October 18, 2012

引分けの甘美な夢

ガム●先日、ニッポン代表はフランスやらブラジルやらとやたら華やかな親善試合を満喫していたわけだが、うっかりするとこの週がなんのためにリーグ戦が休みになっていたかを忘れてしまいそうだ。本来、この週末はワールドカップ予選にあてられていたんである、ヨーロッパであれ、アジアであれ。たまたまニッポンはお休みだったわけで(奇数国で同一グループを戦っているから)、ちゃんと他の国は試合をしている。ニッポンの属するグループBは、オマーン2-1ヨルダン、イラク1-2オーストラリアという結果だった。
●さて、この結果はどうだろう。すべての国が4試合を戦い終えた折り返し地点で、ニッポンは相変わらず勝点10で1位を独走中。これに勝点5のオーストラリアとオマーンが続く。安泰? そうかもしれない。でも、この週末は少し残念な結果だった。
●オマーン対ヨルダンもイラク対オーストラリアも決着が付いたのが惜しい。できれば引き分けてほしかった。そもそもサッカー・ファンは自分が応援するチームと無関係の試合に関しては、すべての試合が引き分けに終わることを夢見ている。かつて、あらゆるサッカーの試合は等しく勝点2の価値を持っていた。勝ったほうが勝点2、引き分ければ両者で勝点1を分け合う。しかし、ある頃から攻撃的な試合を増やすために、勝ったほうに勝点3、引き分ければ両者勝点1に制度が変わった。つまり、勝敗の決着が付いた試合には勝点3の価値があるのに、引き分けた試合には勝点2の価値しか与えないという、「エネルギー保存の法則」ならぬ「勝点保存の法則」に反するような制度が生まれた。
●であれば、自分のチーム以外の試合の価値は低くなればなるほどよい。自分のチームが出場しないゲームはすべてが引き分けに終わりますように。できることなら(順位付けの総得点優先ルールまで考慮して)0対0の退屈な試合に終わりますように。これが正しいサッカー・ファンが抱く甘美な夢だ。

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