November 19, 2012

カヴァコスのベートーヴェン、デ・ワールト&N響のブルックナー

●Jリーグが佳境に入っているが(あのJリーグ昇格プレーオフの結果はなに!?)、先週のコンサートから。
カヴァコスのベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集●14日、レオニダス・カヴァコスのヴァイオリン・リサイタルへ。前日、同じトッパンホールでコパチンスカヤの突き抜けた演奏を聴いたばかりだったんだけど、この日は対照的に王道のベートーヴェン・ヴァイオリン・ソナタ・プロ。特に後半の「クロイツェル」が圧巻で、この曲でこんなに燃焼度が高くて、なおかつ堅牢でスケールの大きな音楽を聴けるとは。文字通り固唾を呑んで聴き入ってしまった。ピアノのエンリコ・パーチェが完璧にソロと息の合った伴奏を聴かせてくれて、さすがレコーディングしたコンビ。DECCAレーベルから、ベートーヴェン・ヴァイオリン・ソナタ全集がリリースされている。
●カヴァコスの名が最初に視野に入ったのはBISからシベリウスのヴァイオリン協奏曲初稿がリリースされたときだと記憶しているんだけど、あの頃に今のカヴァコスのメジャー感を予測した人は少なかったのでは。いまやベルリン・フィルのアーティスト・イン・レジデンスだし。あとルックスもすっかり垢抜けて、最高にクール。一年切ってないらしいストレート長髪は、片手に紙袋を持って秋葉原を歩いてもまったく違和感がないが、それがヴァイオリンを持つと宇宙一カッコいいロンゲ男子に変身する。ぜひ髪は切らずにこの路線で巨匠への道を歩んでほしい。
●16日はエド・デ・ワールト指揮NHK交響楽団へ(NHKホール)。ブルックナーの交響曲第8番。皇太子殿下ご来臨。ニュースにもなっていたらしい。一曲のみの大曲プロなので休憩はないのだが、開演前にさっそく男子トイレに長蛇の列ができた。いわゆる「ブルックナー行列」である。世間一般ではトイレの行列といえば女子のものと思われる方が多いかもしれないが、演奏会でブルックナーが演奏されると男子側に行列ができる。殿下もブルックナーがお好きなのだろうか。侍従とブル8の版問題について語り合っていたりするかもしれない。演奏は後半に進むにつれて熱気を帯び、豊麗で重厚な響きが生まれていた。
●ブルックナーって、聴く人みんなこだわりポイントがそれぞれ違うのか、わかりあえない音楽って気がする。クラヲタがパーティの席で話題にしてはいけない作曲家ナンバーワン。

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