが今回も目立った活躍ができなかったのが惜しい。
●結果的に負けたのは残念。とはいえ内容でやられたという感じはない。韓国の選手たちはこの試合に勝てば兵役免除という大きな報奨があったそうで、かなり荒っぽい試合になっていたが、それでもニッポンの選手はあれくらいはできるんだなと思うとむしろ感心。ベスト4は立派の一語に尽きる。
●オリンピックはU23の大会。終わってみるとやっぱりフル代表でプレイしている清武のクォリティは高かったなと思う。このチームから新たにフル代表に定着する選手が出てきますように。

August 10, 2012

東京芸術劇場リニューアルオープン内覧会

●9月1日にリニューアルオープンする池袋の東京芸術劇場で内覧会が開かれた(9日)。いくつか写真でレポートを。まず一目瞭然、最大の違いはあの「恐怖のエスカレーター」がなくなったこと。
東京芸術劇場 アトリウム
●このように、壁際に沿って2段階で上る方式になった。最初にまっすぐ上り(ここは階段も併設される)、その後直角に左方向へ上る(こちらはエスカレーターのみ)。従来と高度は変わらないが、壁に沿っているので怖くない。アトリウムの空間も広々と感じられるようになった。かつての長い一本道のエスカレーターは意味もなく緊張を強いられるものだった。
東京芸術劇場コンサートホール入り口
●ホール全体の基本構造は変わっていない。コンサートホール入り口は上の写真のように、明るく暖かみのあるデザインに変わった。内部もそうだが、以前は無機的でクールなトーンのホールだったのが、全体に暖色系中心の落ち着いたムードに変わっている。「あの殺伐とした雰囲気こそ池袋にふさわしかったのに!」と以前を懐かしむ方もいらっしゃるかもしれないが、より常識的なデザインになったともいえる。
●なお、ホールのエントランス奥に3階席まで行けるエレベーターが新設された。
東京芸術劇場コンサートホール
●こちらがホール内部。2回客席から撮影している。色合い以外の変化はわかりにくいかもしれないが、壁面も変わっているし、天井反射板もリニューアルされており、音響面でも刷新されているものと思われる(内覧会では演奏はなし)。また、ステージが広くなった。客席の最前列を撤去し、その分、ステージが前方に広がっている(後方に客席を増やすなどして、客席総数は変わっていない模様)。舞台はヒノキ材に張替え。
東京芸術劇場コンサートホール客席
●こちらはステージ上から客席を眺めた図。座席も座り心地のよいものを目指して作り替えられている。厚みも増して、お尻にやさしい、かもしれない。
東京芸術劇場 楽屋
●ステージ袖からバックステージへ。写真は楽屋の並び。バックステージは基本的に変更はない模様だが、無線LAN環境が整えられることになった。
●このほか、東京芸術劇場には演劇用のプレイハウス(中ホール)や地下の小劇場シアターイースト&ウエストがあり、これらも改修されている。こちらはもともと足を運ぶ機会がなかったのでチラッと一瞥したのみだが、演劇だけではなく音楽系でもなにかできないものだろうか。プレイハウスのガサガサした雰囲気は悪くない。なお、地下のフロアには以前、ずらり並んだ自販機とか休憩用の椅子などがあったように記憶しているが、今日の時点では何も置かれていなかった。
●こうしてそれぞれのホールを出入りしていると、それだけでも劇場ならではの高揚感みたいなものが胸に湧き上がってきて楽しくなる。全体としてはぐっと快適性があがった印象で、あとは実際に音がどんな風に聞こえるか。期待するしか。

August 9, 2012

オリンピック2周目

プールと浮き輪●ものすごい勢いで目の前を過ぎ去ってゆくオリンピック。たぶんテレビで放映しているのは有力日本人選手が参加している競技が中心で、国が違えばぜんぜん違う競技が放映されているんだろう。「え、オリンピックに卓球なんてあるの?」みたいな。みんなで参加して、みんなで違うオリンピックを見る。
●密度が濃い。毎日たくさんの競技が行われていて。もっと薄くてもいい気がする。今日はカヌーのスプリントだとなったら、一日中延々とカヌーのスプリントを放映しているくらい、とことんカヌーの日とか。
●このスピード感についていけない人のために、オリンピック2周目をそろそろスタートさせてはどうか。まずは開会式から。2周目は1日1競技のペースでじっくりやる。全競技、予選から放映される。そしてこのまま緩やかに4年をかけて閉会式にたどり着き、その翌日にはリオデジャネイロ・オリンピックが開幕する。僕たちの夏は終わらない。あ、でもリオデジャネイロは冬か。

