●1日昼、ホテルオークラでリュウ・シャオチャ指揮フィルハーモニア台湾のミニ記者会見&シンポジウム。11月9日の東京公演に先駆けての開催。壇上には写真左より司会の音楽評論家吉村渓氏、梶本眞秀KAJIMOTO代表取締役社長、大野順二東京交響楽団楽団長、ホアン・ピードァン中正国立文化中心芸術総監督、リュウ・シャオチャ フィルハーモニア台湾音楽監督、ジョイス・チュウ同楽団事務局長。フィルハーモニア台湾はこれまでにLFJにも出演しているけど、実は今年から海外向けの名称を「台湾フィルハーモニック」に変更している。今回は便宜上「フィルハーモニア台湾」の旧称を使う。
●シンポジウムは「アジアのオーケストラの今」と題されたもので、明快な論点を持って談論風発するというものではなく、台湾側と日本側でそれぞれの楽団事情の現状認識を述べあうといったところ。日英同時通訳のインカムが用意されていたので、短時間の割には情報量は多かった。一言で印象を述べれば「フィルハーモニア台湾は恵まれた環境にあって勢いがあるなあ」。もともと100%国営のオーケストラだったのが、2005年に再編されて、公益法人として独立し、政府からの助成金も徐々に減らされて、現在は60%にまで下がったというのだが、それでも60%はスゴい。大野順二東響楽団長は「東響は10%未満だから大変うらやましい話」。ホールも練習環境も整っているようだし、おまけに聴衆層がぜんぜん違う。「聴衆の60%が30歳以下なので、シニアにも足を運んでもらえるように割引チケットなどで工夫している」(ジョイス・チュウ事務局長)と、まるっきり東京とは逆転世界。東京と台湾の年齢別人口分布も違うんだろうけど、それ以上の違いのはずで、「日本と違い、台湾ではシニアにとってクラシック音楽はなじみの薄い文化」(ホアン・ピードァン中正国立文化中心芸術総監督)という背景がある模様。クラシック音楽は若者文化なんすよね。まあ、かつては日本の聴衆も今よりずっと若かったので、今後どうなるかはわからないけど。
●リュウ・シャオチャ音楽監督は「オーケストラは社会の縮図。私たちの楽団は台湾の多文化社会を反映して、好奇心に満ち、若くフレッシュで、オープンマインドを持っている。今回は楽団の特徴を知ってもらうためによく知られた作品を並べた」とのこと。東京公演ではドヴォルザークの「新世界より」、グリーグのピアノ協奏曲(萩原麻未)他が演奏される。招聘元のプロモーション映像はこちら。
November 2, 2012