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October 3, 2012

「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方」(山田治生著/アルファベータ)

「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方」●山田治生さんによる新刊「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方」を拝読。手にとってみると意外と厚みがあるんだけど、実はこの本にはA面とB面がある(いや両A面なのか?)。「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方」と題された縦組のほうを開くと、クラシック音楽の入門書になっている。音楽とどう付き合うか、コンサートの楽しみ方、オペラの魅力など、話題は多岐に渡り、入門書の体裁をとったエッセイ集のようなスタイル。大上段に構えるのではなく、普通の人が音楽を聴くときに知りたいこと、気になることが並ぶ。たとえば、著者自身の利用体験に基づく「コンサートの託児室」についての項なんかがそうなんだけど、このあたりが「いまどき」。それとインターネットメディアを通した音楽へのアクセスについてもまとまったページが割かれている。ネット関連についてはワタシが事情に詳しいだろうということで、この部分のみ、刊行前のゲラをチェックするという形でお手伝いをさせていただいた。
●で、この本の最大の特徴は反対側から開くと横組で「ツイッター演奏会日記」になっているところ。著者が日々つぶやいてきた演奏会についてのツイートが時系列で収録されていて、なんと、こちらのほうが分量が多い。ツイートなんだから山田氏をフォローしていればだれでも読める。そういう誰でも自由に無料で読めるものを、本として商品化するということこそ、実は「いまどき」という気がする。以前から氏をフォローしていて「毎晩、コンサートの感想をこまめにツイートしてて、山田さんは本当に律儀だなあ」と感心していたら、こうして本にするためだったとは!