August 8, 2012

メキシコU23vsニッポンU23@ロンドン・オリンピック

メキシコ●このチームがオリンピックの準決勝まで勝ち進むことを予想していた人は少なかったはず。で、勝てばおそらくブラジルと決勝を戦えるメキシコU23vsニッポンU23。負傷が心配された永井も先発、本来のメンバーがそろった。GK:権田-DF:酒井宏樹、鈴木大輔、吉田、徳永悠平-MF:山口、扇原、東-FW:永井、清武、大津。
●序盤はニッポンが試合をコントロールしていた。ボールもよく回る。前半12分、相手ゴール前でのパス回しから大津が右足を振りぬいてゴール隅に突き刺さる目の覚めるようなシュート。お互いに前線から守備をしてラインを高く保ちながらパスを回すスタイルなので、試合がかみ合う。ハイレベルな見ごたえのある試合になり、ウェンブリーのお客さんも楽しめたのでは。前半31分にメキシコのコーナーキックから、ニアのボールをすらされて、ファビアンの頭にどんぴしゃで合って同点ゴールを奪われる。徐々にメキシコの動きがよくなってきた。
●後半頭からメキシコはエース格のドス・サントスを下げて、高さのあるR・ヒメネス投入。メキシコはポゼッションで優位に立つが、ニッポンの攻撃陣もチャンスは作っていた。しかし後半20分、痛いミスが。キーパーの権田が目の前の扇原にスローするが、扇原がパスの出しどころを見つけられずもたつく間にボールを奪われ、ペラルタが豪快なミドルシュートを決めて逆転。もっとも見たくない失点パターンの一つ。むしろニッポンの永井あたりに期待していたプレイでもあるが、逆にやられてしまった。しかしあのシュートもすごい。
●ここからニッポンは規律が崩壊してパニックへ。焦りのためにパスミスや無用なロングボールが増えて、自らボールを失うことが一気に増えた。運動量も相手より劣るようになり、東→杉本、清武→宇佐美、扇原→齋藤学と次々と交代選手を入れたが、代わって入った選手たちがほとんど持ち味を発揮できず、チームのパフォーマンスはさらに低下。終盤、吉田を上げてパワープレイに出たが、最後列から放り込んでもチャンスになる確率はかなり低い。ロスタイムにカウンターを食らって、コルテスがドリブル突破から追加点。このあたり、メキシコのクォリティの高さを感じる。3-1でメキシコが勝利。ミスがきっかけで逆転されたのは惜しいが、相手のほうが一枚上手だった。トルシエが率いた黄金世代のワールドユース以来の決勝進出はならず。
●敗退したのだからこれでおしまいとなるべきだと思うんだが、まだ3位決定戦がある。ワールドカップと違って、オリンピックは3位に入るとメダルがもらえるという方式を採用していて、3位と4位では大違いということになるのだが、敗退した後にまだ試合があるということに激しく違和感を感じる。しかもこんな日程で。サッカーに3位決定戦は不要だろう。どうせだれも見ない。……わけないか。

August 7, 2012

マラソンコースを走る

●多少気持ちと時間に余裕のあるとき向きなんだけど、パナソニックの「RUN@LONDON」がいい。ロンドン・オリンピックのマラソンコースをネット上で走ることができる。アバターを走らせてマラソンに見立ててはいるものの、道路上を普通に車両が走っており、実感としてはむしろマラソンコースに沿ってドライブしたという感触(実際クルマの中から撮影しているわけだし)。これがユル楽しい。助手席に乗せてもらっている設定。だからBGMは運転手が選んだ曲だ。自分のじゃない。
●arte.tvでリヨン・オペラのオリヴィエ・ピ演出のビゼー「カルメン」。舞台はタバコ工場ではなくキャバレー。チラッとつまんでみたら、最後にカルメンが死んでないくさい。これ、どう解したらいいんだか。

