●9月1日にリニューアルオープンする池袋の東京芸術劇場で内覧会が開かれた(9日)。いくつか写真でレポートを。まず一目瞭然、最大の違いはあの「恐怖のエスカレーター」がなくなったこと。
●このように、壁際に沿って2段階で上る方式になった。最初にまっすぐ上り(ここは階段も併設される)、その後直角に左方向へ上る(こちらはエスカレーターのみ)。従来と高度は変わらないが、壁に沿っているので怖くない。アトリウムの空間も広々と感じられるようになった。かつての長い一本道のエスカレーターは意味もなく緊張を強いられるものだった。
●ホール全体の基本構造は変わっていない。コンサートホール入り口は上の写真のように、明るく暖かみのあるデザインに変わった。内部もそうだが、以前は無機的でクールなトーンのホールだったのが、全体に暖色系中心の落ち着いたムードに変わっている。「あの殺伐とした雰囲気こそ池袋にふさわしかったのに!」と以前を懐かしむ方もいらっしゃるかもしれないが、より常識的なデザインになったともいえる。
●なお、ホールのエントランス奥に3階席まで行けるエレベーターが新設された。
●こちらがホール内部。2回客席から撮影している。色合い以外の変化はわかりにくいかもしれないが、壁面も変わっているし、天井反射板もリニューアルされており、音響面でも刷新されているものと思われる(内覧会では演奏はなし)。また、ステージが広くなった。客席の最前列を撤去し、その分、ステージが前方に広がっている(後方に客席を増やすなどして、客席総数は変わっていない模様)。舞台はヒノキ材に張替え。
●こちらはステージ上から客席を眺めた図。座席も座り心地のよいものを目指して作り替えられている。厚みも増して、お尻にやさしい、かもしれない。
●ステージ袖からバックステージへ。写真は楽屋の並び。バックステージは基本的に変更はない模様だが、無線LAN環境が整えられることになった。
●このほか、東京芸術劇場には演劇用のプレイハウス(中ホール)や地下の小劇場シアターイースト&ウエストがあり、これらも改修されている。こちらはもともと足を運ぶ機会がなかったのでチラッと一瞥したのみだが、演劇だけではなく音楽系でもなにかできないものだろうか。プレイハウスのガサガサした雰囲気は悪くない。なお、地下のフロアには以前、ずらり並んだ自販機とか休憩用の椅子などがあったように記憶しているが、今日の時点では何も置かれていなかった。
●こうしてそれぞれのホールを出入りしていると、それだけでも劇場ならではの高揚感みたいなものが胸に湧き上がってきて楽しくなる。全体としてはぐっと快適性があがった印象で、あとは実際に音がどんな風に聞こえるか。期待するしか。
August 10, 2012