October 6, 2012

大井浩明POC#11「ラッヘンマン+ホリガー全ピアノ作品」、すみだトリフォニーホール「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」第1日

●4日は代々木上原のけやきホールで大井浩明さんのピアノによるPOC(Portraits of Composers)#11「ラッヘンマン+ホリガー全ピアノ作品」。このけやきホールって古賀政男音楽博物館の中にあるんすよね。お隣がJASRAC本部ビルという「総本山」感。で、公演は平日ながら18時開演で、この日も特盛り3時間コース。ありがたいこと。
●全体は3部に別れ、第1部にラッヘンマンとホリガーの初期作品中心、第2部にラッヘンマンの「こどものあそび」「セリナーデ」(←誤植にあらず。セレナーデを初演者の名にちなんでもじったもの)、第3部にホリガー「こどものひかり」抜粋(日本初演)、「パルティータ」「7月14日の小玉花火」(日本初演)。内部奏法、特殊奏法頻出。第2部のラッヘンマンがおもしろかった。「こどものあそび」のネジの外れた無邪気さが怖い。「セリナーデ」は鍵盤の強打の合間に生まれる残響やハーモニクスの間歇的な連なりが文脈を生成し、水面に映る「逆さ富士」あるいは影絵を連想させる。
●第3部の前にデイパックを背負ったラフな格好の白人男性が客席の端に座った。あ、ホリガーだ。週末にすみだトリフォニーで行なわれる「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」のために来日中だったので、「もしかして来るのかなあ?」とは思っていたが、やはりご本人臨席はインパクトあり。古賀政男音楽博物館にハインツ・ホリガー。演奏が終わって大井氏に促されてホリガーが立ち上がったときの、客席の「え、ホリガー来てるの!? なんでなんで?」感がハンパなかった。 フツーにそこにいるし、ホリガー。なお、POCシリーズの次回#12は11月15日にジョン・ケージ、#13は12月12日にファーニホウ+シャリーノが予定されている。詳細はこちら
●で、6日はすみだトリフォニーホール「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」第1日へ。この日のホリガーは指揮者、オーボエ奏者、作曲家の一人三役。オケは西江コンマス率いる新日本フィル。前半にホリガー吹き振りのモーツァルトのオーボエ協奏曲、さらにシューマンの交響曲第2番、後半にホリガー自作「音のかけら」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」。時間配分としては前半のほうがはるかに長いんだけど、より楽しかったのは後半。「音のかけら」は巨大編成を用いながらもウェーベルンを連想させるミニチュア楽章9つから構成され、特殊奏法も満載。大仰ではない明快で歯切れのよい「ラ・ヴァルス」は痛快だった。
●「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」第2日は8日、室内楽でプログラムが組まれている。この日はワタシは行けないんだけど、シューマン、サン=サーンス、ベートーヴェン、自作でホリガーのオーボエを聴くことができる。

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