August 6, 2012

ニッポンU23vsエジプトU23@ロンドン・オリンピック

●オリンピックは少し目を離すとその間にギュンギュンと競技日程が進んでいて、知らない間にメダルの山が築かれていた。昨日のことが、一昨日のことが、昔話のように振り返られ、メダル計数器のカウントが進んでゆく。集めれ、そしてメダル王の城へ。すてきアイテムをゲットしたい。「ふしぎなボレロ」を装備するとレフェリーの好感度アップ!
ニッポン!●で、サッカー準々決勝のニッポンU23vsエジプトU23。右サイドバックの酒井宏樹が復帰して、スペイン戦のメンバーに戻して臨む。グループリーグ第3戦で多くの選手を休ませることができたのが奏功したのか、コンディションではニッポンがエジプトを上回っていた。エジプトはブラジル戦を見た限り、強力なアタッカー陣とフィジカルの強さを持っているように思えたが、なにしろこの日程、先に進むほど消耗戦になりがち。
●前半14分に高い位置のプレスからショートカウンターがきれいに決まって永井がゴール。キーパーを交わして無人のゴールに流し込むだけのシュートだったが、「あ、これは外すんじゃないか」と思ったら、サイドネットに収まった。いや、入って当然なんだけど、体勢を崩してたから。このとき永井は足を痛めたようで負傷交代、齋藤学へ。これは誤算。
●前半41分に裏に抜けた齋藤をサード・サミルが後方から倒したということで一発レッド。スペイン戦とそっくりな展開になった。そういえば主審も同じ人?(アドバンテージの取り方に特徴を感じる) これもイエローでも十分だったようにも思えるんだけど……。圧倒的に有利な状況に。
●不思議なことに後半は一人少ないエジプトがボールを保持している時間が長く感じた。ニッポンはボールを持ってもパスミスで失うことが多く、とても一人多いようには思えなかったのだが、後半33分にフリーキックからドフリーの吉田が頭で決めて追加点を奪うと、エジプトの足は止まった。齋藤がキーパーとの1対1に外してスタジアムに無数の溜息を誘発したことは、マリノス者として書いておかねば。エジプトは3人交代した後に、一人負傷して11人対9人に。扇原のクロスから大津が頭で決めて3-0。大津はこの試合がいちばんよかった。
●これでベスト4進出。幸運もあった。反対側の山では韓国がPK戦の末、開催国グレート・ブリテンを破った。地元のサッカー・ファンはすっかりしらけているに違いない。こんなことなら「グレート・ブリテン」なんてチームを作る必要はなかった……のか。スペインは早々に敗退しちゃうし(ニッポンvsエジプトのスタジアムの多くのお客さんはスペインを見たかったのでは?)、残ったのがニッポン、メキシコ、韓国、ブラジルとは。これでブラジル史上初の五輪金メダルは決まったも同然、それ以外の結果なんて見たくないと世界中のサッカー・ファンが思っていることだろう。これで決勝が日韓戦だったら笑う。

August 3, 2012

グレート・ブリテンU23と五輪代表

グレート・ブリテン●フットボール界から見ると、今回のオリンピックはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの共同開催みたいなものであって、開催国枠をどうするのかということが最初から問題になっていた。なにしろサッカーには「イギリス代表」という概念は存在しない。当初、スコットランドやウェールズのサッカー協会は、合同チームの結成に反発していたようで、一時はイングランド代表をイギリス代表として出場させることになりそうにも見えた。が、オリンピック委員会の反発もあり、結局イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの合同チームとしてグレート・ブリテンU23が結成されることになった。
●こうして誕生したグレート・ブリテンU-23(イギリスU23)だが、選ばれた選手18名を見ると、イングランドから13名、ウェールズから5名(オーバーエイジ枠のギグスとベラミーを含む)という構成になっている。日本人的な感覚からすると、アリバイ的にでもスコットランドと北アイルランドの選手を1名ずつでも入れておかないと落ち着かない気もするんだが(だってこれじゃイングランド&ウェールズ合同チームだし)、いろんな事情があるんだろう。
●チーム自体は快調で、グレート・ブリテンU23はグループAを首位通過。試合前の国歌は「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」が歌われている。外国人サッカー・ファンからすると、ロンドンで開催されるんだから地元イングランドU23を出場させればよかったんじゃないかって気もする。その代わり、将来グラスゴー五輪とかエディンバラ五輪が開催されたら、開催国枠はスコットランドU23が得る、ということにして。合同チームはなんだか味気ない。
●こういう齟齬が生じるのも、オリンピックはFIFAの大会じゃないからなんすよね。そもそもオリンピックにサッカーは不要だと思っているファンは多いはず。FIFAとしても選手にはオリンピックなんかに出ずに、貴重なシーズンオフを休むなり、すでに始まっている欧州リーグの予選に出場するなりしてほしいが、オリンピック側はスターに出場してほしい。そこで「23歳以下+オーバーエイジ3人」という妥協案が生まれたわけだが、これはかなりオリンピック寄りの妥協だろう。もっと厳しく、20歳以下の大会だったらいいんじゃないかと思うが、そうなるとワールドユースと区別がつかなくなる。
●で、思ったんだが、年齢制限を逆にしてはどうだろう。オリンピックは32歳以上の大会にする。イングランドO32とかブラジルO32を編成する。これなら各クラブは戦力ダウンに悩まなくて済むし、一方でオリンピックには大量のスター選手が出場する。ベッカムもロナウジーニョもロベルト・カルロスも出場する。ジダンとかロナウドも復帰するかもしれない。ニッポンからはカズとか小野伸二とか中村俊輔が出る。盛り上がる、かもしれない。
●夏場なので全員O32では走れないかもしれない。その場合はアンダーエイジ枠を3名までということで(←なんだかオッサンの草サッカーっぽい)。

August 2, 2012

ニッポンU23vsホンジュラスU23@ロンドン・オリンピック

ニッポン!ニッポンU23vsホンジュラスU23。グループリーグ3試合目を、すでに勝ち抜けを決めて迎えられるという幸運。この幸運を最大限に活かすために、関塚監督は控え組を先発させた。これが普通の考え方だろう。中2日の3連戦と無茶な日程なうえに、オリンピック・メンバーはワールドカップと違って18人しかいない。控え組を全員出しても、それでも何人かは3試合連続先発となる。コンディション最優先は納得。そもそも負けて2位通過になったとしても、次にブラジルと本気で対戦できるという最高の収穫を得るんだから、なにも惜しくはない。オリンピックはU23の大会なんだから、メダルよりも経験が大切。
●ってことで先発はGK:権田、DF村松、吉田、鈴木大輔、酒井高徳-MF:山村、山口、宇佐美-FW:大津、杉本健勇、齋藤学。酒井高徳を左サイドバックで使うなど、本来と異なるポジションで使いながら選手をやりくりした。選手はフレッシュだったが、試合内容は苦しかった。連携不足というよりはホンジュラスのフィジカルが強く、球際の争いでことごとく勝てない。トラップが少し流れたところを狙われて、ピンチに陥る場面の連続。この試合だけ見てると、どうしてニッポンが2勝できているのかまったくわからない。宇佐美や杉本健勇はもう少しなにかをできるかと期待したが……。ホンジュラスは「引き分けでもよし」というつもりはなく、勝って1位通過を狙ってきた。個人の能力が高く、前への突破に迫力がある。ニッポンはGK権田が活躍して、0対0でしのいだという試合。
●終盤になってニッポンのボールが回りはじめたが、ロスタイムに入るとバックラインでボールを保持、ホンジュラスも追ってこない。観客からブーイング。でも相手が取りに来ないんだから、平気でボールを回していればいい。90分これをやったら大顰蹙だけど、もうロスタイム、あそこで前線に放り込む必要はない。1位ニッポン、2位ホンジュラスで、お互い納得のドロー。

August 1, 2012

フェスタサマーミューザKAWASAKI 2012開催中

●7/28から今年もフェスタサマーミューザKAWASAKIが開催中。現在復旧工事中のミューザ川崎は使用できないので、昨年に続いて川崎市内のいくつかの会場で分散して公演が開かれている。昨夜の垣内悠希指揮東京都交響楽団は川崎市教育文化会館での開催。川崎駅から徒歩15分の会場で、初めて。昭和スタイルの典型的多目的ホールで、きれいに響かないし、客席まで音が飛んでこないもどかしさはあるんだけど、昨年のブザンソン国際指揮者コンクール優勝者で川崎出身の垣内さんが、歯切れよくダイナミックなベートーヴェンを聴かせてくれた。交響曲第2番とピアノ協奏曲第5番「皇帝」(ピアノ:清水和音)。フェスタサマーミューザは8/12まで、首都圏のオーケストラが続々と登場する。手頃な価格設定も特徴。
●最近、音楽専用ホールが当たり前のようになってきて、こういうホールは少数派だけど、休憩中の飲食には便利な点もあるんすよね。自動販売機が並んでいて、暑いからみんなガッチャンガッチャンと缶コーヒーや炭酸飲料を買っていく。この身も蓋もない感じが耐えられない人もいるだろうけど、嫌いじゃない。いちばんスゴいと思ったのは売店でサンドイッチなんかと並んで売られていた「から揚げ」300円。から揚げっすよ。から揚げは男子の弱点。ふらふらっと買いたくなる。新国あたりなら「生ハムとピクルスと冷製カッペリーニのなんちゃらかんちゃら(←その日のオペラの登場人物名が入る)プレート」とか売ってそうなものであるが、昭和の文化会館は、ずばり「から揚げ」。「いいね!」ボタンがあったらクリックしてた。
●新生ミューザ川崎にも「から揚げ」コーナーだけは置いてくれないかな~(置きません)。

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